面倒見のよい男子校「駒場東邦」自由な男子校「桐朋」…広野雅明<6>

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 今回は、男子進学校を2校紹介します。11月の模擬試験では下記のように駒場東邦は微減、桐朋の1回目は微増、2回目は増加しています。同じ男子校でも学校により校風はかなり異なりますので、志望校選択に際しては、学校説明会に保護者が参加するだけではなく、お子さまも文化祭や運動会などの行事にぜひ連れて行って各学校の生徒の様子や雰囲気に触れていただきたいと思います。

頭脳の資源化 駒場東邦

 駒場東邦は1957年創立の比較的若い学校です。1学年240人の完全中高一貫の男子校です。駒場東邦の募集要項には、「高等学校卒業後、大学へ進学する希望を持っている者」という一文があり、「資源のない日本では、頭脳の資源化こそ急務であるとの考えから、科学的精神に支えられた、合理的な考え方を持ち、自主独立の精神を持つ人物の育成が大切だ」という教育の理念が感じられます。

 駒場東邦はどのような子にも優しい学校です。たとえば、数学では中2ではチームティーチング、中3でクラスを分割した習熟度別授業を実施しますが、高1では習熟度ではなく単にクラスを2分割する少人数の授業になります。習熟度を2年続けると確かに効率はいいがその反面、ますます苦手意識や劣等感を持つ生徒もいます。だから、高1ではあえて習熟度にしない。数学は一度つまずくとなかなか取り返しの利かない教科なので中2のチームティーチングに一人一人に目を届かせ、中3では習熟度で刺激を与えます。先生方の長年の経験から全員の学力をうまく伸ばす、そのような工夫を強く感じます。また伸び悩む生徒には、昼休みや放課後に個別に指導したり、夏期講習で補習などがあったりもするそうです。

 駒場東邦は国際交流にも伝統があります。アメリカのスティーブンソン校や、台湾の国立台南第一高級中学との交換留学は30年以上続いており、学年によっては高2の修学旅行が海外になることもあるようです。

 学校行事も盛んで、体育祭は高3が、文化祭は高2が運営の主体となります。特に体育祭では入学から卒業まで6年間、同じ色の組に所属して競い合うので、先輩・後輩の強い絆が生まれているそうです。男子校らしく、激しい競技も多いですが、学年が上がるごとに身体接触が少なくなり、保護者として見ていて何となく安心感があります。

 駒場東邦は、学校法人「東邦大学」が設置した中高で、この大学には医学部があり、駒場東邦の近くには東邦大学医療センター「大橋病院」があります。その病院で希望者を対象に実施されるのがブラックジャックセミナーです。超音波メス、内視鏡手術の体験、救急体験、手術縫合体験などがあり、将来医師を目指す生徒には有意義な時間となると思います。

 施設も都心部の学校としては非常に充実しており、約2万平方メートルの校地に今や都内では希少な土のグラウンド、室内温水プール、大きな体育館や柔道場、剣道場などの運動施設があります。理系に進学する生徒が多い同校らしく、理科室も九つあり、機器も充実しています。

 入学試験はもちろん4科目ですが、どの教科も高度な思考力、表現力が求められています。特に、算数は解き方を書かせるとともに数学にもつながる高度な思考を求める問題も多く出題されますので、じっくりと考える力とともにさまざまな問題を解いた体験が求められます。国語も難易度の高い長文問題で解答は記述式。過去問題をしっかり解いて、対策を立てないとなかなか対応しきれない問題です。

 駒場東邦は、どんな男の子にも居場所のある面倒見のよい男子校です。運動部で鍛えることも文化部で自分の趣味を極めることもそれぞれのペースでできます。中規模な学校ですので、いつでも先生方が生徒を見守り、両親とも学校に訪れやすい雰囲気があります。そして、大学受験指導や新テスト対応、グローバル化への対応も怠りない。「子供の性格と照らし合わせ、無理なく伸び伸びできるような学校を選びました」。そんな保護者の志望理由がよく分かります。

自主・敬愛・勤労 桐朋

 桐朋中学校は1941年に創立された軍人子弟の教育を目的とする第一山水中学校、山水高等女学校が前身です。戦後は、東京文理科大学(現在の筑波大学)の務台理作学長が理事長・校長となり、一人一人の人格を尊重し、自主性を養い個性を伸長する、ヒューマニズムに立つ教育の理念を桐朋教育の基本に据え、再出発しました。

 桐朋学園は幼稚園から大学院大学までの総合学園ですが、男子部門(東京・国立市)、女子部門(東京・調布市)に大きく分かれます。小学校までは共学で、中高が別学になります。調布には音楽部門があり、大学まであります。

 最近は完全中高一貫化し、中1まで高3まで同じ仲間と過ごす学校が多いですが、桐朋の特長はまず多様なことです。桐朋の中1は中学受験で入学する子、そして国立と調布の二つの小学校から入学する子が混成します。また高校募集もする学校ですので、高1でさらに高校入学者が交ざります。学習効率を考えれば別クラスにすることも一つの方法ですが、桐朋はあえて混成するのが特長で、その中でさまざまな経歴の子が一つに合わさり新しい人間関係が生まれ、成長します。

 2016年に創立75周年事業の新校舎が完成し、桐朋の雰囲気が一新しました。新校舎も先生方がいろいろこだわり、話し合った結果ですので、体育館、図書館、プラネタリウム、天文ドーム、理科室、コンピューター室など最新の設備を備えたさまざまな知的な施設や学習室がそろっています。それでも、奥の方には古き武蔵野の雑木林の面影を残す「みや林」が残り、自然にも恵まれています。

 桐朋にはいわゆる校則はありません。そして生徒の自主性を伸ばすことを大切にしています。そのため学校行事やクラブ活動なども当然のように生徒主導、中1・中2で実施する1泊2日の旅行「クラスの日」の小旅行は、18000円の予算内で実現可能な行程をクラス全員で話し合って決定し、担任教諭に相談しながら、旅行会社や見学先に連絡を取るなどのやりとりも生徒たちで行う。このような体験を通じて、生徒は大きく成長します。また中学生は制服がありますが、高校生は制服がありません。これも生徒の成長を見つめながら徐々に手を放していく同校の校風がよく表れています。

 桐朋の入学試験は1996年までは算国2科目、難関校の中では最後まで2科目にこだわった学校でした。97年からは4科目の入試となりましたが、各教科とも桐朋らしい良問が出題されています。2016年から2月1日、2日の2回入試に変更になり、2月1日は第1志望の児童が主に受験し、2日は御三家等の難関校の併願校にするご家庭が増えました。その影響もあり、最近では入試が少しずつ難化しています。桐朋を目指すお子さまをもつ保護者は同校に、「自主性と協調性を養い、創造的知性を養ってもらいたい」。そんな思いで受験させているようです。

プロフィル
広野 雅明( ひろの・まさあき
 サピックス教育事業本部本部長。サピックス草創期から、一貫して算数を指導。算数科教科責任者・教務部長などを歴任。現在は、入試情報、広報活動、新規教育事業を担当。

52907 0 マナビレンジャー 合格への道 2018/12/11 05:20:00 2018/12/11 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181205-OYT8I50025-T.jpg?type=thumbnail

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