女子校らしい女子校 吉祥女子・白百合学園…広野雅明<7>

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 今回は、大学付属校・共学進学校が人気のご時世でも保護者・児童から人気の高い女子校2校を紹介したいと思います。12月の模試の志願状況は下記の通りです。特に吉祥女子中はこの数年難化が続いており、要注意です。

主体的に学び知的探究心を育む女子校 吉祥女子

 吉祥女子中学校の前身は1938年に帝国書院の設立者の守屋荒美雄(もりやすさびお)が新宿区大久保に創設した帝国第一高等女学校です。46年に現在の吉祥寺に移転し、47年に現校名に変更しました。69年に芸術コースを設置し、現在でも高2からは芸術系(音楽または美術)を選択できます。71年からは生徒の海外研修を開始し、75年からはアメリカ・ボストンのウォルナットヒルスクールと姉妹校となり、以後もオーストラリア、カナダ、中国、韓国の学校と姉妹校・友好校の関係を結ぶなどグローバル教育にも歴史があります。2007年からは高校募集を停止し、完全中高一貫校に移行しました。

 吉祥女子の建学の精神は「社会に貢献する自立した女性の育成」、校是は「知的探究心を育む・言葉と行動に責任を持つ・互いの価値観を尊重する」。まさに現代でも通じる先進的な理念です。

 吉祥女子の特徴は非常にオープンなことです。同校のウェブサイトを見ると、各教科のカリキュラムや入試結果、大学合格実績など情報が充実しています。各教科の方針では使用教科書や副教材も明示され、学年ごとの学習単元も掲載されています。難関校ではこれらの内容が明記されていないことも多く、いまだに担当の教師により、学年ごとの学習内容にかなり差がある学校もあります。

 また、早くから理数科目を重視しているのも吉祥女子の特徴です。女子の理系進学率が低かった時代から先生方が女子向けにさまざまな工夫をし、充実しています。理科では中1の実験項目がウェブサイトに掲載されていますが、実験を重視し、数学ではかなり体系的なカリキュラムが組まれていることが分かります。共学校の場合は、理系に強い男子が多いので、女子は相対的に理系科目に苦手意識を持つことがありますが、女子校の場合は、その心配がありません。分からないことは積極的に質問できる、その雰囲気が最後まで理系科目を頑張らせます。

 同校の卒業生の約半数弱が例年理系に進みます。医歯薬系を始めとした難関大学・難関学部へ年々進学実績を伸ばしている理由がよく分かります。

 学習面でのサポートが厚いのも吉祥女子の特徴です。中学校では学習が遅れぎみの生徒を対象とする数学、英語の補習が週1回ずつあります。夏期講習や勉強合宿、高3生向けのセンター試験対策講座もありますので、学校の勉強だけで大学受験にも十分対応できます。

 このように並べあげてくると勉強だけの学校に思えますが、学校行事も非常に盛んで、生徒たちは時期に応じて行事に勉強にと、一生懸命取り組んでいます。部活動も熱心で、特に運動部への参加が多いのは特徴的です。女子校では数少ないサッカー部、弓道部、剣道部もあります。放課後同校を訪問すると、それほど広いとはいえない校地のあちらこちらから熱心に部活に取り組む運動部の声が聞こえます。

 「勉強だけに集中させればもう少し難関大の実績は伸びますが、それでは吉祥ではなくなりますからね」と聞かされたことがあります。同校の校風はとにかく明るく元気、勉強に学校行事に部活に、何でも一生懸命に頑張りたい、そんなお子様にお薦めしたい学校の一つです。

温かく落ち着いた環境で知性と感性を磨く 白百合学園

 白百合学園は、17世紀のフランスに誕生したシャルトル聖パウロ修道女会が設立母体です。1881年に東京・神田猿楽町に設立されました。1927年に現校地(東京・九段)に移転し、35年に白百合高等女学校と校名を改め、現在に続きます。

 白百合学園は、幼稚園から大学まであり、全国に姉妹校が多いのが特徴です。高等学校では北から、函館、盛岡、仙台、藤沢(湘南白百合)、箱根(函嶺白百合)、八代に姉妹校があります。校訓は、「従順・勤勉・愛徳」と少し古めかしく感じますが、今も大切にしたいことです。カトリックの教えを教育の基盤とし、キリストの愛の教えに基づく全人教育を行っています。

 1学年が、幼稚園で約60人、小学校で約120人、中学・高校で約180人と比較的小規模な学校ですが、下の学年からの入学者が多いのが特徴です。内部生が多いことによって、白百合らしい校風が継続されるメリットがあります。入学前は内部生が多いことに不安を感じる中学受験生も多いそうですが、実際にはすぐに溶け込めるようです。むしろ内部生に白百合らしさを教わり、校風になじんでいきます。また、内部生も中学受験生が入学することが刺激になって成長します。世間ではさまざまなうわさがありますが、普通のご家庭のお子様が多いようです。

 白百合学園の教育の特徴の一つは、中学から英語のほかにフランス語の教育を行っていることです。生徒全員が中学の3年間、英語を週5時間、フランス語を週1時間学びます。高校では、第1外国語として英語かフランス語を選択し、もう一方を第2外国語として学習することができます。

 併設の小学校では、フランス語を1年生から、英語を3年生から週に1時間ずつ学んでおり、海外帰国生も広く受け入れていますので、中1では英語の授業を既習者と未習者に分割し、さらに帰国生の取り出し授業もしています。これからグローバル時代を迎えるにあたり、中高時代に2か国語を学習できるのは大きなメリットになると思います。

 国際教育にも早くから取り組み、米国・スミスカレッジで高校生の希望者を対象に、夏休みに実施する9日間の女子グローバル人材養成プログラム、高校生を対象に実施している3週間の日仏短期交換留学プログラム、フランス大使館訪問など多彩です。

 系列に白百合女子大学がありますが、進学者は今年度11人で、ほとんどは他大学に進みます。文系が多そうなイメージですが、進学先は医療系に約24%、理工系に約11%と、理系の進学も多いです。また、国公立や難関私立大学への進学者も多く、現役で進学先を決めないお子様も約30%いて、ほぼ完全な進学校です。

 白百合学園も含めてカトリック校は一般に、プロテスタント校よりは宗教行事が少ないようです。ただし、学校の根幹がキリスト教精神ですので、随所にキリスト教の教えが絡んでくることは踏まえておいていいでしょう。

 比較的小規模な学校で、面倒見がよい伝統校で、語学や国際交流プログラムを期待している、そんなご家族にお薦めの学校の一つです。

プロフィル
広野 雅明( ひろの・まさあき
 サピックス教育事業本部本部長。サピックス草創期から、一貫して算数を指導。算数科教科責任者・教務部長などを歴任。現在は、入試情報、広報活動、新規教育事業を担当。

60287 0 マナビレンジャー 合格への道 2019/01/11 05:20:00 2019/01/11 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190109-OYT8I50014-T.jpg?type=thumbnail

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