進路多彩な附属校 成城学園と神奈川大附属…広野雅明<9>

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 今回は、成城学園と神奈川大附属を紹介します。今年の入学試験では成城学園の第1回の志願者は昨年度の336人から大きく増えて480人に、神奈川大学附属のA日程の志願者も昨年の778人から805人へ増加しており、人気が上昇していることが分かります。

 両校はともに共学の「大学附属校」です。「 」を付けましたのは、附属校でありながら、実際には他大学に進む生徒も多く、進学校としての側面も持つためです。附属校のメリットと進学校としてのメリット、そして何より大学と一体化した恵まれたキャンパスでの日々をご紹介したいと思います。

成城学園 100周年を機に「第2世紀」の教育改革

 成城学園は、小田急「成城学園前駅」から至近の地に、幼稚園、初等学校、中学校、高等学校、大学まで(そろ)ったキャンパスを構えています。

 1917年に、今の成城中学校が立つ東京・新宿区の土地に創設された成城小学校が成城学園の前身です。25年に現在地に移転し、翌年に成城高等学校を開校しました。戦前では珍しい7年生高等学校です。7年制の旧制高等学校は、当時全国に約40校しかなく、その中でも私立は甲南、成蹊、成城、武蔵とわずか4校だけでした。第2次世界大戦後は、新制中学校、高等学校、成城大学を順次設立し、現在の学園にまで大きく成長しました。

 さて、成城学園中学校高等学校について「本校は大学附属校ではありません。文系の学校でもありません」と石井弘之校長は語っています。

 なるほど、同校のWEBサイトを見ると成城大学への推薦入学は、2015年が147人、16年が153人、17年が136人と、卒業生の総数約270人に対して50~60%止まりであり、他の生徒は他大学に進学しています。17年度の進路状況を見ると医・歯・薬・獣医・看護学部に28人、その他の理系学部に20人が合格しており、決して文系だけの学校ではないことも分かります。

 進路指導の面では、高校2年から希望進路別コース制を敷いています。成城大学への推薦及び芸術・体育系など多様な進路選択に対応する「A」、他大学文系を目指す「B」、他大学理系に挑戦する「理数」の3コースに分かれ、個々の進路に合わせて適切なカリキュラムを組んでいます。内部推薦の権利を維持しながら、難関大学に挑戦することも可能です。石井校長の言葉通りと言えるでしょう。

 成城学園は、創立100周年を機に「第2世紀の成城教育」として「国際教育」「理数系教育」「情操・教養教育」を三つの柱とする教育改革に取り組んでいます。

 「国際教育」の取り組みとしては、20年の大学入試改革に向けた英語カリキュラム「成城学園英語教育プロジェクト」が進行中で、多彩なスキルを磨く英語教育の強化が図られています。eラーニング教材の「DynEd」を組み込んだタブレットを生徒全員に配布し、毎日、「話す・聞く」の自宅学習をさせています。また、生徒自身が到達度を確認できるCan-do-Listを作り、何のための学びかを意識しながら能力を高める工夫もしています。さらに今年度から、発表やディスカッションにつながるトピックなどを盛り込んだ教材「Oxford University Press」を導入しました。カナダやオーストラリア、アメリカなどの姉妹校と提携しての短期・長期の留学制度も用意されており、手厚いサポートをしています。

 「理数系教育」の取り組みとしては、16年に完成した新校舎に八つの理科実験室を開設しました。さらに複数の理科助手を採用し、全員参加型の体験型の授業を展開するなど、充実した教育内容となっています。

 中高6年間を2年ずつに分けた3ステージ制の新カリキュラム導入も教育改革の一環です。中1・2のファーストステージでは、基礎基本の充実を目標に、主体的な学習姿勢を作ることに力を入れ、主要3教科に多くの時間を配当しています。英数では内容に応じて少人数授業を実施しています。定期試験前には指名制の補習「R週間」も設けていますので、保護者としても安心でしょう。

 成城学園は、幼稚園、初等学校、中学校、高等学校、大学とそれぞれから新しい生徒を受け入れます。同じキャンパスですので、多年齢の子が集います。また、成城大学の「附属」なので、お子様は大学進学だけに縛られず、いろいろな体験を積むことができます。校風は自由で、華やかな雰囲気もあります。緑豊かなキャンパスで過ごす日々がお子様を大きく成長させるように思います。

神奈川大学附属 進学校の色合いも濃く

神奈川大学附属ではタブレットPCを21年度に全学年へ導入することにしている(写真はイメージです)
神奈川大学附属ではタブレットPCを21年度に全学年へ導入することにしている(写真はイメージです)

 神奈川大学は、前身の「横浜学院」が創設された1928年から数えて、昨年、90周年を迎えました。2021年には横浜市のみなとみらい地区に新キャンパスを開設し、国際日本学部(設置構想中)と外国語学部、経営学部の国際系3学部が集約される予定となっています。神奈川大学附属中・高等学校は85年4月に開校しました。JR横浜線・横浜市営地下鉄グリーンライン「中山駅」から徒歩15分の地に緑豊かで広大なキャンパスがあります。陸上グラウンド、野球場、サッカー・ラグビー場、テニスコート、プールなど施設が整えられ、学習用の各教室も充実しています。88年には共学化し、2004年には併設型の中高一貫校になりました。

 進路指導の面では、附属校として大学と連携し、大学までの一貫教育を保証しながら、生徒の希望に応じた進路を実現していくというのが同校の方針です。しかし、他大学へ進学する生徒の多い進学校としての側面もあり、神奈川大学に進学する生徒が毎年10人程度なのに対して、18年度は東大、京大への各2人を含めて、国公立大に57人が合格。早大に42人、慶応大に25人など難関私大へも多数の合格者が出ています。また、海外協定大学推薦制度で、マンチェスター大学やアラバマ大学バーミンガム校など、英米の名門20大学への進学が可能になっています。

 大学との連携では、大学見学会や学部学科説明会、高2の「一日神大生」体験などがあります。このほかにも、ハワイ島研修の前学習で大学を訪ねたり、工学部と共同研究したりする機会があります。前述のみなとみらいの新キャンパスでは国際系の学部が集まりますので、こちらとの提携も今後が楽しみです。

 同校のもう一つの特徴に海外研修の充実が挙げられます。高1の希望者が対象ですが、いずれも単なる旅行ではなく、まさに「研修」の名にふさわしい内容です。イギリス・イタリア、ベトナム・カンボジア、ハワイの3コースがあり、各教科の先生方が独自に作ったプログラムに沿って、生徒は各自のテーマを実地研究します。このほか、韓国や豪州の姉妹校との海外交流もあります。

 同校も校風は自由ですが、授業はときに厳しく、宿題も少なくありません。習熟度別のクラス分けはせず、全体で底上げする丁寧な教育が実践されています。毎週、金曜日にはその週に学んだことを確認するウィークエンドテストがあり、目標に達しなければ土曜日に補習を行うなど、毎週確認を行っています。生徒は宿題に、テスト、部活と忙しく充実した学校生活を送っています。文化祭などの学校行事は生徒主体で実施されています。

 なお、同校は昨年度から、タブレットPCを授業に導入しました。タブレットPCの活用によって、生徒のポートフォリオ(学習活動の記録)を容易に蓄積し、将来の志望に合う学習プランを得ることができます。21年には全学年での導入を目指しており、教員も勉強会をしっかり行って順調なスタートを切ったようです。

 これから先の学校選びでぜひ、一度は実際に足を運んで見学してみることをお勧めしたい学校の一つです。

 

プロフィル
広野 雅明( ひろの・まさあき
 サピックス教育事業本部本部長。サピックス草創期から、一貫して算数を指導。算数科教科責任者・教務部長などを歴任。現在は、入試情報、広報活動、新規教育事業を担当。

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487108 0 マナビレンジャー 合格への道 2019/03/13 15:19:00 2019/03/13 15:19:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/03/20190312-OYT8I50093-T.jpg?type=thumbnail

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