首都圏の中学受験者は4万7200人に増加…北一成<3>

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 今春2019年の首都圏中学入試で、私立と国立を合わせた受験生総数(公立中高一貫校を除く)は前年比2200人増の4万7200人となりました。受験者総数と受験率は5年続きで右肩上がりです。今春の入試の特徴と、多様化してきた入試方式、受験生と保護者の「学校選び」の変化などについてご紹介します。

首都圏の中学受験者数は、5年続きで増加

首都圏の私立中学受験者数は5年連続の増加となっている
首都圏の私立中学受験者数は5年連続の増加となっている

 2008年のリーマン・ショック後、年々減少してきた首都圏の中学受験者数は、14年を境に5年続きの増加に転じています。この傾向は、来年以降の入試でも引き継がれることが予想されます。

 中学受験生の増加の背景には、すでに1年数か月後に迫った「2020年大学入試改革」と「日本の教育の変化」があります。20年以降、大学入試のあり方が大きく変わることは、すでに多くの保護者がご存知のことと思います。4月から高校2年生になる学年が、この新しい大学入試を最初に経験するわけです。

 そして、今春、中学入試に挑んだお子さんたちが大学受験に挑む24年度は、新たな「学習指導要領」を前提とした大学入試となり、大学入試改革の第2期(5年目)と言われる本格的な改革の初年度となります。特に「大学入学共通テスト」の英語は、現行の英語入試と「英語民間検定」が併用される経過期間が終わり、全面的に「英語民間検定」のスコアが合否の規準として導入されると言われています。

社会の変化に応じて「学校選び」も変化する

 小学校の新6年生以下の子供たちが大学や大学院を卒業して社会に出る2029~31年度以降は、急速に進むグローバル化やボーダーレス化、AI(人工知能)の進化によって、日本の社会や人々の生き方も、現在とは大きく変化することが予測されています。

 現代の子供たちは今後、「答えが一つに定まらない」人類的な課題と向き合い、その解決の糸口を探っていかなくてはならない世代と言ってもいいでしょう。

 将来の社会が変わり、そこで求められる力が変わり、大学入試も変わると言われる現在、子供たちがより良く生きていくための力を考えて、中学受験生と保護者の「学校選び」の観点が少しずつ変わってくるのは当然のことです。

 同時に、多くの私立中学校・私立中高一貫校も、「変わる大学入試と日本の教育」に対応する必要性から、アクティブラーニングや探求型授業の導入、「21世紀型スキル」の育成を積極的にうたうようになってきました。

 今春の首都圏中学入試でもこうした大きな流れは色濃く反映され、「学校選びの成熟化・二極化」と「私立中入試の多様化」として表れたと考えてよいでしょう。

従来型入試は難関校で、新タイプ入試は全体に志願者増加

英語入試も新しいタイプの入試として実施校が増えてきている
英語入試も新しいタイプの入試として実施校が増えてきている

 今春の首都圏中学入試から、いくつかの傾向をご紹介しておきます。これらの傾向は、いずれも「2020年大学入試改革」と「日本の教育の変化」につながる動きと言えます。それらはまた、ミレニアル世代と呼ばれる若い世代の保護者の志向や行動様式の変化を反映したものでもあります。

 1.まず、従来型の「4科・2科入試」を実施した最難関・準難関校の多くが志願者を増やしています。男子校では麻布、駒場東邦、武蔵、栄光学園、筑駒。女子校では女子学院、雙葉、フェリス女学院、横浜雙葉、浦和明の星。共学では渋谷幕張(女子)、早実、東邦大東邦などの志願者増加が目立っています。開成、桜蔭の志願者数もほぼ前年と変わらず、高い人気を保っています。このほか、海城、本郷、浅野、鴎友学園女子、吉祥女子、立教女学院なども志願者が増えています。

 午後入試を新設した人気校にも受験者が集中しました。男子校では世田谷学園、巣鴨、女子校では香蘭女学校、普連土学園、山脇学園、晃華学園などです。午後入試の学校を押さえることで、最難関・準難関校へ強気の挑戦をすることが可能になるからでしょう。

 最難関・準難関校の人気が高まる反面、従来型の入試を実施した学校のうち中堅クラスの学校は、一部で受験者数が減少しています。最難関校に従来型の入試でチャレンジする受験者層は、これまで通り一定数いるのですが、中堅クラスを目指す受験生の層は、多様化する新たな入試に流れたと言ってよいでしょう。これが「学校選びの成熟化・二極化」と考えられる現象です。「変わる大学入試」に対する不安の反映もあって、明大中野、東洋大京北など多くの大学付属校の人気が上昇しているのも、成熟化・二極化の表れと見られます。

 2.私立中入試の多様化が進む中で、新タイプの「得意科目選択・特化型入試」に多くの志願者が集まったのも2019年入試の特徴です。

 男子校では世田谷学園・巣鴨が2月1日午後の「算数1科」入試を実施しました。女子校では普連土学園が2月1日午後の「算数1科」入試、山脇学園が2月1日午後の「算・国1科選択」入試を実施。共学校では栄東が1月18日の「算数1科」入試を行い、多くの志願者を集めました。また、「算数1科」「国語1科」に加え、「英語1科」入試の実施校も増えています。これら「1科目入試」は、得意科目選択入試の典型的な例と考えてよいでしょう。

 このほかにも多彩なバリエーションがあり、4科から3科、英語を含む5科から3科、4科から2科、英語を含む5科から1科などを選択する多彩な入試が行われ、人気を集めました。

 3.「適性検査型入試」を採用する学校も増えていて、計6524人が適性検査型入試で合格しています。私立中の「適性検査型(総合型・論述型・思考力型・自己アピール型)入試」は、前年の136校から147校に増加しました。2月1日午前に行われた「適性検査型入試」の実受験者数も3,773人から前年比102%の3,856人に増えています。首都圏全体での実受験者数は9,484人から前年比109%の1万352人となり、うち6524人が合格しています。のべ受験者総数でも1万1991人から前年比102%の1万2225人に増えています。

 4.「英語(選択)入試」の導入も目立っています。「英語(選択)入試」を導入した私立中は、前年の112校から125校に増加しました。2月1日午前に行われた「英語(選択)入試」の実受験者数は156人から前年比228%の355人に増加しました。首都圏全体での実受験者数は1378人から前年比133%の1826人に。うち1002人が合格しています。のべ受験者総数で見ても、2381人から前年比126%の3007人と伸びを見せています。

 5.今春の首都圏中学入試では、私立・国立中学校の受験者総数が、前年の4万5000人から4万7200人(推定)まで増加しました。これに公立中高一貫校の実受検生数約1万7800人を加え、両方の併願者約5500人を差し引くと、約5万9500人が中学受験(受検)に挑んだことになります。首都圏の小学校卒業生数は29万4199人ですから、約5人に1人にあたる人数です。2020年の大学入試改革が目前となる来年以降は、私立・国公立中学校の受験(受検)者数はますます増加することでしょう。

 次回は、20年以降の中学入試でも増加していくことが予想される「私立中入試の多様化」についてさらに詳しくご紹介します。

プロフィル
北 一成( きた・かずなり
 首都圏模試センター教務情報部長。1985年に首都圏の大手中学受験専門塾に入社。同塾の広報や進学情報誌の編集などに携わり、2013年8月に退職。翌月「日本Web情報出版」を設立し、同時に「日本Web学校情報センター」及び「JWSIC教育研究所」を開設。学校情報・入試情報を専門とし、取材等で約400校の中高一貫校をのべ3000回以上訪問。2000人以上の保護者から学校選びに関しての相談を受けてきた。2013年11月から現職。

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520192 0 マナビレンジャー 合格への道 2019/04/05 05:21:00 2019/04/05 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/04/20190402-OYT8I50014-T.jpg?type=thumbnail

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