模試を積極的に活用して受験校を絞り込もう…広野雅明<11>

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模試によって受験者の数も偏差値も異なる

 今回は、主にサピックス小学部の模試の特性と4月の模試結果について紹介したいと思います。4月になると各塾や模試会社の模擬試験が始まります。特に6年生になると、事前に登録した志望校について合格可能性が判定される試験も増えますので、受験生及び保護者のみなさんは一喜一憂する日々が始まります。

 模試には毎回1万人以上が受験するものから数百、数十人が受験するものまで、さまざまな規模があります。また、受験生の学力層もまた、模試によってかなりの開きがあるものです。お子さまの志望校や現時点での学力に合わせ、最適な模試を選ぶことも重要なことです。

 サピックス小学部の模試を受験するのは約6000人です。大手塾の模試の中では比較的小規模と言っていいでしょう。学力層で見ると、高学力の受験者が多いのが特徴です。試験問題も比較的難易度の高い問題を多く含みます。このため、他の模試に比べるとかなり低めの偏差値が出ます。難関校の合否の可能性を見るには最適ですので、一般外部の受験者もかなりいます。

 4月の模試結果を早速見てみましょう。

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サピックス模試で志願者の多い学校の動向

 まず目立つのは、ここ数年の志願者増加傾向が、いっそう強まっている学校です。男子では、麻布、武蔵、栄光学園、本郷、浅野、明大中野などが挙げられます。麻布、武蔵は大学入試に特化した学校ではなく自由な校風の下、麻布は教養総合、武蔵は第2外国語やゼミナール形式の授業などの独特な教育が評価されていると思われます。

 栄光学園や明大中野は新校舎が完成し、教育環境が充実したことも高評価の一端かと思います。本郷や浅野は面倒見のよい教育が売りの一つで、各授業も非常に充実しています。

 女子では吉祥女子の伸びが目立ちます。比較的自由な校風で部活も盛んです。大学進学実績は理系に強いだけでなく、芸術系もある進路の多様さが評価されているようです。女子学院、雙葉、フェリス、立教女学院、白百合学園など、キリスト教のミッションスクールも好調です。心の教育の大切さが問われる時代、学校に一つの芯があること、さらに雙葉や白百合は英語だけではなく、フランス語も学べることがポイントになっていると思います。グローバル時代において、欧米人とのコミュニケーションを取る際に、キリスト教の環境で中高時代を過ごすことは大きなプラスになると思われます。

 共学校について、サピックスでは男女別の定員枠のある学校や合格最低点に男女でかなり差がある学校は男女別判定を基本とし、そうでない学校は男女合算で判定しています。ここ数年の共学校ブーム、大学付属校人気も昨年より少し落ち着いてきたように思いますが、まだまだ油断は禁物です。これらの学校は、主に女子の受験生に人気でしたが、最近では共学校・大学付属校を目指す男子が増えています。その中でも注目されているのは早実で、ますます人気が高まっています。国立では筑波大附属中の人気が非常に高いです。

ネット出願で読みにくくなった入試動向

模試を活用することが受験成功の第一歩(写真はイメージです)
模試を活用することが受験成功の第一歩(写真はイメージです)

 受験者の増減で気を付けていただきたいのは志願者増=難化、志願者減=易化とは必ずしも言えないことです。詳細に志願者の学力状況を比較してみると、上位はほとんど減らずに下位が大きく減少している学校や、上位はほぼ同じでもチャレンジ層が多く増えている学校もあります。成績表などをよく分析していただきたいと思います。

 入試動向はさまざまな要素で変化するものですが、単純な隔年現象もあります。ある年度に受験者が増加すると次年度は減少することが多いです。また大きな入試改革があるとその年度は増加し、翌年は減少することが多いです。新校舎の完成などの要素は受験者増加につながります。もちろん、その年度の難関大学への大学合格実績もまた大きな要因となります。

 ここ数年、ネット出願を導入する学校が増加していて、受験前日に大きく出願数が伸びたりすることもあります。このため、動向を読むことはなかなか難しくなっていますが、やはり、模試の動向を分析することが各校の難易度も見るうえで重要です。

 たとえば、2020年度は2月2日が日曜日にあたるので、一部のプロテスタント校は入試日を移動させる動きがあり、青山学院中等部はすでに2月3日と発表しています。各校が4月から徐々に20年度の入試要項を発表します。中には、田園調布学園が20年度から2月1日の午後に算数1教科入試を新設するなど、大きな影響を与えると思われる変更もあります。これらの情報は模試には随時反映されますが、すべての入試日程がほぼ確定するのは7月頃ですので、それまではまだ要項の変更される可能性があることに注意が必要です。

 模試というと、お子さまの偏差値や合否判定に目が行きがちですが、一番重要なのは、お子さまの弱点分野を洗い出し、今後の学習につなげることです。特に受験者の正答率が比較的に高い問題でのミスはチェックが必要です。

 また、この時期はまだ分野によって得意・不得意の差がかなりあります。たまたま得意な分野が出たから高得点、苦手分野が多かったので低得点ということもありますから、1回の結果だけではなく、複数回の結果で実力を見てほしいと思います。そして模試結果で気になることがあれば、すぐにお通いの塾の先生に相談してみてください。今後の受験勉強の参考になるアドバイスをいただけると思います。

 模試をうまく活用することは受験成功への第一歩です。結果を恐れずに積極的にチャレンジするとともに、結果だけにこだわらず、お子さまの良い点を見つけ、前向きに頑張らせていただきたいと思います。

プロフィル
広野 雅明( ひろの・まさあき
 サピックス教育事業本部本部長。サピックス草創期から、一貫して算数を指導。算数科教科責任者・教務部長などを歴任。現在は、入試情報、広報活動、新規教育事業を担当。

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574393 0 マナビレンジャー 合格への道 2019/05/13 05:21:00 2019/05/13 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/05/20190507-OYT8I50007-T.jpg?type=thumbnail

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