中学受験、夏休み前のモヤモヤ解消法…佐藤亮子
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昔も今も夏が「天王山」
今年も夏休みがやってきます。毎年来ることが分かっていても、受験生の夏休みは特別ですよね。夏休みが終わると秋になり、募集要項だの願書だの生々しい話が出てきて、「おー! いよいよ本番が近づいてきたぞ」という感じになります。秋になったとき、胸の中を秋風のような不安がヒューとよぎることのないようにしたいものです。受験が近づいてきた時に感じるあのなんとも言えない「不安」は、本番の時の「あせり」に直結しますので、秋にはそこそこの「自信」を持っておけるようにしておくことですね。
秋からの「自信」を獲得するために、夏休みの過ごし方が非常に重要になります。受験生にとって、昔も今も夏が「天王山」と言われる
夏が近づいてきて、夏期講習のパンフレットを目にすると、親も子もなんだか、「モヤモヤしてきて気持ちが落ち着かなくなる」という声をよく耳にします。気持ちは分からなくはないですが、モヤモヤしたままで夏休みに突入するのはまずいですね。
「モヤモヤ」の原因を具体的に整理しよう
まず、その「モヤモヤ」している原因をいくつか具体的に考えてみましょう。
(1)親は夏に子供を頑張らせようと思っているのに、なんだかモヤモヤ。
・このような精神状態になるのは、受験生の親としては当然のことです。まず、具体的な計画を立ててみましょう。子供と一緒にきちんとやるべきことを紙に書き出す。この書くという行為は、人を落ち着かせます。「夏は頑張らないとね!」「ちゃんとやりなさいよ!」と言葉だけで精神論を語っても子供をイラつかせるだけですよ。まず、科目別に具体案を練っていきます。
例えば、算数の「単位換算」が苦手だとすると、「単位換算」の練習のためのプリントを毎日用意しておく。15分くらいで終わる程度のものにして全てのプリントに、やる日付を書いておく。まとめてクリアファイルに入れて保存する。
(2)子供がまだ受験生としての当事者感覚がなく、のんびりとしているのを見てモヤモヤ。
・これは、どの子もほぼ同じです。小6といっても実は、まだまだ小さな子供なのです。小学校では、最上級生なので、親は勘違いしてしまいます。私も、長男が小6のとき、大きくなったなあと思っていましたが、灘中に入学して驚きました。中高一貫の灘中の体育祭でのことです。運動場に中1から高3まで生徒がずらりと並んだのを見たとき、中1の我が子は一体どこにいるのかと思うほど、中1の生徒は小さかったのです。高校生の大きいこと。中1なんて、
(3)成績がいまいちでこのままでは、志望校に届かない。
・テストの間違いの傾向をつかみ、悪い癖を直すことです。とりあえず志望校の名前は考えないでおきましょう。
(4)計算間違い、漢字、知識分野などのつまらないミスがまだ多くてモヤモヤ。
・これらのことは、実は一番心配しなければならないことで、一刻も早く直さないといけません。つまらないミスというのは、得点できていた問題なので、重大な欠点です。本番の不合格に直結するのがこの三つです。毎日「漢字3個」とノルマを決めるなどして、夏休みにこそつまらないミスを退治しましょう。
(5)学校の宿題などが多く、受験に関係ないことで子供が忙しいのにモヤモヤ。

・これも悩ましい問題ですよね。受験の合格を第一に考えると、やはり受験勉強が先決になります。学校の勉強も受験に役には立ちますが、宿題などに多くの時間をかけるのは得策ではありません。学校のものは、分けて少しずつ塾の宿題の合間に要領よく済ませることです。
(6)受験まではまだ時間があるようでないようで、なんでも出来そうで、でももう間に合いそうになくて……と心配が先にたってモヤモヤ。
・心配だけしてもなんの役にも立たないので、まず、受験日まで何日あるのか数えてみてください。その日数から、行事などで全く勉強ができない日を引く。とりあえず、8月31日までで、寝る時間、ご飯の時間、お風呂、通塾の時間など勉強に使えない時間を「分単位」で割り出し、全部で何分あるのかを具体的につかむ。使える時間を目いっぱい使うように計画を立てる。やるべきことがはっきりすると、心配はスーッと消えていきます。
(7)自分が中学受験を経験していないので、やり方がはっきり見えず、不安になりモヤモヤ。
・知らないことは、あらゆるところから情報を集めて自ら分析するしかないですね。人任せにしない。経験者のお母さんから話を聞くのはかなり有効です。くよくよ悩まずに塾の先生にも相談してみてください。当時、私も勉強のやり方などを塾の先生によく相談していました。先生から、「そのやり方で大丈夫ですよ」とお墨付きをいただくと安心してそのやり方で突っ走れます。
12月までのスケジュールを親子で確認する
要するに、受験について親も子も、頭の中を具体化することです。「モヤモヤ」の主原因は、具体性の欠如です。
第1志望から第5志望までの学校を書き出してみる。それぞれの学校の入試の内容の詳細を調べる。6年時の成績を整理する。何が苦手で何が得意かを考える。それぞれの科目で、あと何点くらい取れば、受験校の合格者平均点に届くのか計算する(この場合、合格者最低点ではなく合格者平均点というところに注意。なぜなら、最低点は変動するのでそれを目指すのは危険。平均点をとる実力があれば、問題の傾向が多少変わろうが落ちる心配はないので、平均点を目指すこと)。
今年の12月までのスケジュールも一度、親と子でノートに書き出す。そのノートに書いたことを守れば、必ず合格することを親子で確認する。
と、いうようなことでしょうか。
夏休みを前にモヤモヤしている受験生とその保護者の方、ぜひ頭の中を受験一色にして、一歩一歩前に進みましょう!
