緑豊かな校地に恵まれた伝統女子校…広野雅明<12>

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 今回は、ここ数年人気の高いGMARCHの付属校の中から、女子校を2校紹介させていただきます。難関私立大学の入学定員厳格化の中で今春は両校とも非常に厳しい入試となりましたが、6月のサピックスの模擬試験ではその反動か、若干志願者数が減少しています。ただし、来年は2月2日が日曜日のため、青山学院が入試日を2月3日に移動させたり、午後入試がさらに増加したりするなど、各学校の受験日程は今年と異なりますので、まだまだ来春の難易度は予想がつきません。まずは志望校合格を目指して、苦手教科・苦手分野をできるだけ克服し、基礎学力を定着させましょう。

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華族女学校から始まる伝統校 学習院女子中等科

学習院女子の正門は国の重要文化財に指定されている
学習院女子の正門は国の重要文化財に指定されている

 学習院女子の歴史は1847年に京都御所日御門(ひのごもん)(現・建春門)前に開講した学習所から始まります。77年に東京・神田錦町に華族学校が開設され、85年には四谷尾張町に華族女学校が開校されます。その後、何回かの移転や組織の改革を行いながら、1946年に現在地に移転し、翌47年から現在の学習院女子中等科・高等科となりました。戦前は華族の学校であった伝統から皇族の方も入学されますが、近年ではさまざまなご家庭から多様なお子様の入学する普通の私立学校となっています。77年から海外帰国子女入試を始めるなど国際化への取り組みも早いです。また、以前は併設の学習院大学、学習院女子大学に進学するお子様が多数でしたが、最近は他大学に進学するお子様も増え、今年度は約61%が内部進学、その他のお子様は他大学受験をされたようです。

 学習院女子の魅力の一つは、女子大と一体化した緑豊かな広大なキャンパスで、グラウンド、テニスコート、バレーコートなど各種の運動施設も十分に整っています。2008年に東京メトロ副都心線「西早稲田」駅が開業したことで、アクセスがさらに良好になり、各方面から通いやすくなりました。

 学習院女子のカリキュラムを見てみると中等科は1年では週に32コマ、2、3年では週に34コマと比較的余裕があります。いわゆる進学校のようにハイペースで授業が進むのではなく、実験・実習を重視しながら授業はじっくりと進みます。ただし、課題が少ないわけではないので生徒はしっかりと勉強する必要があります。成績不振者には個別の指導もあり、面倒見もよいようです。伝統校の特色としていわゆる主要5教科以外の時間数も十分取られています。同校の教育方針は、「本物に触れる」「過程を大切にする」「表現力を身につける」の3点で、各授業ではその方針が徹底されています。

 同校には初等科からの内進生、帰国生入試での入学者、一般入試での入学者がおりますが、通常のクラスは混成クラスです。ただし、英語の授業は、帰国生・既習者・未習者の三つのクラスに分かれます。帰国生のクラスでは外国人講師の授業も多く、さらに英語力を伸ばす機会に恵まれています。

 授業の魅力としては高校課程で実施される第2外国語が挙げられます。高校3年間でドイツ語・フランス語の選択ができます。少人数のクラスでかなりきめ細かい指導を行っているようですので、3年間の履修後はドイツ語検定・フランス語検定3級合格程度の力が付くそうです。国際交流も盛んで希望者を対象としたイギリス・オーストラリアの研修旅行もあります。また付属校の強みを生かす高大連携として、学習院大学や学習院女子大学からの出張講義もあり、より高いレベルの学問に触れる機会も早くから用意されています。

 先ほど紹介した教育方針は、「本物に触れる」「過程を大切にする」「表現力を身につける」でしたが、同校の入試問題でもこの3点が重視されます。算数では途中式や考え方も採点対象になりますし、他教科でもかなり記述問題が多く出題されます。また、単なる知識を問う問題は少なく、与えられた文章や題材を基にその場で考察させる問題が多く出題されます。入試問題がまさにその後の授業につながっています。この入試問題を解きやすいと感じるお子様は同校の授業に向いているように思います。

 同校の沿革や、初等科からの進学者がいることに気後れを感じる保護者の皆様もいらっしゃるかと思いますが、実際には普通の女子校です。ぜひ一度、学校行事や説明会で様子を見ていただけると、この学校の魅力が伝わってくると思います。

明治初期から始まるプロテスタント校 立教女学院

緑豊かなキャンパスに立つ立教女学院
緑豊かなキャンパスに立つ立教女学院

 立教女学院は、1877年に東京・文京区湯島に設立された立教女学校が原点です。その後、外国人居留地のある築地に移転、さらに関東大震災後に現在の久我山に移転しました。キャンパスは井の頭線「三鷹台」の駅前で非常に便利です。校舎は小学校から短期大学まで同じ敷地にありますが、緑豊かな敷地に各種の施設も十分に整っています。施設はミッションスクールらしく伝統ある建物が多いです。

 本校の魅力の一つは立教大学への大きな推薦枠(受け入れ総数121人)を持っていることです。2019年度の進路状況では卒業生185人のうち102人が立教大学へ進学しています。一般受験でも東京大学1人を含め国公立大学へ16人、慶応大学へ23人、早稲田大学へ21人が合格するなど実績良好です。

 立教女学院は、キリスト教に基づく人間教育を重視している学校です。そのため学校生活は礼拝で始まります。毎朝20分間、礼拝堂や講堂でパイプオルガンを聴きながら、自分自身を見つめ直す時間があり、卒業生にとっては同校で過ごした一番印象に残る時間になるようです。学校内でのイースター礼拝、昇天日礼拝、学院創立記念礼拝、クリスマス礼拝などの行事だけでなく、近隣の特別養護老人ホームや教会などでのボランティア活動も大切にしています。

 ご家庭の宗教は問われませんし、信仰を強要されることはありませんが、キリスト教に基づく教育を行う学校であることはよく理解していただきたいと思います。

 立教女学院では、自らテーマを求め(Ask)、調べ(Research)、言語化して発表する(Express)の「ARE学習」が実施されています。この学習を通して生徒さんは卒業論文を作成しています。中1では地域の調査、中2では修学旅行の事前学習、中3では平和・人権学習と学年ごとにテーマが決まっています。高校では自分でテーマを設定することから始め、3年間でARE学習の総仕上げをします。希望者は卒業論文の作成も行います。このような6年間の系統的な学習も中高一貫校の魅力です。

 立教女学院は1学年が約200人で、内訳は併設の小学校から約70人、帰国生が約20人、中学受験で入学するお子様が約110人です。これらのお子様が中学では1クラス40人で五つのクラスに分かれます。高1までは全員が共通のカリキュラムですが、高2以後は理系コース、文1コース(立教大学を除く文系進学希望者)、文2コース(立教大学推薦希望者・芸術系大学など進学希望者)に分かれます。また、中学校、高校とも、英語は学習習熟度別クラス編成となっていますので、少人数教育で英語力も非常に高まります。

 立教女学院の入試問題は国語が特徴的です。長めの文章の読解、長文の記述問題も出題されます。算数、理科、社会は比較的オーソドックスな問題が多く出題されるため、日頃の学習量で大きな差が付きます。まずコツコツと基礎学力を固め、最後は過去の入試問題をしっかりと練習し、同校の出題形式になじんでください。

 比較的小規模な学校で面倒見もよく、緑豊かな余裕のあるキャンパスで、キリスト教に基づく教育はお子様に、豊かで自由な心を育むと思います。ご興味があればぜひ同校も一度は訪ねていただきたいと思います。

プロフィル
広野 雅明( ひろの・まさあき
 サピックス教育事業本部本部長。サピックス草創期から、一貫して算数を指導。算数科教科責任者・教務部長などを歴任。現在は、入試情報、広報活動、新規教育事業を担当。

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667786 0 マナビレンジャー 合格への道 2019/07/04 05:21:00 2019/07/04 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/06/20190626-OYT8I50031-T.jpg?type=thumbnail

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