2020年度以降、注目の入試方式変更…広野雅明<13>

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 今回は、来年度以降の入試要項の変更に着目して、中学受験がどのように動くかを考えてみたいと思います。

共学化や高校募集の停止と再開

 近年、男女別学校の共学化が進んでいますが、来年度は小野学園女子(東京都品川区)が品川翔英と校名変更した上で共学化することが発表されました。もともと小学校までは共学で、中学から他校へ進学する人気校でしたが、今回中高も共学化されます。JRの西大井駅や大井町駅からも至近で大変アクセスがよく、進学指導やグローバル教育の強化にも大変期待が集まります。

 また、聖ヨゼフ学園(横浜市鶴見区)も同じく共学化されます。同校の小学校は共学で中高は小規模な女子校でしたが、これにより中高もカトリック校では数少ない共学となります。また、国際バカロレア(IB)についても、すでに認定されている小学校に続いて中高も認定を目指しています。規模が小さいので数字の上ではあまり目立つ学校ではありませんが、その分面倒見のよい学校で今後が期待されます。

 かえつ有明(東京都江東区)は従来、授業は男女別に行う学校でしたが、2020年度から男女共学の授業に移行します。今春は桐蔭学園中等教育学校(横浜市青葉区)が完全共学化しました。別学か共学か長所・短所がそれぞれあるかと思いますが、各校の模索が続きます。

 来年度の大きなニュースとしては本郷学園(東京都豊島区)が2021年度から高校募集を停止し、完全中高一貫校化します。高校から入学する生徒と中学入学の生徒の合流型のカリキュラムはかなり複雑なものですが、今後はシンプルになるそうです。それに伴い中学校の募集定員は240人から280人に増加しますので、受験生にはチャンスが広がります。

 女子では豊島岡女子学園(東京都豊島区)が2022年度から高校募集を停止します。中学校の定員は変更せず240人のままです。他の女子校に比べ、比較的人数の多い学校でしたが、完全中高一貫校化とともに規模が若干小さくなりますので、カリキュラムの改革やより面倒見のよい教育への期待が集まります。

 その一方で2020年度から聖セシリア女子中学校・高等学校(神奈川県大和市)や中村中学校・高等学校(東京都江東区)の普通科が高校募集を再開します。少子化の進展や経済状況により、今後も高校募集の再開を検討する学校があるかと思います。

午後入試の新設や英語入試の増加傾向

各学校とも独自の英語授業や留学など各種プログラムを設けている(写真はイメージです)
各学校とも独自の英語授業や留学など各種プログラムを設けている(写真はイメージです)

 ここ数年間、午後入試を開設する学校が毎年増加しています。来年度も、従来は午前中の入試だけだった学校が新設します。まず、暁星中学校(東京都千代田区)は、今春まで2月3日午前中のみの単日入試でしたが、来年度から2日午前、3日午後の2回入試になります。3日午後は算数・国語の2科目入試です。暁星はフランス語の選択も可能であり、伝統的に医学部に強い学校です。入試改革によりさまざまな併願パターンが組めますので、来年度は注目の的です。

 女子では、湘南白百合学園(神奈川県藤沢市)が2月1日午後に算数1教科入試を新設し、帰国生入試を12月21日に早期化します。2日午前の入試は英語資格入試が選択可能です。実用英語技能検定の1級・準1級が100点、2級が90点、準2級が70点、3級が30点に得点化されます。準2級は国立大学の受験資格にあたるCEFRのA2ですので、中学受験の英語選択者に対して求めるレベルがかなり高いことが分かります。2級や準2級を取得させるための学習はかなりハードルが高いので、通常の4教科に英語を加えた5教科入試に踏み切るのはなかなか難しいと思われます。

 同時に一般入試では面接が廃止されますので、かなり受験しやすくなる面もあります。湘南白百合は校地にも恵まれ、比較的小規模なミッションスクールでとても面倒見がよく、進学実績も良好です。午後入試の導入によりさまざまな学校との併願が可能になりますので、受験パターンを再検討する保護者も多いかと思います。

 田園調布学園(東京都世田谷区)も2月1日午後に算数1教科入試を新設し、入試時の面接を廃止します。田園調布学園は、都内からも神奈川県からもアクセスがよく、女子校の中では理系比率の高い学校です。進学実績も規模に比べて高く、将来理系への進学をお考えの女子にはぜひ注目してほしい学校の一つです。

 山脇学園(東京都港区)は2月2日午後に、新たに「探究サイエンス入試」を導入し、理科と課題研究で合否を決めます。1日の午後には国語または算数の1教科入試、午前中は4教科または国語・算数・英語の入試とさまざまなタイプの入試が用意されていますので、自分の得意に合わせ受験科目が選択できます。イングリッシュアイランド、サイエンスアイランド、リベラルアーツアイランドなどの各種の施設も充実しておりますので、さまざまな学びの希望に応えてくれると思われます。

 その他の学校でも入試要項の変更が多々ありますので、学校説明会や各種の受験関係の資料でぜひご確認ください。

 一時期流行した各学校独自のいわゆる新型入試よりも、従来型の4教科の入試をベースに受験生の負担軽減や得意教科に期待しての教科選択型の入試が中心になっています。また、公立一貫校の併願者を対象とする適性検査型の入試も各校で実施されています。やはり中学に入学するにあたり、しっかりと授業を聴いて、メモを取り、家庭学習をきちんとするような学習習慣と努力が非常に大事な要素だと各学校は考えているようです。

 英語「選択」入試は増加傾向にありますが、国立大学の受験資格に匹敵するような資格を求めたり、高校受験以上に難しい出題をしたりする学校と、公立小学校での英語授業+αを求める学校とに二極化が進んでいると思われます。帰国生や海外生活経験者、インターナショナルスクール在籍者、幼児期からかなり熱心に英語を学習されているお子様にはチャンスが広がりますので、自信のある方はぜひチャレンジしていただきたいと思います。

 なお、国立中学校では筑波大学附属中学校(東京都文京区)が、併設の小学校1クラスの定員減に伴い、来年度は募集人数を約65人から約80人に増やします。また2021年度入試からは入試科目を従来の8教科から4教科に変更します。ただし音楽・図画工作・体育・家庭は小学校の評定により点数化されますので、まずは小学校の授業を大切にすることが大事です。

 最近はグローバル化の進展への対応として、各学校が独自の英語授業や留学などの各種プログラムを発展させています。このため「英語」は志望校選択の一つの要素になっていますが、その延長で国際コースなどの別コースを設ける学校も増えてきました。来年度は国本女子中学校(東京都世田谷区)がカナダ・アルバータ州教育省と提携し、「ダブルディプロマコース」を新設します。英語力が高まるのは当然ですが卒業時に日本とカナダの高校卒業資格を同時に取得可能になり、進路の選択が広がります。

数値化できない部分にこそ私学の魅力はある

 6年生のお子様をお持ちの保護者の皆様は、これから先の秋口は非常にお悩みのことも多いかと思います。偏差値をはじめとした各種の数値やデータが非常に気になることかと思いますが、これらの数値はその学校の一面に過ぎません。むしろ数値化できない部分にも魅力があるのが私立学校です。数値は利用するもので利用されるものではありません。迷った時は実際にその学校を訪問して体感していただくとともに、お通いの塾の先生に率直にご相談いただきたいと思います。

プロフィル
広野 雅明( ひろの・まさあき
 サピックス教育事業本部本部長。サピックス草創期から、一貫して算数を指導。算数科教科責任者・教務部長などを歴任。現在は、入試情報、広報活動、新規教育事業を担当。

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744745 0 マナビレンジャー 合格への道 2019/08/22 05:21:00 2019/08/22 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/08/20190814-OYT8I50049-T.jpg?type=thumbnail

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