8月「夏期講習どうする問題」で身も心も休まらず…熊村剛輔

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 8月の終わりは、夏休みの終わり。今年の8月も終わってしまったが、あらためて振り返ると、今年の夏休みは久しぶりにゆっくりと過ごすことができた。

 中学2年生になった息子の夏休みは、期末試験が終わり、その成績などが返されて、すぐに始まる。7月の下旬から8月上旬は、学校行事や部活の合宿で、しばらく家にはいなくなる。お盆には決まって家族旅行なのだが、それ以外は毎日、部活に出掛ける彼を見送り、宿題を見るといった日常がたんたんと過ぎていく。ああ、平穏な夏休み。

 そんなお父ちゃんの久しぶりの“夏休み”らしい日々は、妻にとっては、そんなに悠長なものではないのであった。「ゆっくりと過ぎゆく夏休み? 冗談じゃない! 毎日の弁当作りや、汚れたユニフォホームの洗濯は相変わらず!長女(小学生)まで一日中家にいるんだから家事は倍増です!(ビシッ)」と逆鱗(げきりん)に触れてしまうのであります(はい、たしかにその通りです……)。

お金と時間と効果を検証する日々始まる

塾の夏期講習で息子は中学受験に必要な習慣を身に付けることができた(写真はイメージです)
塾の夏期講習で息子は中学受験に必要な習慣を身に付けることができた(写真はイメージです)

 思い起こせば、中学受験を駆け抜けた夏休みは常に慌ただしい日々だった。これほどまでに余裕を感じたのは、息子が小学3年生の時の夏休み以来だ。

 受験を意識して行動を始めた小学4年生から6年生の3年間は、たとえ夏休みであっても、休みらしい休みを過ごすということがほとんどなくなる。塾によって違いはあるが、小学4年生の夏期講習ともなると、短くて15日間。長いところでは20日間程度のボリュームになる。夏休みの3分の1から半分は、夏期講習に時間が費やされることとなる。当然、お父ちゃんも息子とその時間を一緒に過ごした。

 時間が費やされるのに比例して、おカネもきっちり消えていった。夏期講習にかかる費用は、小学4年生、5年生で、1回5万円から10万円。6年生になると授業時間も期間も長くなるし、志望校の受験に向けた対策授業がオプションで追加され、気が付けばさらに倍のご請求金額に。4人家族でちょっと贅沢(ぜいたく)な国内温泉旅行ができるくらいの予算だ。

 お父ちゃんの感覚としては、やはり、夏休みのかなりの割合を占める夏期講習である以上、非常にシビアなコスト感で挑みたいと考えた。どこの塾と本腰入れて付き合っていくかが、まだ定まっていなかった4年生の夏期講習は、あえて普段通わせている塾とは違うところの夏期講習を受講させ、さまざまな塾を試しながら検討する、といったことも考えた。IT業界的にはPoC(Proof of Conceptの略:新しい概念や方法論が実現可能であることを実証する)をやってみるような感覚だ。

 実際、小学5年生の時もメインで付き合う塾を替えることを選択肢に入れつつ(そういう家庭も多くあるそうです)、再び夏期講習を受けてみて、塾の比較検討が行われた。普段通っている塾のカリキュラムに息子の学力がついていけていないといったことが起きているなら、塾の補習のために個別指導の塾に通わせなくてはとも考えた。つまり「塾のための塾」だ。とにかくカネはかかる……(涙)。

 いよいよ6年生になると、息子の志望校に合わせて対策授業を選ぶことに頭を悩ませることになった。中学受験をする子供を抱える家庭は、毎年「夏期講習どうする問題」に頭を悩ませているんだろうなと思う。周りのご家庭を見ていてもそうだったみたいだ。

夏期講習の準備はゴールデンウィークから

 どの塾でも早いところでは5月の終わり頃、遅くとも6月中に夏期講習の申し込みが始まる。つまり、この「夏期講習どうする問題」は毎年ゴールデンウィークが終わる頃から本格的に始まる。どの塾の夏期講習に通わせるか、もしくはどの対策授業を選ぶかを決めていないと、夏の予定は全く固まらない。夏休みの多くを占める夏期講習の日程が決まらないと、家族旅行もイベントも決まってこないし、小学校で出た自由研究も、宿題を片付けるスケジュールも決められないことになってしまう。

 夏のスケジュールは「夏期講習」が中心。親にとってこの課題を解決することが、最大のミッションとなってくる。お父ちゃんからしてみれば、会社のタスク管理の方が圧倒的に楽なものに思えてくる……。

 夏期講習は、塾も新入生の獲得に力を入れる。当然気合いの入った「プレゼン」をしてくる。たくさんの塾のパンフレットを前に「夏期講習どうする問題」と格闘するのは、私たち夫婦にとって、この3年間の初夏の恒例行事となっていた。

 と、お父ちゃん的にも、自分の頑張りをさり気なくアピールしてみたが、ほとんどを悩み考え抜いたのは妻であった。父はその期間の長さとカリキュラムの多さに圧倒され、おろおろとしていたのだった。かつて中学受験を経験し、過酷な夏期講習を乗り越えてきた彼の母は、経験者ならではの作戦を立てていた(あとでしみじみ分かった)。そういえば自分の夏休みはといえば、遊び過ぎて8月31日に半泣きで学校の宿題をしていたような思い出しかない……。街にクリスマスソングが流れる頃になり、学校の先生から「いい加減にしろ」と言われて、ようやく提出していたんだよ、お父ちゃんは。毎日、家でこつこつと勉強をするという習慣は、結局身に付かないまま大人になってしまったのだ。

 少なくとも4年生の段階で、夏期講習は毎日、一定時間机に向かって勉強する習慣を付けることが目的だ。息子も4年生の夏期講習をきっかけに、毎日、机に向かって勉強をするようになった。その後の中学受験を乗り切るために必要な習慣を身に付けることができたという意味で、夏期講習は、非常に重要だったと思う。

 もっとも、今年中学2年生になった息子は、かつての父親と同様、今、隣で大慌てで宿題を片付けているのだが、これはもう、血は争えないということなのかもしれない……。

プロフィル
熊村 剛輔( くまむら・ごうすけ
 外資系IT企業勤務。サックス奏者でありライター。父親の転勤に伴い、幼少から海外に生活し、小中高校は全て海外で卒業。大学入学以降日本に在住し、四半世紀。今でもときどき文化の違いに戸惑いながら、現在に至る。一男一女の父。

無断転載禁止
801718 0 マナビレンジャー 合格への道 2019/09/18 17:00:00 2019/09/18 17:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/09/20190918-OYT8I50018-T.jpg?type=thumbnail

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