来春の中学受験、今年よりさらに狭き門に…広野雅明<14>

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 9月以後は、各塾、各テスト会でさまざまな模擬試験が開催されます。来春の入試に向け、受験予定校の合否判定などが大変気になる時期でしょう。特に中学校をお借りする会場受験では、いつもと異なる環境でかなり緊張するかとは思いますが、そのような状況でも実力を発揮できるようになっていただければと願っております。

入試日移動や高校募集停止に注意

 さて今回は、サピックスで9月に実施された第1回合格力判定サピックスオープンの結果を基に、来春の入試動向を考えてみたいと思います。今回はテスト受験者が前年度よりも約11パーセント増加しています。他の模試も前年度より受験者が数パーセント増加している回が多いようですので、来春の中学受験は今年よりやや狭き門になりそうです。

 以下が模試結果による志願状況です。

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 まず注意が必要なのは、来年は2月2日が日曜日なので、プロテスタント系の学校を中心に入試日が移動しています。特に青山学院中等部が2月2日から3日に入試日を移動しますので、付属校やキリスト教系の学校の増減がかなりありました。男子では2日の慶応湘南藤沢の増加、3日の慶応中等部の減少があり、女子では東洋英和女学院Bが同様に入試日を3日に移動しますので、2日の白百合学園、慶応湘南藤沢、法政第二が増加し、3日の慶応中等部、学習院女子が減少するなど大きな影響がありそうです。表には入っていませんが、3日から2日に入試日を移動する暁星も前年度より10パーセント以上志願者が増加しています。

 次に注目したいのは高校募集停止、完全中高一貫化を発表し、中学定員を増加した本郷中学校です。一部の入試回は上の表には入っていませんが、1回の志願者は前年とほぼ同数、2回は約14パーセント増加、3回は約9パーセントの増加です。中学定員を現状維持とする豊島岡女子学園の志願者は、1回は約11パーセント、2回は約3パーセント、3回は約11パーセント増加しております。今後も完全中高一貫化のメリットが浸透すると、両校とも難化しそうです。また、中学の募集人員を約15人増加する筑波大附属中学校も、男子で約20パーセント、女子で約23パーセント、志願者が増加していますので、広き門にはなかなかならないようです。

難関大学合格者の増減が志願状況を変える

 毎年、難関大学、特に東大合格者の増加は志願状況に影響を与えます。例えば男子校では、駒場東邦(東大合格者数:昨年47→今年61)の志願者数は約23パーセント増、巣鴨(11→21)は、1期入試が約2.3倍、算数選抜入試が約2.2倍、2期入試が約1.5倍、3期入試は約1.5倍と大幅に増加しています。世田谷学園(5→15)は、1次入試こそ約4パーセント減少していますが、算数特選入試は約25パーセント、2次入試は約2パーセント、3次入試は約46パーセントと大きく増加しています。

 難関国公立大学は基礎学力の定着は当然として、さらに深い思考力・記述力を要求される2次試験を突破する学力、そして何よりも最難関大学を目指す強い精神力が求められます。合格者が大きく伸びた学校は、校内でのさまざまな改革が実を結んだ可能性が高いと思われます。

 女子校では学習院女子高等科の東大3人合格も注目されます。以前は併設の学習院大学、学習院女子大学に進学するお子様が多い学校でしたが、最近は外部進学するお子様が半数弱になり、学力向上にも余念がありません。今年は昨年の大幅増の反動でA入試は約28パーセント、B入試は約23パーセント減少していますので、現段階ではチャンスが広がっています。

 共学校では渋谷幕張(48→72)が、1次入試で約2パーセント減、2次入試で約3パーセント減ですが、全体的に受験者層が上位にシフトしていますので、易化する可能性は低いと思われます。栄東(14→19)はA入試が約5パーセント、東大1入試は算数1科入試も含むと約15パーセント増加しています。栄東の東大1、東大2の入試では4教科受験と算数1教科受験が選択できますので、受験生それぞれの得意・不得意に合わせて受験ができることと、算数1教科の受験であれば体力的な負担も少ないので、非常に受験しやすくなったと思われます。

午後入試の実施校も受験率上昇の傾向

 千葉県では1月20日に午後入試を始めてから受験者が増加している昭和秀英が、12月1日の専願入試を廃止し、3回の入試に移行します。その結果12月1日の千葉県の専願入試・推薦入試では、東邦大東邦のさらなる難化が避けられない状況です。千葉の各校は中高一貫コースの進学実績が年々上昇し、学校ごとにさまざまなプログラムが用意されていますので、通学可能な方はぜひ各校の説明会にも参加していただきたいと思います。

 2月の午後入試校に目を移すと、今年も暁星(2月3日午後)、田園調布(2月1日午後)、湘南白百合(2月1日午後)などが参入します。ただし、年々午後入試の受験率が上昇していますので、学校数が増加してもなかなか入試状況が緩和しないのが現状です。特に校名変更、共学化などを機に大きな学校改革に踏み切り、グローバル化に対応した学校群の人気が不動です。受験者が減少している入試日も、受験層が上位にシフトしていますので、難易度は下がらない状況です。なかでも広尾学園、三田国際学園、開智日本橋は年々、難度が上昇しています。国内の大学だけではなく、海外大学への進学を見据え、英語を核とした新しい教育を充実させた学校は、今後も人気が続くと思われます。

 午後入試の学校は、入試科目が多様なことも一つの特徴です。1教科・2教科の学校が多いですが、4教科の学校でも比較的試験時間が短めなことが特徴です。また試験当日の夜に合格発表がある学校も多いので、場合により結果を見て翌日の受験校を決めることも可能ですし、目指す学校の一つの合格を勝ち取れば、翌日の試験に安心して臨めるというチャンスもあります。その意味でも午後入試をうまく利用することは今後も重要です。

 ここ数年、私立大学の入学定員厳格化の影響で、大学付属校人気が続いていますが、学習院中等科(1):約18パーセント増、明大明治(1):約12パーセント増、青山学院男子:約16パーセント減、女子:約12パーセント増、立教池袋(1):約66パーセント増、立教女学院:約6パーセント増、中大附属(1):約42パーセント増、法政大学(1):約21パーセント増と、各校大幅に増加しています。

 付属校には進学校にはないさまざまな魅力があり、教育面、環境面と各校それぞれに充実しておりますし、大学によっては併設大学への推薦権を維持しながら国公立大学などを受験することが可能な制度も導入されています。その一方で、大学受験を前提とした進学校型のカリキュラムにはなっていませんので、それぞれ一長一短があります。付属校を受験する場合は、併設大学の学部までしっかりと調べ、お子様の希望の進路が狭まらないか、よくご確認いただきたいと思います。

 6年生の受験生をお持ちの保護者の皆様にとっては残り数か月、非常にご多忙な時期かと思います。また、お子様も毎日勉強漬けで大変かと思います。ただし、一生懸命に努力をすることはお子様を大きく成長させます。ぜひ模擬試験をうまく活用して、お子様の志望校合格を目指して頑張らせていただきたいと思います。

プロフィル
広野 雅明( ひろの・まさあき
 サピックス教育事業本部本部長。サピックス草創期から、一貫して算数を指導。算数科教科責任者・教務部長などを歴任。現在は、入試情報、広報活動、新規教育事業を担当。

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851139 0 マナビレンジャー 合格への道 2019/10/18 10:14:00 2019/10/18 10:14:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/10/20191016-OYT8I50050-T.jpg?type=thumbnail

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