カトリック校女子球技大会の冷静と情熱…辛酸なめ子<22>

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意外に球技も強かった、あの学校

雙葉VS田園調布雙葉の卓球の試合中、タオルを敷いてひざ立ちする雙葉生の女子力に感動
雙葉VS田園調布雙葉の卓球の試合中、タオルを敷いてひざ立ちする雙葉生の女子力に感動

 先日、町田市立総合体育館で開催された「第60回 関東地区カトリック校女子球技大会」を見学させていただきました。カトリック校と球技というと、お嬢様が優雅にたしなまれているイメージですが、実際は想像以上に本気度の高い大会でした。決勝が行われる午後、会場の体育館に一歩入ると、女子たちのパワフルな声援で鼓膜が震えました。しかしさすが女子たちの集い。汗臭(あせしゅう)が全くしません……やはりここはサンクチュアリの結界が張られているようでした。「奪守鋭攻」「you’ll never walk alone」など、知的なスローガンがプリントされたチームTシャツを着用した女子たちが行き交います。ちらっと会場を拝見しただけでも、エネルギーの渦に触れて生命力が(よみがえ)るような体感がありました。

 今回の顧問のお一人で、雙葉中学校・高等学校の校長であらせられる和田紀代子先生に、大会のあらましについて伺いました。

雙葉VS横浜雙葉の試合。コートの前では激しい球の奪い合いが繰り広げられました
雙葉VS横浜雙葉の試合。コートの前では激しい球の奪い合いが繰り広げられました

 「関東地区カトリック校女子球技大会は、加盟校で競技ごとに行われていたのですが、今年は60周年なので町田市立総合体育館で決勝を行うことになりました。バスケットボール、バレーボール、卓球の三種目なのは、この競技はだいたいどの学校にも部があるからです。はじまったのは昭和34年。これまでの勝敗の結果はパンフレットに掲載されています」

 と、校長先生。パンフを拝見すると総合優勝の欄で一番多いのは「雙葉」。実は意外にも球技が強い女子校だったことが判明。

 その実力は、卓球やバスケットボールなど随所に表れていました。決勝が始まる卓球の会場に行ったら、最終的に対戦するのは「雙葉VS田園調布雙葉」、ちなみにバスケットボールは「雙葉VS横浜雙葉」で、バレーボールだけは「静岡サレジオVS聖セシリア女子」でしたが、ほとんど「雙葉だらけの運動会」といっても過言ではありません。

静岡サレジオVS聖セシリア女子のバレーの決勝。生徒さんたちの声援もひときわ大きかったです。
静岡サレジオVS聖セシリア女子のバレーの決勝。生徒さんたちの声援もひときわ大きかったです。

 卓球のシングルスの第一試合はかなりの接戦でした。田園調布雙葉の選手の鋭いレシーブに、最初押されていた雙葉の選手も途中から調子を上げて30分以上善戦を繰り広げ、僅差で雙葉が勝利。

 ちなみに試合の合間に、他の部員が選手をうちわで(あお)ぎまくる、という風習があるようでした(なぜか雙葉は扇ぎっぱなしで、COOLな都会人風でした)。声援は激しくなりつつも品位が保たれていてさすがです。透明感のある声で「取れるよ! 大丈夫だよ!」「あと一本!」「いいよ~!」「ドンマイドンマイ!」などと叫んでいるのが聞こえました。また、雙葉の生徒たちはひざ立ちで応援していたのですが、全員ひざが汚れないようにタオルを敷いているのに、育ちの良さがにじみ出ていました。

表彰されても過度に喜ばない奥ゆかしさ

これまでの戦歴が刻まれた優勝カップ、そして賞状。予選を入れると2019年の参加校は次の通りになります。 静岡サレジオ 雙葉 横浜雙葉 白百合学園 湘南白百合学園 星美学園 目黒星美学園 聖心女子学院 長野清泉 聖ドミニコ学園 田園調布雙葉 静岡雙葉 晃華学園 宇都宮海星女子学院 清泉女学院 聖ヨゼフ学園 不二聖心女子学院 東星学園 浦和明の星女子 聖セシリア女子 光塩女子学院 東京純心女子 聖園女学院 函嶺白百合学園、カリタス女子
これまでの戦歴が刻まれた優勝カップ、そして賞状。予選を入れると2019年の参加校は次の通りになります。 静岡サレジオ 雙葉 横浜雙葉 白百合学園 湘南白百合学園 星美学園 目黒星美学園 聖心女子学院 長野清泉 聖ドミニコ学園 田園調布雙葉 静岡雙葉 晃華学園 宇都宮海星女子学院 清泉女学院 聖ヨゼフ学園 不二聖心女子学院 東星学園 浦和明の星女子 聖セシリア女子 光塩女子学院 東京純心女子 聖園女学院 函嶺白百合学園、カリタス女子

 バスケットボールのコートもかなりの盛り上がりを見せていました。パスを回す人、シュートする人とそれぞれの能力を生かすポジションで力を発揮。機敏な動きで、たとえシュートを入れられても瞬時に気持ちを切り替えて、自分の持ち場に走ります。雙葉がリードしていますが、横浜雙葉がなんとか追いつこうとがんばっていました。バスケットボールは僅差で雙葉が優勝。

 ちなみに雙葉の球技の部活は上下関係が厳しくて、ベンチにいる生徒がピシッと姿勢良く座っているところからも規律正しさが伺い知れました。「上級生が来るとすごい丁寧におじぎをしていて、私におじぎしているのかと思ったら先輩にだったわよ」と、和田先生は笑いを交えておっしゃいます。

閉会式にて、三位までのチームに賞状などが授与されます。拍手でたたえる参加者たち。清く正しい空気が渦巻いています。
閉会式にて、三位までのチームに賞状などが授与されます。拍手でたたえる参加者たち。清く正しい空気が渦巻いています。
最後に、今年5月にいたましい事件に遭ったカリタス学園の関係者に向けて黙祷(とう)が捧げられました。カトリック校の絆は強いです。
最後に、今年5月にいたましい事件に遭ったカリタス学園の関係者に向けて黙祷(とう)が捧げられました。カトリック校の絆は強いです。

 聖セシリア女子と静岡サレジオのバレーボールの試合も盛り上がっていました。優勝した聖セシリア女子のバレーボール部員はほぼ全員ショートカット。女子校でモテまくっていそうです。そのオーラに圧倒され、対戦相手は負けてしまったのかもしれません。聖セシリア女子の先生は「ショートカットなのは単に暑いからじゃないですか?」とおっしゃっていましたが……。

 カトリックのミッションスクールの品格は閉会式にも表れていました。それぞれの競技の三位までの順位が発表され、チームメイトや代表者が前に出て、トロフィーや賞状を受け取る、という一連の流れがあったのですが、名前を呼ばれた生徒たちが過度に喜ばない奥ゆかしさに感動しました。ふつう優勝や準優勝ともなれば叫んだりガッツポーズをしたりしそうなものですが、皆さん静かに前に出て、並んで礼儀正しくメダルをかけてもらったりしていました。それを見ている他の生徒さんたちも拍手してたたえます。負けても勝っても遺恨を残さない、女子校の処世術を見たようです。同じカトリック校同士、戦っていても根底には姉妹愛が流れているのかもしれません。この素敵な行事が100年後も続いているのを確信いたしました。

プロフィル
辛酸 なめ子( しんさん・なめこ
 漫画家・コラムニスト。東京都生まれ、埼玉県育ち。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著は「大人のコミュニケーション術」(光文社新書)、「おしゃ修行」(双葉社)、「魂活道場」(学研プラス)など。

無断転載禁止
892026 0 マナビレンジャー 合格への道 2019/11/11 11:27:00 2019/11/11 11:27:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/11/20191106-OYT8I50033-T.jpg?type=thumbnail

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