2020年関西圏中学入試の注目ポイント・注目校…森永直樹<4>

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 関西圏の中学入試(統一入試開始日)まであと1か月を切りました。今回は2020年入試の注目ポイントと、受験生の動きが注目される2校を紹介します。

2020年入試の注目ポイント

 2020年入試で注目されるポイントは大きく分けて四つあります。

 一つ目は、女子の受験生の動向です。2019年入試では、兵庫を中心に女子の受験生が増加し、その結果、従来の人気の共学校だけでなく、女子校でも受験生が増える結果となりました。この傾向が続くかどうかに注目しています。

 二つ目は、人気校の入試日程変更の影響です。兵庫では、これまで前期(統一入試開始日)のみの入試だった関西学院中学部(共学)が、4日目の後期入試を復活させました。また、白陵中学校(共学)の後期入試が4日目に動き、国立の神戸大学附属中等教育学校(共学)の一般適性検査や、六甲学院中学校(男子校)のB日程と重なることになります。これによって4日目の選択肢は、上位の男子受験生でこれまでの2択から4択へ、上位の女子受験生で1択から3択へ広がっています。特に注目されるのは、これまで神戸大学附属中等教育学校に集中していた受験生がどういう選択をするかという点です。4日目だけに予測は難しいですが、大きな変化になることは間違いありません。

 三つ目は、大学付属校人気がどこまで広がるかという点です。この数年は関関同立の系列校に人気が集中していました。その傾向は変わらず、むしろ強くなっており、難化する学校も出てきています。その影響もあり、その他の大学付属校にも人気は広がりつつあります。その代表格が近畿大学附属中学校(大阪府東大阪市)です。大学の人気の影響もありますが、ICT先進校でもあり、教育の中身も注目されています。

 四つ目は、多くの「新入試」が実施されることです。追手門学院大手前(大阪市)のロボットプログラミングとグループワークで選抜する入試、京都女子(京都市)の算数の教科テストに講義理解試験が加わった「キュリアス入試」、ノートルダム女学院(京都市)の「オーケストラクラブ入試」、親和(神戸市)の「プレゼンテーション入試」などは代表的な新入試です。このような受験生個々の特性を見極めるためのオーダーメイド的な入試は今後も増えていくでしょう。

後期入試復活の「関西学院中学部」

 注目校の1校目は兵庫県の共学校、関西学院中学部です。

 前でも触れていますが、大学付属校人気が高まるなか、後期入試が復活します。それに伴って前期入試は定員が減少し、難化が予想されています。以前の後期入試は男子校時代に実施されていたこともあり、男子の動向はある程度想定できますが、女子にとっては初めての機会となるため、「後期入試の女子」が最も注目されます。

 関西学院と言えば、兵庫では断トツのブランド力を持つ大学付属校で、キリスト教主義による全人教育を独自のスタイルで推し進めています。

 関学教育の柱は、「キリスト教」「読書」「英語」「体育」「芸術」の五つで、その中でも特色があるのは、週1、2回実施される「読書科」の授業です。読書の習慣付けだけでなく、ウェブ情報の活用方法、分かりやすく伝えるテクニック、文章の書き方などを学び、大学、そして社会に出ても通用する力を養います。

 近年では、読書科はもちろん他の授業でもICTを活用した、より能動的・活動的な授業に取り組んでおり、新時代への対応も万全です。

 また、アクティブな学校行事も有名です。中学に入学した新入生はすぐに兵庫県三田市にある千刈(せんがり)キャンプへと向かい、そこで名物行事の「メチャビー」(泥の中でのラグビー)を体験します。また中2になると瀬戸内海に浮かぶ青島(岡山県瀬戸内市 関学所有)で4泊5日のキャンプを行い、原初的な生活の中、他者との関わりを通じて協調性や思いやりを学んでいます。まさに関学の精神「Mastery for Service(奉仕のための練達)」を体得する機会となっており、五つの教育の柱とともに今後も変わることのない関学教育の特色です。

 関西学院では、創立150周年を迎える2039年に向けての超長期ビジョンの一環として「Kwansei コンピテンシー」が策定されました。これは関西学院大学生が卒業時に身に付けるべき10の知識・資質・能力です。

 「中学部は、その10のうち特に <困難を乗り越える粘り強さ>と<誠実さと品位>の育成を意識して、それらを生徒の人生の根っこに深く根付かせたい」と藤原康洋中学部部長は話しています。

 入試が変わっても、新時代になっても、関西学院中学部の求める人物像は変わらない。そんな気持ちが込められているのではないでしょうか。

校地移転の「大阪青凌中学校」

 2校目は、大阪の共学校、大阪青凌中学校です。

 注目している理由は、現在の高槻市から島本町に校地を移転し、2020年4月から新しい教育環境(新校舎)で再スタートするからです。 

 大阪青凌中学校は徹底した少人数教育が特長で、主要教科は全て習熟度別で実施するなど、生徒一人一人に手厚い指導が評判です。校地移転後もその方針は変わりません。

 これまでの「面倒見の良さ」に、アクセスの良い立地と自然に囲まれた教育環境という魅力が加わり、より注目されるでしょう。

 このほか、ICTを活用した能動的な学習に力を入れている点も注目されています。校地移転時には中学生全学年の生徒が1人1台iPadを持つことになります。宿題・連絡などを受信したり、自分で調べたことをプレゼンテーションしたりするツールとなり、搭載したソフトウェアを使った自学自習にも活用されます。

 このような能動的学習の土台となる「読解力」「文章力」は6年間のカリキュラムを通して段階的に養っており、成果につなげています。

 先日、新校舎を見学する機会があったので、その魅力もお伝えします。

 新校舎は、従来の1クラス30人までの少人数教育をベースに、主体的な学びを可能にするデザインで、いたるところに生徒のクリエイティブな面を刺激するスペースが多くあります。玄関から教室棟に向かう階段スペースには「ライジングヒル」という斜面があります。これは生徒たちの生活動線だけでなく、観客席とステージにもなるという仕掛けで、特にインパクトがあります。エントランスの上に設けられた「エクセルホール」は、ステージ発表やプレゼンテーションの拠点になります。また、冷暖房完備の体育館には雨天時も使えるランニングコースがあり、ランチルームのカフェテリアでは地元のお店による焼きたてパンが販売されるなど、学校生活の充実にも配慮がなされています。

 新校舎の披露が11月末になったため、2020年入試から大きく受験者数が増えるとまでは予想しませんが、変化の兆しはあるものと見ています。

プロフィル
森永 直樹( もりなが・なおき
 株式会社日能研関西 取締役。教室長、進学情報室室長、教室統括部長などを歴任。現在は教室と広報セクションを統括しながら、学校・教育情報を発信している。私学教育の魅力を伝える講演など中学受験イベントに多数出演。

無断転載禁止
962265 0 マナビレンジャー 合格への道 2019/12/20 14:28:00 2019/12/20 14:28:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/12/20191219-OYT8I50047-T.jpg?type=thumbnail

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