長男の中学受験、ママも緊張でいっぱいいっぱい…佐藤亮子

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1日おきに3回、悪夢で目が覚める

「受験当日に起きたら昼前!」の悪夢が1日おきに3回も(写真はイメージです)
「受験当日に起きたら昼前!」の悪夢が1日おきに3回も(写真はイメージです)

 いよいよ本格的な受験シーズンになりました。この時期になると、いろいろなことが思い出されます。

 中学受験の経験のない夫と私は、長男で初めて中学受験というものを経験しました。当時、次男は小学5年生、三男は小学3年生、長女は幼稚園の年中。私は、初めての中学受験で、次男も塾に通っている、長女は幼稚園の送迎が大変。小さな子供の世話をしながらの受験生のサポートは、想像を絶する大変さでした。毎日、「わーい」と言いながら家の中を走り回っている3人を見ながら「この子たちさえいなかったら、もっと受験生の世話ができるのに……」とため息をつくことしきり。

 長男は、灘中を受ける前に、奈良の東大寺学園を受ける予定でした。東大寺学園は奈良市にあるし、進学実績も素晴らしいので進学させたい学校の一つでした。東大寺学園の受験日は、カレンダーに大きく赤でぐるぐると日にちを囲み、なおかつ注意を喚起するために金色の星のシールをその上から貼り、相当目立つようにしました。それでも、とにかく毎日が忙しすぎるので、「受験日を忘れないか」とそれが心配で心配で。結局A4のコピー用紙で、受験日までの日めくりカレンダーを手作りしました。願書の締め切り、受験までの日数、時間割、合格発表など、予定を間違えたらアウトですから。

 当時、相当私もストレスを感じていたのだと思います。夜中に夢で1日おきに3回起きたことがあります。

 その夢というのは、お昼近くなのに家族は寝ていて、私だけが目を覚まし、時間を見るとなんと午前11時。しかも、今日は東大寺学園の受験の日。午前8時には運動場に集合する予定で、塾からの激励や注意を、友達みんなで聞くはずなのに……。しかも、11時ってもう受験が始まっている! 寝ている長男を「ごめん、もう受験は始まってるわ。ママが寝過ごした!」と謝りながら起こし、起こされた長男は呆然(ぼうぜん)として「え!」という顔をして私を見る、というものなのです。

 まさしく悪夢。あわてて起きて、周りを見回すと、時計はまだ朝の4時。しかも、受験日はまだ先。「夢でよかったあ~」と、胸をなでおろした経験が3回も。この夢の話は、すぐ子供たちに話しました。子供たちも、我が家のこの忙しさではそんな可能性もゼロではないと感じたようです。それで家族全員で気を付けることにしました。実は、受験日を間違えた、という話は実際、何人かに聞いたことがあります。この時期はインフルエンザがはやりますので、受験のことを一手に仕切っているお母さんが高熱でダウンして動けないと、今日は何日?ということにもなりかねませんよね。

入学金振り込み、締め切り間際でてんやわんや

 灘中の受験では、学校が神戸にあって自宅から遠いのでホテルを予約しました。来年の受験の参考にと、年子の次男も長男と私と一緒に宿泊。下の子2人は主人に預けているので、私はこのとき、受験生のことだけを考えればよく、気がラクでした。他の子のご飯などを全く考えなくていいので、母親にとっては想像以上に受験生に集中できます。

 それで、受験1日目の東大寺学園にお話を戻しますと、あれやこれやの母親の悪夢にもかかわらず、正しい日に無事に受験できて合格しました。合格発表の次の日、のんびりとお茶を飲んでいる私に、「入学金はいつ振り込むか確認してるの?」と主人が聞いてきました。「まだまだ先でしょ? だって、昨日合格発表があったばかりなんだから。2、3週間余裕があるでしょ?」という私に、「いや、そんなことはないと思うよ。すぐに調べたら?」と主人。とにかく、無事に受けて合格することしか考えていなかった私は、「そんなことはないはず」と言いながら募集要項を熟読すると、「えー! お金を納めるのはあさってまでじゃない!」。口から心臓が飛び出るとはこのことです。

 主人に「今日中にお金を銀行から出してきて」と頼んで、薄緑色の銀行の封筒に入った入学金用の30万円を受け取りました(入学金は確か20数万円)。これを明日の朝いちで銀行に行く予定で、その封筒を私のカバンに入れました。とにかく、朝すぐに振り込むぞ!と勢い込んだ翌朝、主人に「知人に贈り物があるから選んで送ってくれないかな」と言われ、それならと、銀行に行く前にデパートへ。地下の贈答品コーナーを一回りして品物を決めて送り状をその場で書き、支払いを済ませ、すぐに車で待っている主人のところへ。その時、なんだか、よく分からない胸騒ぎが。それがなんなのか分からないけど、銀行目指して出発。助手席で、薄緑色の封筒を確認すると。

 私「あれ? あれ? ない……。銀行の封筒がないんだけど」

 夫「家に忘れたんじゃないの?」

 私「そんなことはないはず。家でカバンに入れたのを覚えてるから」

 夫「なんでないの?」

 私「とりあえず、家に帰って探すわ」

 ということで、2人で電話機の下まで探したけどない。確かにカバンに入れたのに……。

 私「ないね、とりあえず、また銀行へ行ってきてくれる?」

 夫「仕方ないね」

 ということで、次の日、無事に入学金は納めることができました。

 そのあと、どうして急にカバンの中からお金がなくなったのか、納得がいかないので、とりあえず落としたか盗まれたかを考えて、警察に連絡しました。警察の方は、「そういうお金はほとんど出てこないのですよ。でも、可能性がないわけではないので気を落とさないでください。何かありましたらご連絡しますね」と丁寧に優しく話してくれました。

 不思議なものでその言葉で私は諦めがつき、気持ちがラクになりました。言葉って、本当に大事ですね。

 もう、あれから16年くらいになりますが、結局あのお金の行方は分かりませんでした。どこに、いっちゃったのでしょうか?

 まあ、無事に受験も済んだからいいか~。

 合格したのにお金を払い忘れてその学校に行けなかった、というお話は毎年いくつか耳にするのです。この時期は、誰もが忙しく、緊張してますから要注意です。中学受験は人生で1度のことなので事務手続きは慎重になさってください。

プロフィル
佐藤 亮子( さとう・りょうこ
 大分県生まれ。津田塾大学卒業。高校の英語教師として勤務。結婚して長男、次男、三男、長女の4人の子を育て、4人とも、東京大学理科三類に進学する。現在、受験に対する親の心構えなどをテーマに講演活動を行っている。

無断転載禁止
991551 0 マナビレンジャー 合格への道 2020/01/10 05:22:00 2020/01/10 05:22:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/01/20200108-OYT8I50037-T.jpg?type=thumbnail

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