首都圏で2月1日の中学受験者4万人超え…森上展安

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男子校・女子校の受験者が大きく増加

今年の首都圏の中学入試はリーマンショック前の水準に戻った(写真はイメージです)
今年の首都圏の中学入試はリーマンショック前の水準に戻った(写真はイメージです)

 今年の首都圏1都3県の中学入試は、受験者実数の指標としている2月1日の実受験者数が久々に4万人を突破して4万1308人となり、受験率(1都3県公立小卒者を分母にした上記受験者数の比率)も14.3%(森上教育研究所調べ)と、受験者数、受験率ともにリーマンショック前の水準に戻ったことが大きな特徴です。

 これに伴って倍率も高まり、男女別に見た場合、2月1日の実倍率で男子は中位難度(偏差値45~59)で3倍台(昨年は50~54のみ3倍台)になり、女子は昨年に続き、同難度(偏差値45~59)でほぼ2倍台後半、また新たに中下位難度(偏差値40~44)でも2倍台となりました。ちなみに女子は上位難度(偏差値60~64)では3倍台を維持していますし(男子は2.4→2.8)、これに次ぐ中堅難度(偏差値55~59)では昨年の2.77倍から2.9倍へと、限りなく3倍に近接しました。

 学校ごとに見た場合、受験者数の急増が目立つのは、男女いずれも上位難度(偏差値60~64)にある学校で、男子では151人増の巣鴨、93人増の世田谷、80人増の攻玉社、69人増の城北などです。女子では60人増の東洋英和、36人増の香蘭などがこれに当たります。大幅増加した学校の主流が、共学校ではなく、ほとんど男子校、女子校であることが示唆する通り、今春入試のもう一つのトピックは、男子校・女子校の復調です。

 中堅中位難度(偏差値49~59)でも、58人増の日本女子大附や84人増の昭和女子大昭和、54人増の女子美、39人増の跡見などの女子校や、60人増の高輪、80人増の日大豊山などの男子校があり、男女別学校の急進ぶりが目を引きます。その変化の最大の理由は、同じ難度でも共学校が倍率で1~2倍近く厳しくなっているのに対して、男子校、女子校は受けやすく、難関大学への進学率もよいという点で、そこが改めて評価されたと考えます。

 一方、難関トップ校へのチャレンジが沈静化しているわけではありません。むしろ男女とも難関校は空前の受験者数を確保しています。開成や麻布、武蔵、駒東も、あるいは桜蔭、女子学院、雙葉、豊島岡女子も、最難関と言われるトップ校は最多か、もしくはこれに準じる受験者数であり、上位受験層が極めて厚くなっています。

ミニ・ミッションショックと午後入試の拡大

 これらのトップ校は1回しか入試がなく、募集定員が大きいのが特徴ですが、これらに準ずる難度の併願校は、午後入試も含め、定員を小分けにして受験機会を複数回設け、難関校の受験リスクをヘッジしやすくしています。特筆すべきは昨年から今年にかけ、上位校で算数午後1科入試(増設)の動きがあったことで、この傾向に拍車がかかりました。

 もとより午後入試は、男女の伝統校の午前入試に対抗して新しいブランド認知を目指す新規もしくは巻き直しの学校(主に共学校)の方策として登場し、青稜、広尾学園、東京都市大、東京農大第一、国学院久我山(ST)など、主として共学校中心に活用されてきました。

 今年は2月2日が日曜日で、プロテスタント女子校が2日午前の入試を3日午前もしくは2日午後に移して入試をする「ミニ・ミッションショック」と通称される年に当たりました。このため、恵泉は2日の午前入試を同日の午後に移設して2科4科入試を行い、昨年同日の午前入試より197人増となりました。また、2月1日の午後は、それぞれ新設した算数1科入試で田園調布が339人、湘南白百合が140人、恵泉は前年比142人増、山脇は前年比168人増(午後入試を新設した前年は476人)、東京女学館も67人増と、中堅難度(偏差値55前後)に併願ベルト地帯が出現した感があります。

 実は算数1科入試は、3年前に品川女子学院が先鞭(せんべん)をつけ、以後、普連土、十文字なども参入しました。今年はさらに神奈川の上位併願校である湘南白百合と、神奈川・東京間の中堅校、田園調布学園も参入して一気に拡大しました。生き残りをかけた算数1科入試が女子校の活路を開いたと言えるでしょう。

 男子校は算数1科入試が上位難度(偏差値60~65)の学校でも出現し、巣鴨は225人増、世田谷は109人増となりました。

 女子校と同じ中堅難度(偏差値55前後)での増加では、男女別学校の国学院久我山が104人増でした。そもそも男子の午後入試では、上位中堅難度(偏差値60前後)の都市大付属が低倍率の入試で人気となり、1000人台の併願受験生を集めています。昨年から巣鴨、世田谷が算数1科で午後入試へ参入したことにより、男子上位受験生の1日午後入試併願が新しい流れとして大きく印象付けられました。

付属校人気は依然、高止まり状態

 ここまで男子校、女子校のいわば進学校の人気にスポットを当てましたが、一方、付属人気は継続しています。最難関付属である慶応普通部、早稲田大学高等学院はいずれも高止まりで高倍率、高偏差値でした。早実は減少したものの昨年大きく増加した反動と考えられます。青山学院が前記した「ミニ・ミッションショック」で2日から3日に入試を移したため、2日入試の慶応湘南藤沢が受験者増になったり、逆に3日入試の慶応中等部と競合したり、という若干の変動はありました。

 難関有名私大の第1回の動きとしては、明大明治の2月2日入試は微増しました。1日入試では、中大附が微増、法政が微減となり、中大横浜は35人減、青山学院横浜英和は微減、2日入試の法政第二は昨年に続いて大幅増、青山学院大学の系属校となった埼玉の浦和ルーテル学院も大幅増などとなっています。また男女別学の立教大学付属校・系列校はいずれも大きく増加しました。立教新座は167人増、立教池袋は50人増、立教女学院は昨年39人増で今年は11人増、系列校で立教大学への進学枠を増やした香蘭が36人増など。総じて高止まりの入試状況です。

 女子大付属では学習院女子が昨年47人増で今年25人減、日本女子大附属は昨年18人増、今年58人増と、こちらも高止まりの状況、注目は女子大進学率の高い系列校も人気が上昇したことです。前記二つの大学付属を始め、女子美、昭和女子大などは既述した通りです。こうした付属人気は中堅大学にも及んでおり、学習院、成蹊、成城学園はもちろん、日大系列、芝浦工大系列、東洋大系列、東海大系列など今年も高い人気が続いています。

 ここで小学6年生の人口を見てみましょう。国の学校基本調査によると、東京がまだまだ増加し続けている一方、近県の神奈川、千葉、埼玉は今年から増加傾向が鈍化ないし減少基調に入りました。中学受験人口はやはり人口の増減も受験者数の変化要因ですから、東京の受験生増は予想された通りですし、神奈川の私学の緩和傾向も全体として認められました。

 一方、埼玉、千葉の私学の受験者について言うと、埼玉はさいたま市大宮区周辺で鮮明な増加があります。公立一貫校がさいたま市で昨年開校したことの影響でしょう。また、千葉県はほぼ現状維持という入試状況でした。今年度、隣県の茨城で公立一貫校が5校も開校予定であることが大きいと思われます。

 (注:偏差値は、四谷大塚2019年第5回合不合判定テスト80%予想偏差値による)

プロフィル
森上 展安( もりがみ・のぶやす
 1953年岡山県生まれ。早稲田大学法学部卒業。東京第一法律事務所勤務を経て都内で学習塾を経営後、88年に(株)森上教育研究所を設立。中学受験、中高一貫の中等教育を対象とする調査・コンサルティング分野を開拓した。中学受験の保護者対象に「わが子が伸びる親のスキル研究会」セミナー( http://oya-skill.com )をほぼ毎週開催。

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1097271 0 マナビレンジャー 合格への道 2020/03/09 15:55:00 2020/03/09 17:26:03 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/03/20200305-OYT8I50021-T.jpg?type=thumbnail

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