人気の寮制学校 北嶺・早稲田佐賀…広野雅明<18>

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 全国から数多くの学校が、12月、1月に首都圏や関西圏で出張入試を実施しています。受験生にとっては志望順位の高い学校を受験する前に、受験の雰囲気に慣れるいい機会でしょう。学校にとっても、入試を実施することにより知名度が高まるという側面もあるようです。サピックス小学部の受験生もさまざまな学校を受験しますが、毎年卒業生の約1%が実際にこれらの学校に入学しています。東京や大阪から離れた地方の学校の寮に、中学から入ることは、本人にとっても不安が大きいでしょうし、保護者の皆さまにも勇気が必要な選択かと思いますが、寮生活をさせることは、お子さまを成長させ、自立させる機会でもあります。今回は、その中で最近人気の高い2校を紹介したいと思います。

札幌の男子校 北嶺中・高等学校

 北嶺中・高等学校は1986年、「めざすなら高い(みね)」を合言葉に開校した北海道初の完全中高一貫校です。英国のパブリックスクールをモデルとし、グローバルに活躍できる人材育成を目指しています。校舎は札幌市の南側の山中にあり、自然豊かな場所にあります。規模は1学年約120人と比較的小さく、生徒の約半数が校舎と直結した青雲寮に入り、残り半数の生徒は札幌市内の各地からスクールバスで通学しています。

 北嶺には数多くの魅力がありますが、まず目が行くのは大学進学実績です。今年度入試でも3月25日現在で、東京大学17人、北海道大学31人など国公立大学に150人が合格し、医学部医学科には60人が合格しています。北海道には北大、札幌医大、旭川医大と三つの国公立大学の医学部があり、これらの大学に強いことも魅力の一つです。

北嶺中・高等学校はチームプレーのラグビーを「校技」として制定している(写真はイメージです)
北嶺中・高等学校はチームプレーのラグビーを「校技」として制定している(写真はイメージです)

 同校は規模が小さめで半数弱の生徒が寮生ですので、みんなでやる、全員で頑張るという気風があり、人間関係が濃くなります。個人技の柔道とチームプレーのラグビーを「校技」として制定していることも特長です。同校のwebサイトでは柔道について、「“礼に始まり礼に終わる”スポーツです」「自分と向かいあい、そうして鍛えた力で相手に立ち向かう柔道で、強い精神力を磨くのです。勝つためではなく、身体と精神の鍛錬と言えるでしょう」と紹介しています。多くのお子さまが黒帯を取得されるそうです。

 英国のパブリックスクールがモデルですので、ラグビーも全員でチャレンジします。同じくwebサイトには、「ラグビーは『子どもを大人に、大人を紳士にする』と言われるように、敵・味方・レフェリーというまわりと自分の関係を通して、人間の成長の過程さながらに、少年を紳士に育てていくのです」と紹介しています。

 どちらもけがの危険を伴うスポーツですが、経験豊かな指導者が丁寧に指導しますので、大きな事故はほぼないようです。

 同校の行事で特徴的なのは、全校登山です。中1では手稲山、中2ではニセコ・アンヌプリ、中3ではアポイ岳、高1では羊蹄山、高2では旭岳と毎年、徐々にレベルアップしながら、英国流に心身をともに鍛えます。全員でチャレンジすることが学年の団結を高めます。

 多くの生徒が入寮する同校の青雲寮は高2までは2人部屋で、高3から1人部屋です。現在14人の寮教諭がいますが、この先生方は、午後1時に出勤して授業を受け持ち、そのあと、午後11時まで寮生の学習指導・生活指導にあたります。保護者としてはとても安心できるシステムです。寮での学習サポートや各種の行事も充実しておりますし、病気になった場合も、基本的には寮母・寮教諭・寮監の方々が対応し、必要に応じて病院にも連れて行ってくれるので、この面でも安心です。

 同校は、2020年の教育改革に向け、四つのプロジェクトに取り組んでいます。英語力や国際感覚を磨く「G(グローバル)プロジェクト」では、高1の修学旅行でハーバード大やマサチューセッツ工科大などを訪問します。ハーバード大の学生を寮に招く英語キャンプもあります。宇宙航空研究開発機構(JAXA)などを訪問する「S(サイエンス)プロジェクト」、法律に関連する授業や模擬裁判などを行う「L(ロースクール)プロジェクト」、医療セミナーや大学病院の見学、訪問診療研修、離島で最先端医療について学ぶ「Dr.コトーキャンプ」など、さまざまな医療研修を行う「M(メディカルスクール)プロジェクト」などを展開し、生徒が積極的に参加しています。まさに文武両道の学校です。

 同校の入試は例年、1月8日です。ただし、注意が必要なのは、専願・併願・一般と受験区分があり、この順に合格最低点が高く設定されていることです。専願・併願には事前の学校見学も必須です。寮はお子さまを大きく成長させる可能性がありますが、その一方で合わないお子さまもいます。北海道の大自然で勉強も運動もしっかりやらせ、一生の友人を多数作らせたい、そう思われましたら、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

共学の早大系属校 早稲田佐賀

 早稲田佐賀中学校・高等学校は、2010年4月に、早稲田大学の7番目の附属・系属校として、佐賀県唐津市に開校しました。早稲田大学の建学の精神を踏まえた三本の柱「学問の独立」「進取の精神」「地球市民の育成」を理想とする学校です。佐賀県は、早稲田大学を創設した大隈重信の生誕地であり、隣接する福岡県の北九州市には、早稲田大学も参加する北九州学術研究都市連携大学院があります。

 同校は早稲田大学の系属校ですので、高校1学年の定員240人に対し、各学部10人計130人の推薦枠があります。2019年度は卒業生194人のうち、109人が早稲田大学に進学しました。早稲田大学以外に地元の国公立大学や特に医学部を目指す生徒も多く、地元では系属校というより進学校と評価されているようです。入試では、中学で約120人、高校で約120人を募集します。男女比はおよそ2:1です。

 同校は唐津湾に臨む唐津城跡の高台にあります。学校の裏がすぐ海ですので、風光明媚(めいび)です。また高台にありますので安全な場所です。福岡空港やJR博多駅からは高速バスがあり、学校のすぐ近くにバス停がありますので、通学や学校訪問にも便利です。

 同校には学校から少しだけ離れた場所に附設寮「八太郎(はちたろう)館」があります。寮では中高合わせて530人を超える生徒が暮らします。中1から高1までは4人部屋、高2から個室になります。まだ完成から10年に満たない施設は清潔かつ快適です。寮では希望者を対象とした朝学習が中1からあり、下校後も45分、50分、60分の全体学習が設定されていて、毎日規則正しく生活しながら、十分な学習ができます。生徒の学習時間に合わせて、同校卒業生を含む6人の九州大学の大学生・大学院生が来寮して、生徒の質問を受け付け、適切なアドバイスを与えています。一部の施設は男女共用ですが、全体として男女の区画が明確に分けられ、システムカードキーを使用した厳重なセキュリティーが敷かれていますので、保護者としても安心できます。

 中学校の学習では、中2で中学の内容をほぼ学び終える先取りをしていますが、授業時間数は十分に確保されているので、丁寧にじっくりと学習できているようです。外部の講師による英会話授業、オーストラリアやフィリピン・セブ島での語学研修もあります。高校進学後も各種の留学制度や研修、英語の各種資格試験への対策講座があり、グローバル教育も充実しています。

 同校は早稲田大学の系属校ですので、大学の授業をオンデマンドで受講する機会や、早稲田大学ゆかりの人材を招いた特別授業があります。また、九州大学や佐賀大学の協力を得ながら、第一線で活躍する各界の著名人を招いての「大隈記念講演会」、保護者を講演者とする職業講演会や、早稲田大学の学部講演会など、進路を決定するためのキャリア教育も充実しています。

 同校はクラブ活動も非常に盛んです。2017年には野球部が甲子園大会に出場し、話題になりました。他にも多くの部が全国、九州、佐賀県、唐津市の各大会で活躍しています。勉強も部活も一生懸命頑張る、という校風です。

 同校は首都圏などでも入試を実施しています。ここ数年、入学定員管理の厳格化に伴って難関私立大学が一層難化したため、系属校である同校への九州以外、特に首都圏からの受験者・入学者が増加しています。2019年5月現在、出身小学校の所在地で見ると東京都から79人、神奈川県から28人、千葉県から18人の生徒を受け入れています。定員は九州入試(本校・福岡・北九州・熊本)が約80人なのに対し、首都圏・名古屋入試は約40人であるため、首都圏・名古屋入試の方が難しく、合格基準点にもかなり差があります。昨年度、点数で優遇される専願受験は1月13日の九州入試(本校会場)のみでした。そのため、早稲田大学で実施される首都圏入試ではなく、あえて九州で受験される方もかなりいました。どこの会場で受験するかは事前に通っている塾の先生などとよくご相談ください。

 寮のある学校は全国に多数ありますが、寮は学校ごとにかなり違います。中1から個室の学校もありますし、2人部屋、4人部屋、さらに多い大部屋の学校もあります。寮での学習も、北嶺の寮教諭のように学校が直接面倒を見る学校もありますし、外部の教育産業の協力で運営されている学校もあります。また、最近、寮を建て替えた学校もありますが、かなり古い寮もありますので、生活環境にもかなり差があります。愛知県の海陽学園のような全寮制の学校から、寮生が約半数の学校、ごく一部の生徒のみが入寮する学校まで、寮生の比率にもかなり差があります。何よりも中学から親元を離れて生活することは、本人にも保護者にも大きな心理的負担があります。それを乗り越えて、自立できたお子さまは大きく成長しますが、一方でなかなか寮が合わずに学校を退学し、自宅に途中で戻るお子さまもごく一部おります。寮のある学校への入学を検討する際は、本人も含めてご家族でよく話し合い、学校にも何度か訪問し、特に寮の見学をさせて、じっくりと検討していただききたいと思います。

プロフィル
広野 雅明( ひろの・まさあき
 サピックス教育事業本部本部長。サピックス草創期から、一貫して算数を指導。算数科教科責任者・教務部長などを歴任。現在は、入試情報、広報活動、新規教育事業を担当。

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1136817 0 マナビレンジャー 合格への道 2020/03/30 10:43:00 2020/03/30 10:43:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/03/20200326-OYT8I50007-T.jpg?type=thumbnail

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