Withコロナ時代の2021年中学入試…北一成

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

学びを止めない、私立中高のオンライン対応

 今春2020年の中学入試が一段落し、4月からの新年度を迎えようとした時期に、世界中が新型コロナウイルスの感染拡大という大変な事態に巻き込まれました。

 日本の学校も、3月初旬からの休校要請に続き、4月7日に発出された緊急事態宣言に伴う外出自粛要請によって、全国の小・中・高校・大学に至るまで、これまでの当たり前な学校生活ができなくなっています。

 例年のGW期間が明けても、さらに緊急事態宣言と外出自粛要請の期間は延長され、いまだほとんどの学校が再開できていない現状です。5月14日には、ようやく39県で緊急事態宣言が解除されましたが、依然として、中学受験の盛んな首都圏の1都3県と、大阪、兵庫、京都などでは緊急事態宣言が解除されないまま、5月も後半を迎えています。

ほとんどの私立中高でオンライン授業が行われている(写真はイメージです) 
ほとんどの私立中高でオンライン授業が行われている(写真はイメージです) 

 こうして、全国での学校再開の見通しは、いまだ十分には先が見えない状況ではありますが、それでも、ほとんどの私立中学校、私立中高一貫校では、何らかの形でオンラインによる授業やホームルームなどの「学校再開」が実現しています。つまり多くの私学による緊急事態下での“教育出動”が行われているのです。

 首都圏模試センターでは、4月からの学校再開が難しいと判明した3月31日に、首都圏の約200校(全校ではありません)の私立中学校に、Googleフォームによる緊急アンケートを行いました。4月初旬のうちに100校から回答を得たこのアンケート結果によると、回答校の64%の学校が、何らかの形で在校生や新入生とのオンラインによるやり取りを通して、可能な範囲で学校再開を実現していました。

 実際には、その時期までにオンラインで通常時に近い形での授業を再開していたのは、まだ少数の学校でした。静岡市の男子校・静岡聖光学院などは、すでに3月2日からオンラインでの授業やホームルームなどを行っており、最も早い時期から「できる限り学校を再現」すべく工夫を重ねてきた先進校といえるでしょう。

 しかし、私学ならではの柔軟さと機敏な対応で、この間に多くの私立中学校、私立中高一貫校は、一斉にオンライン授業の準備を進め、早い学校(聖学院など)では4月半ばから各教科でのオンライン授業動画の配信や、各校で活用していたZoomを始めとするオンラインシステムを使って、在校生とのやり取りや授業をスタートしています。

 さらに、当初の緊急事態宣言による外出自粛期間とされた5月6日までに多くの私立中高が準備を進め、連休明け5月7日や、翌週の5月11日からは、ほとんど一斉にオンライン授業を何らかの形でスタートさせています。

 遅くとも5月半ばからは、多くの私立中高がオンライン授業やホームルームなどをはじめ、生活リズムや健康の維持のための体温チェックや体を動かすエクササイズ、生徒の顔を見ながらの声かけなどを通じて、現在の休校期間中でも学校や教員、クラスや部活動の仲間との「つながり」を感じ、話し合える機会をオンラインで提供するようになっています。

 一方、公立学校でもICT活用のモデル校になっていた学校や、自治体の先進的な試みでICT活用を推進していた地域の学校では、同様のオンライン授業が開始されています。自治体によっては「テレビ授業」を開始したり、自治体でまとまってオンライン授業動画を作成・配信したりするケースも登場しました。コロナ対応をせざるを得ないこの時期に、全国各地の公立の学校で、オンラインで「生徒の学びを止めない」ための工夫や実践が始まっています。

 それでも、こうした緊急時の初動の段階での私立中高の臨機応変で柔軟な対応は、やはり公立学校を一歩リードしていると言ってよいでしょう。

「今、できること」を工夫して来春入試に挑む

 私立中高と同様に、この緊急事態宣言の発出による外出自粛要請の期間中、多くの塾も休校を余儀なくされるなか、生徒の安全と健康を守り「子供たちの学びを止めない」ために「今、できること」を工夫し、オンライン授業を始め、生徒への声かけなど、メンタルなケアを含めた対応をしてくれています。

 受験生と保護者も、この間の受験勉強や、モチベーションの維持、精神面でのケアなど、ご家庭では大きな不安や不便さを感じていることと思います。それでも何とか前向きに、決して焦ることなく、「今、できること」に集中し、適度にリラックスしながら「学びを止めない」工夫をしていただきたいと思います。

 今回のコロナ感染が、いつ終息するのか現時点では誰も予想できません。ただ、少なくとも有効なワクチンが開発されて一般に普及し、ある程度の安全が確保されるまでは、コロナと上手に付き合っていかなくてはなりません。政府や各自治体が「新たな生活様式を」と呼びかけている中で、来春2021年入試に向けての準備を進めていく必要があります。

 しばらくの間、完全に「コロナ以前の生活」に戻ることは期待できない今、来春2021年の中学入試が、果たして無事に実施できるのかどうかも、現時点では予想できません。オンラインでの入試を実施する学校も出てくることは間違いないでしょう。

 ちなみに中学受験専門の模試会社である首都圏模試センターでも、当初4月19日(日)に予定されていた小6第1回「合判模試」を、この5月24日(日)に延期し、私立中会場ではなく「自宅受験のみ」の形で実施します。会社設立以来、初めての「自宅受験」模試(=おうちdeしゅともし)となります。

 こうした模試は幸いなことに、入学試験でも資格試験でもありません。試験監督がいない自宅という環境での受験でも、試験時間内に集中して問題と正面から向き合い、その時点まで努力をしてきた自身の学力を発揮すれば、多くの受験生の中での「相対的な位置を知り」「志望校合格に近づくための課題を知る」という、当初の目的は果たせるものと考えます。

 また、この小6第1回「合判模試」実施当日の5月24日には、私立中約100校のオンラインによる「おうちde説明会&相談会」という、オンラインで「学校を知る」ための説明会・相談会の集合イベントも開催されます。

 ご自宅で過ごす時間に、「今、できること」の一つとして、こうした模試やイベントに、積極的にご参加いただくことで、「学校を知り」「学習のモチベーションを高める」ことができるのではないかと考えています。ぜひ多くの小学生と保護者にご参加、ご視聴をいただくようお勧めしたいと思います。

プロフィル
北 一成( きた・かずなり
 首都圏模試センター教務情報部長。1985年に首都圏の大手中学受験専門塾に入社。同塾の広報や進学情報誌の編集などに携わり、2013年8月に退職。翌月「日本Web情報出版」を設立し、同時に「日本Web学校情報センター」及び「JWSIC教育研究所」を開設。学校情報・入試情報を専門とし、取材等で約400校の中高一貫校をのべ3000回以上訪問。2000人以上の保護者から学校選びに関しての相談を受けてきた。2013年11月から現職。

無断転載禁止
1228213 0 マナビレンジャー 合格への道 2020/05/21 05:21:00 2020/05/21 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/05/20200518-OYT8I50034-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

新着クーポン

NEW
参考画像
10000円9000円
NEW
参考画像
クーポンご提示のお客様に粗品プレゼント
NEW
参考画像
4200円3780円
NEW
参考画像
1560円1300円

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
挑むKANSAI
読売新聞社からのお知らせ