人気急上昇している共学・国際・ICTの先進校…広野雅明<19>

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 別学校を改組して共学化・校名変更をしたり、時代の要請に合わせてグローバル教育や最新のICT教育を全面的に取り入れたりした結果、人気が急上昇した学校があります。従来は、進学実績の上昇とともに人気も上昇するケースが多かったですが、最近では改組1期生の入学前から難化することさえあります。今回は2015年に共学化した2校を紹介させていただきたいと思います。まずは今春の入試結果です。

2018年~2020年の志願者数の推移(クリックで拡大)
2018年~2020年の志願者数の推移(クリックで拡大)

 昨年12月実施の合格力判定サピックスオープンの80%合格偏差値で見ると、開智日本橋の2月1日午後の特待生入試はこの3年間で37⇒39⇒45、三田国際学園の2月1日午後の入試では42⇒49⇒51と急上昇しています。三田国際学園は、今年度は2月1日午後を算数1科、昨年度は2月3日午後をMST入試に変更していますので、単純な比較はできませんが、非常に倍率が高いことがお分かりいただけるかと思います。そのため難化を危惧して、いくつかの回では志願者が減少していますが、それでも易化しているわけではなく厳しい入試となりました。

 両校の入試の特徴としては午後入試が多いことが挙げられます。午後入試は午前中に別の学校を受験できるため、他校との併願が組みやすく、高学力層が受験する可能性が高くなっています。特にここ最近は上位層でも午後入試を受験することが増えてきました。ただ、2月1日午前に入試日を設定していますので、第1志望者にもチャンスがあります。また、2月4日にも入試日がありますので、最後のチャンスに再挑戦することもできます。さて、両校の人気上昇の理由を分析したいと思います。

開智学園が全面バックアップするIB校 開智日本橋学園

 本校の前身は1905年に開校した日本橋女学校です。1915年に日本橋高等女学校となり、戦後は日本橋女学館中学高等学校に。その後、開設した短期大学を2000年に日本橋学館大学として改組しました。中高は女子校でしたが、特に中学校は募集ではなかなか苦戦していました。15年に開智学園(さいたま市)が全面的にバックアップして日本橋女学館から開智日本橋学園中学校と校名を変更し、共学化しました。20年度には中1~高3まで全学年が、完全中高一貫校としての開智日本橋学園の生徒となります。同校は、開智学園の教育をベースにして、斬新な教育を行っています。教員も、開智学園から異動して力を発揮するベテランが多数在籍しています。

 同校の第1の特徴は国際バカロレア(IB)のMYPおよびDPの認定校になっていることです。クラス編成は、IBのコースとして帰国生など英語力の高い生徒を対象とした「グローバルリーディングクラス(GLC)」と、日本語でIBを学べる「デュアルランゲージクラス(DLC)」、さらにIB以外のコースとして、開智学園に準じた探究型の学習を行い、国内トップレベルの大学を目指す「リーディングクラス(LC)」の3コース編成になっています。

 IBを学ぶコースでは、中学1年生から高校1年生はMYP、高校2年・3年生では、DPのカリキュラムを2年間学び、最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)が取得できます。将来、海外の大学を目指すには非常に有効なプログラムです。

 同校は「生徒自らが学ぶ授業」を重視しています。知識を習得する授業とのバランスを取りながら、先生が疑問点や課題を生徒に与え、お互いの対話を通して進める参加型・双方向型授業を展開しています。また、開智学園で定評のある探究・フィールドワークは調べ学習に当たるもので、「疑問→仮説→検証→発表」という流れで進めていきます。このような学びを通して、課題解決能力、思考力、判断力、行動力、コミュニケーション力など「劇的に変化する社会で活躍できる力」を育んでいきます。英語教育では、多くの授業時間を確保し、ネイティブの教員8人による英語漬けの環境の中で「使える英語」の習得が可能です。

 同校はICT教育も進んでいます。今年の新学期は新型コロナウイルスの影響でなかなか授業ができない状況ですが、同校はいち早くオンラインで生徒とつなぎ、各先生が学校もしくは自宅からそれぞれの授業を進めています。日頃から先生も生徒もICTを活用した授業に習熟しているようですので、このような状況でも大きな問題なく授業が進みます。

 同校は、東京都中央区の浅草橋駅から徒歩3分という好立地です。隅田川との合流点にほど近い、江戸情緒豊かな神田川のほとりにあります。残念ながら学校にはグラウンドがなく、校地は手狭ですが、8階建てのビルの屋上が運動場、その下が体育館と必要な施設は十分にそろっています。もと女子校ですので作法室や調理室も完備されています。開智日本橋としてはまだまだ歴史の浅い学校ですが、教育のノウハウは開智学園ですでに定評があります。そして、英語力を伸ばすだけではなく、これから先の社会が求める教育があることも魅力の一つです。運動や部活を第一にしたいという方にはお薦めできませんが、グローバル教育やIBに興味のある方はぜひ一度学校にアクセスしていただきたいと思います。特にGLCクラスのレベルの高さは驚愕(きょうがく)の一言です。

緑豊かなグローバル教育校 三田国際学園

 三田国際学園は、東京・世田谷区の用賀駅が最寄り駅です。閑静な住宅地を抜けると約6000坪の校地に緑豊かなキャンパスが広がります。都心部は校地の狭い学校が多いですが、樹木に囲まれたグラウンドを見ると、これだけでも魅力的です。都心部は高いビルの学校が多いですが、同校は低層で生徒はすぐにグラウンドや中庭に出て遊ぶことができます。外気や陽光の下で過ごす6年間は特に男の子には必要なものかもしれません。

 同校は1902年に開校した戸板裁縫学校が前身です。16年に三田高等女学校が開校し、37年に戸板高等女学校に改称しました。50年に開学した戸板女子短期大学は現在も系列校です。93年に港区芝から現在地に移転しました。2015年に共学化し、校名も変更して、歴史的な経緯から「三田」、そして学校の目指す方向として「国際」を加え、三田国際学園となりました。そして、共学の難関校の一つにまで広尾学園を成長させた大橋清貫先生を学園長として迎え、同校の改革がスタートします。

 本校を理解するキーワードの一つが「21世紀型教育」です。学園長は、「『20世紀型教育』は、先生が生徒に知識を正確に伝え、生徒は教えられたことができるようになることが重視されていましたが、これからは、教わるだけではなく、自分で考え、教わった問題だけではなく未知の問題に挑戦することが大切だ」と力説しています。

 「21世紀型教育」に必要なスキルとしては、「考える力」「コミュニケーションスキル」「英語力」「ICTリテラシー」「サイエンスリテラシー」を挙げます。このために授業はアクティブ・ラーニング形式で行われます。先生が一方的に教え込むのではなく、生徒のグループ内での議論や生徒自らのプレゼンテーションも取り入れ、さまざまな考え方をクラス全体で共有することが特徴です。生徒が積極的に参加する授業こそ、コミュニケーションスキルを伸ばすことになるという考えです。また、4技能をバランスよく伸ばす英語教育、時代が求めるICTをフルに使いこなせる能力、論理的思考力を高める数学やサイエンスリテラシーを高める理科の教育などが同校の授業では展開されます。

 同校には「本科クラス」「インターナショナルクラス」「メディカルサイエンステクノロジークラス(MSTクラス)」の三つのクラスがあります。MSTは、医師や研究者を目指す生徒を対象としたクラスで、数学や理科の学力を伸ばすことに加え、メディカルサイエンスマインドを高める教育を行います。

 インターナショナルクラスは、帰国生を中心とした極めて英語力の高い生徒を中心として数学、理科、社会なども英語で学習する「オールイングリッシュ」クラスと、入学時に英語を一から学ぶクラスに分かれています。英語力の高い生徒と日頃から接することと専門教科を担当できるネイティブスピーカーの教員が多数いることも刺激になり、英語力が急激に伸びる生徒も多数いるそうです。同校はネイティブの教員が多数おり、海外からの問い合わせも多いことから、校内の連絡は英語が必須です。教員もみな英語を使いこなせるようスキルを高め、アクティブ・ラーニング形式の授業も教員間で研修をして、能力の高い生徒をさらに伸ばせるよう努力していることも特筆されます。

 今年はなかなか学校説明会に参加したり、学校見学をしたりする機会も少なくなるかと思います。そのため例年以上に学校を選ぶことが難しくなると思われます。1学期の間に各校のWEBサイトや各種の入試情報、そして何よりもお子様が直接教わる塾の先生ともよく相談してください。受験予定校を絞り込み、学校説明会や見学会、行事などに参加できるようになった際に迷わないように、下調べもしっかりしていただきたいと思います。

 学校や塾に通うことがなかなか難しい状況ですが、これから求められる学力は、教わるだけ、あるいはやらされているだけでは伸びません。本日、ご紹介した2校だけではなく、多くの学校で自ら学ぶことができる力を重視しています。ご家庭では非常に大変な思いをされているかと思いますが、ぜひお通いの塾の先生とよく相談しながら、お子様の自発的学習の力を伸ばしていただければ幸いです。

プロフィル
広野 雅明( ひろの・まさあき
 サピックス教育事業本部本部長。サピックス草創期から、一貫して算数を指導。算数科教科責任者・教務部長などを歴任。現在は、入試情報、広報活動、新規教育事業を担当。

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1337629 0 マナビレンジャー 合格への道 2020/07/14 05:22:00 2020/07/14 05:22:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/07/20200708-OYT8I50025-T.jpg?type=thumbnail

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