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世田谷区の母親の中学受験体験記…辛酸なめ子<36>

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「塾に憧れる」という文化圏

 小学館ジュニア文庫「いじめ-女王のいる教室-」など、ヒット作を有する武内昌美先生。女王キャラの女子に(あざけ)られたり、机の中に魚の頭を入れられたり、体操服を泥まみれにされたり、手を靴で踏みつけられたり……過酷な中学生の日常が描かれていて目が離せない展開です。そんな武内先生の娘さんは、いじめとは無縁の平和な女子校に通っていらっしゃるそうです。その学校は、「よろこび」と「真剣さ」あふれる学園がモットーの、鴎友学園女子中学。難関校に合格するまでの受験生の母親の体験を語っていただきました。

 「うちの子が3年生のとき、周りの友だちが塾に通っていたのに憧れて通いたいって言われたのがきっかけです。日能研の予科のクラスに入って、そこからずっとお世話になりました。近所の校舎はほのぼのしていて良かったです」

 やはり世田谷区ともなると、「塾に憧れる」という文化圏になるんですね。私が通っていた埼玉の小学校では運動のできる子が憧れを集めていましたが……。武内さんのお子さんが通っていた世田谷区の日能研は、夜になるとお迎えの車がずらっと並んでいたそうです。近隣の人から苦情が出るほどだったとか。車でお迎え……経済的な余裕も感じさせるエピソードです。世田谷区の小学校では約半数が中学受験をするそうです(都立中高一貫校を含め)。

 武内さんのお嬢さんは塾に入ってその後の勉強は順調だったのでしょうか。

 「全然。あっ今日はうちの子に、悪口言わないようにって言われてきたんですけど(笑)。コツコツやることがすごく苦手な子で、暗記とかたくさん演習を解いて身に付けるのができなくて、だからなんで受かったのか……。好奇心や向上心もあまり見られない感じでした。でも、得意分野の理系だけはずば抜けていました」

 ご両親は文系なのに、娘さんは理系に秀でた才能を持っていたそうです。女子の中では有利かもしれません。

 「でも、とにかく勉強をしないんで、何度も『受験やめなさい』って私の方から言ってました。そうしたら、『勉強したくないけど受験はしたい』って。意地があるんですかね」

お正月から2週間の勉強で巻き返す

 鴎友学園を志望するようになったきっかけは何だったのでしょうか。

 「娘は小学生の時、ジュニアオーケストラに入っていました。指導者の先生が鴎友のコーチをしていて、受かって先生を驚かせたい、というのがスタート。あとは経堂の駅ビルの書店に鴎友の中2の生徒が書いたPOPが展示されていて、娘は本が好きなのでこういうことをさせてくれる学校は良いなと思ったみたいです」

 また、武内さんご自身も学校説明会に行って、先生の目がすごく細やかだと感じ、校風も娘さんに合っているので第一志望にしたいと思ったとか。

 とはいえ、なかなか勉強に本腰を入れなかった娘さんが必死で勉強したのは、お正月からの約2週間、というのが驚きです。

 「お正月にうちで過去問を解いたら思いのほか良くなくて、これはまずいと思ったみたいで、2週間ものすごく勉強してました。1月半ばに埼玉の中学の入試があって、合格をもらったから安心してました」

 受験前はインフルエンザにかからないように細心の注意を払ったそうです。

 「かかりつけの小児科医に行ったら、予防のためにリレンザを処方してもらいました。治療用の半分の量を試験の3日前に服用すると予防になるそうです。あとは毎日R-1ヨーグルトを飲んでました」

天神さまにもお参りして、合格を祈願した(写真はイメージです)
天神さまにもお参りして、合格を祈願した(写真はイメージです)

 それにしても2週間だけ本気で勉強して受かるなんてすごいです。もともとすごい頭が良かったのか、それとも何か強力な神仏に頼ったりしたのでしょうか……。

 「神社ですか? 行きました行きました。主人がわざわざ奈良まで行って、牛の頭を()でてきました。京都も何カ所か行って絵馬も描いてきました」

 牛の置物というと学業の神様、菅原道真ですね。菅原道真公のご利益は、太宰府にお参りに行った身からすると、ガチだと思います。武内さんご一家は、さらに北野天満宮や、近所の菅原道真を(まつ)る神社にも参拝したそうです。これで強固に天神様との縁が結ばれたと思います。

 そして本番を迎え、不思議なことに実際の受験では、得意科目の算数と理科より、国語と社会の方ができが良かったそうです。無事に合格して、ご家庭は歓喜に包まれたのでしょうか……。

 「歓喜というより安心感ですね。主人から『桜咲く』ってメールが来て、良かった~ってボロボロ涙が出ました。それから家族で焼肉を食べに行ってお祝いして、春休みはハワイに旅行しました」

 合格からの流れが完全に富裕層です! 私立の高額な授業料がかかってきても海外旅行ができる余裕に憧れます。

中学受験とママたちの友情の微妙な関係

 鴎友学園は生徒さんがまじめで良い子ばかりで、悪い虫が寄ってくる心配もないとのこと。保護者受けがすごく良くて、親同士も(つな)がっているそうです。

 親同士といえば、来る者がいれば、去る者もいるのが人の常。中学受験の結果で武内さんは仲良しだったママ友と気まずい関係になってしまったとか。

 「娘が幼稚園の時から一緒のママ友がいて、一番仲が良かったんです。うちの子は第一志望に受かったんですが、そのママ友の娘さんは第一志望にご縁がいただけなかったようで……。塾に貼り出される短冊で学校名を知りました。今まで一緒にがんばってきたんですが、それ以来、会っても目も合わせてくれなくなって……。もしかしたらそのママ友はうちの子も落ちれば良いって思ってたのかなって、悲しくなりました。中学受験は親も精神的におかしくなりますね。中学受験は親子二人三脚だと言われますが、子どもが不合格になると、自分が親としてダメだったのかと思ってしまう。受験前に子どもが熱を出したりすると(いたわ)るより責めてしまったり。親が親じゃなくなっちゃう」

 武内先生が本で書かれる、いじめになりかねない殺伐とした空気が、ママ友の間に漂ってしまうとは。ただ、高校受験や大学受験で巻き返すことも十分あります。将来、大学受験で娘さんが成功したら、そのママ友も余裕ができてまた友情が復活するかもしれません……。ママ友にとって、中学受験と友情の両立は難しいことを実感させられるエピソードでした。そんな母親たちのわだかまりをよそに、娘さんは素晴らしい友情関係を育んでいるそうです。

プロフィル
辛酸 なめ子( しんさん・なめこ
 漫画家・コラムニスト。東京都生まれ、埼玉県育ち。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著は「大人のコミュニケーション術」(光文社新書)、「おしゃ修行」(双葉社)、「魂活道場」(学研プラス)など。

無断転載・複製を禁じます
1753011 0 マナビレンジャー 合格への道 2021/01/07 13:00:00 2021/01/07 13:43:10 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201224-OYT8I50044-T.jpg?type=thumbnail

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