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学校の「ニューノーマル」化は受験生にも影響…熊村剛輔

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簡単にはいかない学校行事のライブ配信

 在宅勤務が10か月以上続いていて、なかなか外に出る機会がない。考えてみれば、ここまで外に出ない生活を送っているのは、40年余りの人生の中で、初めてなわけだが、実際、そこそこどうにかやっていけているのは、やはりテクノロジーの恩恵を受けているからにほかならない。これまでは、外に出なければできなかったことも、今ではある程度インターネットを介してできてしまうというのは、非常に大きいのだ。

 だが、学校生活を考えてみると、ネットでどうにかなるようなことが、実はそれほど多くなかったりもする。体育祭や修学旅行等の学校行事は、その最たる例かもしれない。

 いまだ楽観視はできない新型コロナウイルス感染症のリスクを徹底的に抑えながら、なかなかネットに置き換えることができない学校行事を、どうやって実施するかは、今、まさに多くの学校が直面している課題のようだ。我が家に限らず、知人たちの話を聞いてみても、実にさまざまな形で学校行事が行われているらしい。

体育祭は生徒が密な状況になりやすい(写真はイメージです)
体育祭は生徒が密な状況になりやすい(写真はイメージです)

 体育祭は、見に来る家族だけではなく、生徒たちの間でも密な状況ができやすくなってしまうことから、中止にしている学校も少なくない。だが、そういった状況下でも実施に踏み切った学校の話を聞くと、その試行錯誤の跡がうかがえる。もちろん、当然のごとく無観客での開催となるが、代わりに動画配信という形で家族など関係者に、その様子を見せる形が多く行われていたようだ。

 だが、これは、なかなかに難しい。筆者は、かつて動画配信システムを扱う企業に身を置いていたことがあるが、イベントのライブ配信は、とても複雑なノウハウが求められる。同じライブでも、通常の授業を配信するのとはわけが違うのだ。

 実際、体育祭のライブ配信を見た知人に話を聞いてみたが、「画像が粗い上に、あまりにも離れた場所から撮っているため、もはや顔が判別不可能」な状態になっていたり、「何度も映像や音声が途切れたり」と、改善の余地は多々ありそうだ。考えてみれば、イベントのライブ配信のノウハウなんて、これまでの学校には、全くと言っていいほど求められてはいなかったものなのだが、今後は、こういったことが、学校のイメージにも影響してくることを考えると、学校も、いよいよ「ニューノーマル」を意識しなければならないということを考えさせられる。

修学旅行は少人数グループの自由行動に

 「ニューノーマル」と言えば、修学旅行も、だいぶ形が変わってきた。ある旅行会社の知人によると、東京、及び神奈川で、昨秋、修学旅行を予定していた学校は、全体の約20%程度だそうだ。もちろん行き先は国内だ。この数字を多いと見るか、少ないと見るかは意見が分かれるところではあるが、このような学校行事などが復活している状況を見ると、徐々に「日常」が戻ってきているのは間違いない。

 だが、復活はしたが、それは「以前と同じもの」というわけではない。修学旅行だって「ニューノーマル」になっている。知人が言うには、修学旅行とはいえ、全員がひとまとまりに、あっちの神社、こっちの仏閣と、ぞろぞろとツアーをするような行程は、このご時世、あり得ないらしい。たしかに、考えてみれば、これこそ典型的な「密」だ。

 では、どうするのかと聞いてみたら、少人数のグループをいくつも編成し、グループごとに現地での旅行プランを組ませ、そのプランに沿った形で「自由行動」を行うケースが多いという。もちろん、完全に自由な状況にするのではなく、一日の間に何回か集合時間と場所を設定し、そこで状況を確認するような形にしているらしい。

 修学旅行が、こういう形になってくると、それを楽しめるかどうかは、全て生徒のセンスと想像力にかかってくる。さらに言えば、これは、今後、学校が求める生徒像にも反映されてくるだろう。そう考えると、これから先、入学してくる子供たちも「ニューノーマル」になっていかざるを得ない。

受験生にとっては学校情報が不足しがち

 それは「ニューノーマル」になった「文化祭」などを見ても、感じられた。文化祭を開催する学校は、まだ、それほど多くはないが、実施する場合は、体育祭同様、無観客での開催で、動画配信という形を取っていることが多い。

 文化祭の場合、体育祭のように、リアルタイムにイベントの模様をライブ配信するケースは、それほど多くはなく、事前に収録されたパフォーマンスを、開催期間中に、自由に見られるようにしているところが大半のようだ。

 もちろん、実際に文化祭で用いられる映像の収録や編集の多くは、生徒たちが自分たちで制作することになる。これからの子供たちは、早いうちから、こういったスキルを身に付けておかなければならないのかと思うと大変に感じるが、これもニューノーマルの一つの形なのかもしれない。

 しかし、受験する子供たちの親の立場としては、無観客の文化祭は、非常に悩ましい。文化祭は、ある意味、学校の飾らない部分をきちんと見ることができる、またとない機会だ。それがなくなると、子供と学校の相性などを、かなり限られた情報から判断せざるを得ない。

 そう考えると、今年は(そしておそらく来年も)、何かと情報不足な受験を強いられることになるだろう。今までと同じような時期やペースで学校をリサーチしようとしても、思うようにはいかないはずだ。そういう点では、受験生の親たちも、またニューノーマルに対応していかなくてはならないのかもしれない。

プロフィル
熊村 剛輔( くまむら・ごうすけ
 外資系IT企業勤務。サックス奏者でありライター。父親の転勤に伴い、幼少から海外に生活し、小中高校は全て海外で卒業。大学入学以降日本に在住し、四半世紀。今でもときどき文化の違いに戸惑いながら、現在に至る。一男一女の父。

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1833316 0 マナビレンジャー 合格への道 2021/02/12 06:00:00 2021/02/12 06:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210209-OYT8I50028-T.jpg?type=thumbnail

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