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入試算数で問われる「読解力」を伸ばすには…粟根秀史<7>

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まずは教科書が読めることが大前提

難関中学入試では、小学校の教科書の内容がベースになっている(写真はイメージです)
難関中学入試では、小学校の教科書の内容がベースになっている(写真はイメージです)

 日本の子供たちの読解力が低下していると言われて久しくなります。国立情報学研究所教授の新井紀子さんによると、「小学校で教科書を正確に読めているのはクラスの2、3人である」とのことです。ただし、ここでの「読む」の意味は、ただ単に「文字が読める」ということではなく、「文章に書いてある内容を正確に読み取る」ということを表しています。

 一般的にこの対策として、精読力を上げるために音読をさせるとか、主語述語や「てにをは」をはっきりさせるなどの訓練が有効であると言われています。中学入試においても読解力を重視する傾向にありますが、まずは小学校の教科書を「きちんと読んで理解すること」が学力の基盤であるのは言うまでもありません。

 難関中学入試では、小学校の教科書の内容をベースとしながらも、それらを相当高いレベルにまで応用・発展させた内容で出題されます。よって、要求される読解力も格段に高いものになりますので、上記のような基礎訓練だけではとても太刀打ちできません。入試算数で問われる読解力には、大きく分けて次のような二つの要素があります。

正しい条件整理がカギ

 まず、一つ目の要素は「問題文の条件を整理する力」です。問題文が短いとすぐに式を書いて計算することができますが、問題文が長くなると漫然と最後まで読み続けても、書かれている条件をすべて頭に入れることは困難です。ですから「上手に条件整理をする」ということが必要になってきます。これには、次の二つのことをしなくてはなりません。

 ・問題文に「マルやシカクや下線」などのマークを付けながら読む

 ・条件を書き出し、解法を考えるためのメモを作る

 初めに問題文の大筋をつかむために一通り読みますが、その際にポイントとなる数値や条件にマークを付けておきます。

 具体的には、問題文中の「数値」はマルで囲む、「点PはBを出発して、点QはAを出発した」というような条件には下線を引く、問題文の最後、「何を問われているか」の部分はシカクで囲む、などです。

 この作業によって、2回目の読みでは条件をメモとして整理しやすくすることができます。つまり「大事なポイントにはマークを付けて視覚的に印象付けておく」ことで、条件を拾い損ねたり、数字の転記ミスをしたりするのを防ぐことができるのです。

自分のメモで考えるのがコツ

 問題の仕組みは問題文を読むだけで分かるのではなく、条件を書き写したメモ(ここでは、式・図・表・グラフなどもまとめてメモと呼ぶことにします)の中で見えてきます。

 1行題ならできるのに、問題文が少しでも長くなると、とたんに意味が分からなくなるお子さんが多いですが、それは国語力がないからではありません。「自分用のメモを作る」という算数の基本的な「読解の型」が身に付いていないことによる場合がほとんどです。

 問題文を読んですぐに式を立てて計算しようとすると、目を付けるべき条件に気が付かないか、気付いたとしてもその部分の計算が終わった段階で再度、問題文を読み返すという非常に効率の悪い解き方になってしまいます。

 漢字、平仮名、数字、記号などでゴチャゴチャと書かれた文章のあっちこっちに視線を移動させていては、思考の流れが途切れてしまい、数値情報の関係性を見抜くことなどできません。

 「問題文から離れて自分のメモで考える」ことが問題を解くコツなのです。

情報は1か所に集める

 例えば、複数の容器の食塩水をやりとりする問題では、やりとりの様子を「流れ図」に整理する、時刻や時間の条件が多い速さの文章題では、それぞれの動きを「ダイヤグラム」に整理する……などです。

 このとき、問題文で示されている数値を漏れなく流れ図やダイヤグラムの中に書き込んでおくことが不可欠です。

 「問題文に書いてある情報をすべて1か所に集める」ことで、複数の条件がどのように関係しているのかを把握し、与えられている数値と未知数とをつなぐ新たな条件が見つけやすくなるのです。

出題者の誘導に気付くことができるかどうか

 次に、二つ目の要素は「出題者の意図を読む力」です。当然ですが、算数入試問題の作成者はそれぞれの中学校の数学の先生方であり、算数・数学教育に熱心な専門家です。受験生のうち、優秀な生徒を選抜したいという思いはもちろん強くお持ちでしょう。しかし、それだけでなく「この問題を解くことによって受験の最中であっても、算数の面白さを味わってもらいたい」というようなメッセージが込められていると私は感じます。

 大問において(1)、(2)、(3)……と段階的にステップを踏ませて、最後には奥深いテーマの本質的な部分までたどり着かせようという設問がいかに多いことか。問題の解き手は、その作り手の意図を読み取り、それに応えなければなりません。

 どの分野の問題であっても大問において(1)、(2)、(3)……と順に解いていく際に、特に意識してほしいことは「前の小問を解いた結果は、次の問題を解くための有力な情報である」ということです。(1)の考え方や答えは、(2)を解くためのヒント。(1)、(2)の考え方や答えは、(3)を解くためのヒントになっている場合が多いです。

 問題文に書かれていることだけでなく、(1)、(2)を解いて分かったことも「問題を解くための重要な条件である」ことを意識して考えていくことが大事です。

 さらには、大問の形式に限らず全ての問題において、出題者の先生は「何が言いたいのか」「何を試そうとしているのか」「何に気付いてほしいのか」ということを常に考えながら読み解く練習をすることによって、直観力も磨かれていくのです。

プロフィル
粟根 秀史( あわね・ひでし
 教育研究グループ「エデュケーションフロンティア」代表。森上教育研究所客員研究員。大学在学中から塾講師を始め、35年以上にわたり中学受験の算数を指導。首都圏の大手進学塾教室長、私立小学校教頭を経て、現在は算数教育の研究に専念する傍ら、教材開発やセミナー、講演を行っている。また、独自の指導法によって数多くの「算数大好き少年・少女」を育て、「算数オリンピック」金メダリストや灘中、開成中、桜蔭中の合格者などを輩出している。「中学入試 最高水準問題集 算数」「速ワザ算数シリーズ」(いずれも文英堂)など著作多数。

無断転載・複製を禁じます
1843856 0 マナビレンジャー 合格への道 2021/03/05 16:00:00 2021/03/05 16:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210215-OYT8I50061-T.jpg?type=thumbnail

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