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2021年関西圏の中学入試を振り返って…森永直樹<10>

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中学受験率が7年ぶりに足踏み

 保護者の入場規制、進学塾の応援自粛など、かつてない状況で実施されたコロナ禍の中での中学入試。統一入試開始日の1月16日午前の受験者は1万7079人で昨年より116人減少しました。1年前の大手進学塾の5年生の生徒数から、2021年入試は受験者が増加するとみられていたので、新型コロナウイルスが何らかの形で影響した結果と考えられます。

 中学受験率(統一入試開始日の午前の受験者数÷近畿2府4県の小6児童数×100)は9.64%で昨年から横ばいとなり、6年間右肩上がりだった中学受験率はいったん足踏みとなりました。

 受験者数が減少する一方で、総志願者数は6万2045人で昨年より362人増加しています。これにより1人あたりの平均出願数が3.63(昨年は3.59)となりました。午後入試が定着するなか、人気校の午後入試への参入が増えたことが影響しています。

 地域別で見ると、昨年まで増加傾向であった大阪と兵庫の受験生の減少が大きく、新型コロナウイルスの感染状況と重なります。

新型コロナウイルスが入試傾向に影響

コロナ禍の中での中学入試の受験率は横ばいとなった(写真はイメージです)
コロナ禍の中での中学入試の受験率は横ばいとなった(写真はイメージです)

 関西圏の中学入試において、新型コロナウイルスの影響とみられる特徴的な事例が三つあります。

 一つ目は、他地域からの受験生の減少です。全国区の灘中の入試では112人減少しました。この多くが関東圏や九州からの受験生です。1月末や2月に入試を行う地域の受験生にとって最高峰の受験を本番前に体験できる機会として近年は増加傾向にありましたが、今年は移動することでの感染リスクを考えて、受験を回避する動きが目立ちました。

 二つ目は、兵庫の受験生の併願日程(統一入試開始日の午前以外の入試)での受験校選択です。兵庫東部(主に阪神間)の受験生の本命校の多くは兵庫県内の学校になりますが、併願校の受験では大阪の学校を選択するケースが多くあります。ところが今年の併願日程では大阪の学校が減少傾向なのに対して、兵庫では増加した学校があることから、兵庫東部の受験生が併願日程で県内に(とど)まったのではないかと推測しています。「ラッシュ時の長時間通学を避けたい」というコロナ禍ならではの動きです。

 三つ目は、近年注目されていたグローバル教育校が苦戦したことです。新型コロナウイルスの影響で海外との往来が断絶されていることから、魅力ある「海外研修」や「留学」がこれから先も難しいと判断されたようです。実際には、オンラインを活用したプログラムを導入し、海外との交流の機会は増えています。また留学時期の延期など調整も行われていて、これから入学する生徒についての影響は少ないだけに、残念な結果です。

今年、受験生を集めた注目校

 2021年入試で多くの受験生を集めた注目校を紹介します。ここで紹介する学校に共通するのは、「評価される(注目される)教育内容」があり、そこに「コロナによる休校期間中のオンライン指導への評価」が重なったという点と、数年前から人気の兆しがあったという点があげられます。

 難関進学校の中では兵庫の須磨学園中学校が3回の入試での受験者数が昨年の1.37倍の1447人となりました。実質倍率も3倍を超え、難化しています。先進的な教育と面倒見の良い指導で、すでに人気校でしたが、コロナ休校期間中のオンライン授業の評判が良く、多くのメディアで取り上げられたことでさらに注目されたようです。また同じく学校法人須磨学園が経営する夙川中学校は、同じ教育方針でもあることから注目され、須磨学園中学校の併願受験校としての人気も重なり、3回の入試での受験生が昨年の1.91倍の873人が受験しました。こちらは著しい難化となり、次年度以降の入試がすでに話題になっています。

 関関同立の付属校・系列校は不動の人気で、今年は同志社系・立命館系が目立っています。

 京都の同志社女子は前期入試で昨年の1.31倍の359人が受験しました。第1志望の受験生のレベルが上がっており、難化しています。同志社大学への付属校・系列校唯一の女子校という特色、立地(環境)が魅力で、今後も注目されるでしょう。

 立命館の付属校・系列校は立命館の後期入試を除いて、そろって増加しています。付属校では滋賀の立命館守山が全入試で昨年の1.54倍の733人が受験しました。地元での人気だけでなく、京都からの受験生が増えています。併願日程での入試では同志社系・立命館系の併願校の代表校となっています。系列校では、大阪の初芝立命館や京都の平安女学院の立命館大学へ連結したコースが注目され、受験者が増加しています。

 その他では、東洋大姫路(兵庫)、帝塚山学院泉ヶ丘(大阪)、箕面自由学園(大阪)が前年より大きく受験生が増加しています。いずれもコロナ休校期間中の対応で好評価を受けた学校ですが、その教育の中身にも注目が集まっています。

これからの学校選択について

 2021年入試はコロナ禍での特別な入試となったため、来年の入試ではその反動が出るかもしれません。併願校を含めた受験校選びにおいては、模試での志望動向にも注意が必要です。

 学校選択の際にはこれまでの視点(校風・教育環境・アクセスなど)に加えて、私学の未来を見据えた学び(探究的な学び・ハイブリッド授業)にも注目してください。これからの社会や新しい大学入試を見すえた魅力ある独自の取り組みへの期待が高まっています。

 コロナ禍で、学校説明会やオープンキャンパスのあり方も変わってきています。オンライン型・対面型・併用型とあり、機会そのものは増加しています。ただし、対面型は人数制限の関係ですぐに締め切られる場合があるので注意が必要です。本命候補の学校選びにおいては、必ず学校に足を運んで受験生・保護者自身の目で確認してください。併願校についても同様ですが、候補を絞るところまではオンライン型もうまく活用しましょう。学校によってはホームページ上にさまざまな動画を掲載し、オンライン説明会並みの情報が得られる場合もあります。気になるところはチェックしておきましょう。

プロフィル
森永 直樹( もりなが・なおき
 株式会社日能研関西 取締役。教室長、進学情報室室長、教室統括部長などを歴任。現在は教室と広報セクションを統括しながら、学校・教育情報を発信している。私学教育の魅力を伝える講演など中学受験イベントに多数出演。

無断転載・複製を禁じます
1866536 0 マナビレンジャー 合格への道 2021/02/26 05:01:00 2021/02/26 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210224-OYT8I50074-T.jpg?type=thumbnail

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