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春休みにこそ取り組みたい国語力トレーニング…水島醉<10>

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 国語力を上げるには、「視・聴・話・写」の組み合わせ、それぞれ四つのルートを鍛えることこそが大切だ、ということをこれまでお話ししてきました。このことを踏まえた上で、今回は、春休みなど比較的まとまって休みの取れる時期にこそできる、国語力向上のトレーニング法について、お話ししたいと思います。

親子で毎日一緒に「音読」をしてみよう

 文字を読む行為そのものは、文字を読むことでしか上達しないので、どうしても読む練習はしなければなりません。文字を読むには「音読(声を出して読む)」と「黙読(声を出さずに読む)」の二つの方法がありますが、春休みには「音読」の訓練をなさることをお勧めします。

国語力アップのため、春休みは親子での音読の時間を設けてみては(写真はイメージです)
国語力アップのため、春休みは親子での音読の時間を設けてみては(写真はイメージです)

 「音読」は「視・聴・話・写」で言うと、「視話」のルートに相当します。「音読(視話)」の長所は二つあります。一つは「読みのチェックができる」ことです。黙読では、果たして正しく読めているかどうかの第三者のチェックができません。「音読(視話)」ですと、文節の切れ目が正しいか、文字の読み間違いがないかなど、読解につながる重要な要素を、聞いている人がチェックし、修正することが可能になります。二つ目は、「音読(視話)」は発話した言葉を自分の耳で聞く、耳からのフィードバックが行われるので、文字からだけではなく音声からの理解も、頭の中で進みやすいことです。国語のまだまだ不得意な子供の場合、一つの文章を目で見るだけでなく耳から聞くことによって、より理解が深まるという長所があります。

 春休みの2週間、毎日30分程度の「音読(視話)」の時間を設けられてはいかがでしょうか。子供さん一人で読むのがまだまだ大変な場合、お母さま(お父さま)とご一緒に声をそろえて読まれるのも良いし、子供さんと親御さんで1文ごとあるいは1段落ごとに交互に読まれるのも、良い訓練になります。音読は地味で、そこに特別な効果がある「何か」があるようには思えませんが、本格的に取り組めばこれほど国語力を上げる方法はありません。それは私の経験上、間違いのない事実です。

映画や落語の鑑賞などでストーリーを追う面白さを知る

 物語の全体を読んで面白いと思えるには、ストーリーを追う面白さを知る必要もあります。ストーリーを追う面白さを知るのは、読書でなくてもできます。例えば映画を見ることです。名作の映画を最初から最後まで通してみることは、ストーリーを追うことの面白さを学ぶことになります。優れた作品には、場面ごとの山があり、伏線が敷かれてあり、全編通して話を追うことで「起承転結」の「結」にある感動に出会える素晴らしさを体感することができます。そして、それは完結した文章を読み抜く力となります。また、そこそこ本の読める子供さんでしたら、洋画の名作を字幕で見るのは、文字を読む訓練にもなります。

 もちろん映画だけでなく、観劇なども良いでしょう。観劇の方がより臨場感ある生の物語を見ることができます。落語や講談の鑑賞もとても良いものです。落語や講談は映画や劇に比べて、映像からの情報が少ない分、より多く「言葉からの情報」で状況を頭に描く必要が出てきます。これはより読書に近いものです。

 本を読まない子供は、ストーリーを追う面白さを知らないことが多いものです。読書が面白いと思えるには、完結した文章全体(あるいは一つの章)を読了しなくてはなりませんが、そもそも文字を読む力が不足している子供には、これができないのです。映画や落語などの鑑賞は、完結したストーリーの面白さを知る良い学習となります。

 ストーリーを追う訓練として、「4コママンガ」を描く、という方法もあります。「文章」を書くのは難しいことです。「あらすじ」を書くだけでも高い記述の力が必要です。そこで文章ではなく「4コママンガ」を描くことで、読んだ(見た)ストーリーを再現する国語力の訓練ができます。見た映画の内容を「起承転結」の4コママンガで表現することを訓練としてなさってみて下さい。国語力が低いと、まずは四つの場面に分けること自体が難しいでしょう。それがまだ難しければ、お話の最も重要な場面・盛り上がった場面・展開のあった場面=「転」の場面だけを考えさせるのも良いでしょう。絵を描くことが好きな子供さんなら、4コママンガは、喜んで取り組んでくれるかもしれません。

旅行中の出来事を箇条書きすれば記述の基礎訓練に

 「旅行」も国語の良い訓練になります。旅行が国語力につながるのかと疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし旅行は、旅行することそのものがストーリーの体験なので、国語の文章を理解することと非常に似ていると言えます。時系列のつながりや頭の中での空間把握など、旅行をしている時に頭の中で行っているさまざまな操作は、文章読解時の頭の働きと非常に似ており、たいへん良い国語の訓練になります。

 もちろん実際に出かけ、その過程を体験し、その土地土地の空気を知ることは素晴らしいことなのですが、現在のコロナ禍において、それはなかなか難しいかもしれません。その場合、実際に旅行に出かけなくても、計画を立てるだけでも、実は十分、国語の訓練になります。地図やその土地の写真などを見ながら頭の中で行う空想の旅行、また、観光ガイドやツアーのパンフレットなどを見ながらあれこれ計画を立てたり、写真を見てその土地の様子を想像してみたりすることは、とても良い国語の訓練です。

 旅行中の出来事を箇条書きでまとめるのも、記述の訓練になります。箇条書きだけでは作文や感想文にはなりませんが、作文は随筆であり、感想文は書評であり、このようなレベルの高い文章を書くのは、そもそもたいへん難しいことです。まずは箇条書きで良いので、体験した出来事やそれについての感想、意見、反省などを文字で書くことは、記述力につながります。箇条書きは、非常に良い記述の基礎訓練です。

 ある程度、本が読める子供さんでしたら、大作の読書に挑戦するのもとても良い学習です。現代の子供は、学校の勉強に加えて塾や習い事などに通っている場合も多く、落ち着いてゆっくりと時間を取ることが難しいようです。春休みはその余裕のある時間を活用して、長編を読むことに挑戦してみて下さい。

 トレーニングとは日々行わなければならないものですが、まずその習慣を付けるために、腰を据えて集中してやってみる必要があります。それには長期の休日がある時が、そのとっかかりとしては最適です。春休みは通常の学校生活のないせっかくの長期の休みなのですから、上記のような普段できない方法を試みられることを、ぜひお勧めします。

プロフィル
水島 醉( みずしま・よう
 1990年から「エム・アクセス」講師。「問題を解かせる→解説」という授業は国語力の向上につながらないと考え、「読書・思考・記述」を中心とした国語指導を展開している。「読む・聞く⇔書く・話す」の4ルートを鍛えることによって国語の地力を向上させる「視聴話写」という教材を開発。子供の心の成長と学力との関係を重視し、「マインドフルネス学習法」を提唱、授業に応用している。著書に「国語力のある子どもに育てる3つのルールと3つの方法」(ディスカヴァー携書)、「進学塾不要論」(同)など。

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1882381 0 マナビレンジャー 合格への道 2021/03/08 05:01:00 2021/03/08 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210302-OYT8I50064-T.jpg?type=thumbnail

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