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コロナ禍の2021年首都圏中学入試はこう変わった…北一成

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 コロナ禍による再度の緊急事態宣言下で行われた2021年の首都圏中学入試では、私立・国立中学校、中高一貫校の教育への期待が高まり、首都圏では中学受験者数が7年連続で増加しました。

首都圏の私立・国立中学受験者数は5万人超へ

 昨年の緊急事態宣言後は、経済的な影響によって受験者数の減少も心配されましたが、結果的に首都圏の私立・国立中学受験者数(公立中高一貫校のみの受験生は含まず)は、昨年入試より約650人増加し、5万50人となりました(首都圏模試センター推定)。これによって私立・国立中学受験率も16.86%と、過去最高になりました。

 コロナ禍にもかかわらず、7年続きの増加を見せて、前回のピークだった2007年以来14年ぶりに5万人の大台に乗りました。この中学受験者数増加の背景には、とくに昨年3~5月の休校期間中、ICTを活用したオンラインによる授業やホームルームの継続など、私立中高の生徒の「学びを止めない」柔軟で迅速な対応が、やや対応の遅れた公立中高と比較され、あらためて期待が寄せられたことがあると考えられます。

万全のコロナ感染対策で行われた各私立中の入試

 当初からコロナ禍のもとで行われる見通しだった今春の中学入試では、昨年から各校で多岐にわたる感染対策が行われてきました。たとえば、首都圏でのWeb出願システムの導入校は、昨年の約80%から約95%まで増加し、合格発表を掲示からWebに変更・併用するケースも、開成や麻布、桜蔭などの難関校で目立ちました。

 入試当日にも、スムーズな検温のためのサーモグラフィーの導入、1教室の座席の数や間隔の調整、シールドの設置、時差を設けての分散登校の導入、保護者控室を設けない措置や臨時の駐車場としてのグラウンドの開放など、さまざまな感染防止対策が行われました。そのため、多くの学校でコロナ禍の影響は少なく、無事に入試が行われたと伝えられています。また、約50校が事前に公表していた、コロナ感染対応の追加入試や追加日程の受験者も、ほとんどなかった模様です。

一般入試でもオンライン入試の可能性探る動き

 コロナ禍の影響は、私立中学校の入試のあり方(入試要項や入試形態)にも及びました。 多くの私立中の入試要項は例年よりも遅れて昨秋に公表されましたが、それ以前に昨年7月から順次実施された帰国生入試では、多くがオンラインによる入試を導入し、移動を制限されていた海外在住の受験生と保護者に歓迎されました。

 一般入試では、東京私立中高協会による自粛申し合わせによって、オンライン入試の導入は、いったん見送られましたが、それでも校内でタブレットを使って解答させるなどの形式で、来年度以降のオンライン入試の可能性を探る私立中も出てきました。

 千葉や神奈川では、一般入試でも一部にオンラインでの面接やインタビュー形式を導入した私立中もありました。就職活動や大学院の入試やテストでは当たり前になりつつあるオンライン入試が、来年度以降は中学入試でも増加する可能性があると考えられます。

面接中止など直前まで動き続けた2021年入試

コロナ禍の影響で面接を中止する学校もあった(写真はイメージです)
コロナ禍の影響で面接を中止する学校もあった(写真はイメージです)

 コロナ禍の影響は、中学入試の直前まで及びました。入試当日に「密になる」ことを避けるため、当初は予定していた面接を中止にする動きが、昨年末からフェリス女学院や立教女学院などいくつかの私立中で見られました。

 さらに年が明けて1月7日、再び緊急事態宣言が出されてからは、面接の中止を公表する私立中が続出しました。すでに中学入試で面接を実施する私立中は少数派となっています。その中でも面接を大切にしてきた女子校の多くが、コロナ感染対策のために急きょ、面接中止という苦渋の決断に踏み切りました。桜蔭は面接を記述形式に変更、女子学院や雙葉をはじめとする多くの女子校、とくにミッションスクールの多くが面接中止を公表しました。2月1日の入試本番6日前の1月26日に学習院女子中等科が面接中止を公表したことにも驚かされました。

 コロナ対応の追加入試や追加日程の新設・公表も、私立男子中の最難関とされる開成中が1月13日に追試験の設定(2月23日実施予定)を公表したことを契機に、他の私立中からも追加入試の設定・公表が続出しました。

コロナ禍が日本の教育と入試の変化を加速させた

コロナ禍でオンライン授業の導入が加速した(写真はイメージです)
コロナ禍でオンライン授業の導入が加速した(写真はイメージです)

 世界規模のパンデミックとなった、約1年間に及ぶコロナ禍の下で、教育と入試のあり方も、大きな変化を強いられることになりました。

 とくにICTを活用したオンライン授業などに象徴される学校教育のあり方やオンライン入試などの導入は、コロナ禍によって変化が加速したという見方もできるでしょう。2~3月からは国内でもワクチンの接種が始まったとはいえ、コロナ禍が終息するまでは、こうした「学びを止めない」ためのオンライン教育が、今後もしばらくは継続されることになります。

 その中で、オンラインでの教育・入試の可能性やメリットが積極的に探られる一方で、学校に登校してクラスの仲間や友達、先生とともに集まれるからこそ可能な学校教育の価値、学校という空間の存在意義もあらためて見直されることになるでしょう。

 そうした変化を、これからの教育と入試のあり方に希望を見いだせる面としてポジティブに受け止めて、学校選びや受験の準備を進めていただきたいと思います。

まだコロナ禍の続くなかでも、前向きに受験準備を進めていこう

 来春の中学入試に挑む現小5のお子さんたちをはじめ、それ以降の入試にチャレンジを考えている小学生の皆さんは、今なお続くコロナ禍のもとで、健康と安全に気を付けながら、希望と勇気を持って中学受験の準備や受験勉強を続けていっていただきたいと思います。

 学校選びについても、オンラインでの学校説明会や相談会、人数制限された学校での説明会や見学会を、「学校を知る」ための貴重な機会と考え、積極的に活用・参加していく必要があるでしょう。そのためには保護者の皆さんも、そうしたオンラインと現地参加の両方が可能なように、ご自宅のインターネット環境やPC・タブレットなどのICT環境を整えておくことをお勧めします。

大らかな気持ちで受験勉強に取り組もう

 安倍前首相が一斉休校要請を行った昨年3月からの3か月間、多くの保護者や教育関係者の心配は「学習の遅れ」以上に、子供のメンタルやストレスの問題だったといいます。今後も、コロナ禍で一時的に外出がしにくい状況が生まれるかもしれませんが、必要以上の心配や焦りは禁物です。保護者はどうしても、我が子の学習状況が心配になりますが、そういう時こそ、親子で大らかに構えて、落ち着いて受験勉強を進めていただきたいと思います。

 気持ちをしっかりと保って、受験と学習へのモチベーションを下げずに入試までマイペースで歩めた受験生は、今年の入試でもきっと良い結果を残したことと思います。「コロナが自分を強くする」というくらいに考えて、前向きな気持ちで、来春2022年入試に向かってください。

プロフィル
北 一成( きた・かずなり
 首都圏模試センター教育研究所長。1985年に首都圏の大手中学受験専門塾に入社。同塾の広報や進学情報誌の編集などに携わり、2013年8月に退職。翌月「日本Web情報出版」を設立し、同時に「日本Web学校情報センター」及び「JWSIC教育研究所」を開設。学校情報・入試情報を専門とし、取材等で約400校の中高一貫校をのべ3000回以上訪問。2000人以上の保護者から学校選びに関しての相談を受けてきた。2013年11月から現職。

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1897263 0 マナビレンジャー 合格への道 2021/03/10 05:01:00 2021/03/10 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210309-OYT8I50012-T.jpg?type=thumbnail

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