2022年入試に向けて注目すべき新たな動き…北一成

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 最近の中学入試では、多数の入試改革・学校改革が実施され、各校の人気動向を始め、入試の全体状況も毎年のように大きく変化します。来春2022年も中学入試に向けて、すでにいくつもの入試改革・学校改革が公表されています。中には、いまだコロナ禍ゆえの入試要項変更も見られます。受験生の皆さんが志望校の合格をつかむためには、そうした激しい変化の中に、チャンスを探ることがポイントになります。いくつか目立った動きとその背景をご紹介していきましょう。

フェリス女学院中は来春も面接を中止

多くの女子校で入試直前に面接が中止された(写真はイメージです)
多くの女子校で入試直前に面接が中止された(写真はイメージです)

 2年続きのコロナ禍の下での、22年入試に向けた動きとしては、すでに6月、フェリス女学院中が面接を中止し、10分程度の筆記による人物考査を実施することを公表したことが注目されます。

 今春の入試でも、昨年末から年明け1月7日に発出された2度目の緊急事態宣言後にかけて、いくつもの女子校で「面接中止」が公表されました。桜蔭は面接を記述方式に変更、女子学院、雙葉を始め、フェリス女学院、横浜雙葉、立教女学院、学習院女子、ほかにもミッションスクールを中心に多くの女子校が、入試直前に面接中止を公表しました。

 中学入試では、すでに面接実施校は少数派となっていますが、これらの女子校は、自校の教育理念やキリスト教教育に対する理解と賛同の姿勢を確かめるために、あえて面接を大切にしてきました。面接中止は、コロナ禍の下で、受験生や教職員の安全を考えた結果の苦渋の決断であったに違いありません。

 また、面接中止のほかにも、グループワークの中止(共立女子の英語インタラクティブ入試など)などに踏み切る学校も出てきています。受験生としては、上記のフェリス女学院を始め、こうした安全確保のための措置に踏み切る学校が出てきたことに注目し、その意図や背景を理解して入試に挑んでいきたいものです。

小学校の「英語の教科化」が中学入試に波及

 もう一つ、来春の中学入試に影響を及ぼす可能性が大きいのが、2020年度から小学校で全面実施された、新しい「学習指導要領」に関する動きです。

 たとえば、小学5年から英語が教科化されたことにより、すでにいくつかの私立中学校や国立大学附属中学校の入試で、それにともなう動きが公表されています。

 茨城県の江戸川学園取手中学校では、来春の入試から、科目型入試の全ての回で、従来の4科目入試から「英語を含む5科目入試」に変更することを、昨年7月に公表しています。ここで導入される英語試験は、20分程度のヒアリングで選択肢を選ばせるもので、比較的優しいレベルということですが、今後は「小学校での英語学習も大切にしてきてほしい」というメッセージが込められているそうです。同校は系列の小学校でも英語に力を入れてきましたので、小・中・高で一貫して英語教育を重視する体制をつくっていくというメッセージでしょう。

 他の私立中学校でも、聖セシリア女子が英語表現入試、山脇学園が英語アダプティブラーニング(AL)入試を新設するなど、英語入試本格化元年を感じさせる動きを見せています。また、筑波大学附属中学校では、報告書点に英語を加え、従来の36点満点から42点満点とすることを4月に公表しています。国の教育研究・教育実習機関である国立大学附属中学校のこうした動きも、今後の教育と入試の変化を象徴する動きとして注目しておくべきでしょう。

プログラミング・思考力・プレゼンテーション型入試も増加か

 小学校の新「学習指導要領」で教科化はされていないものの、「必修」と表現されている「プログラミング教育」にも注目しておくべきでしょう。

 すでに首都圏では、聖徳学園、駒込、大妻嵐山、相模女子大学、八王子実践、聖和学院、静岡聖光学院など、いくつかの私立中学校で、それぞれユニークな「プログラミング入試」が新設、実施されてきました。授業でプログラミングを導入している私立中高も急速に増えていることから、今後も、こうしたプログラミング入試の増加が予想されます。

 また、これからの教育で重視されていく「探究」学習や、グループワークなどの「協働」学習も、入試の変化に大きく関わっています。かえつ有明、聖学院、工学院大学附属など先進的な21世紀型教育を実施してきた私立中で導入されている「思考力入試」には、この探究・協働や「プレゼンテーション」の要素が含まれています。

 文部科学省が提示している今後の大学入試における個別選抜のあり方では、これらの要素に加え、「創造性」や「芸術性」などの力も求められています。ですから、こうした「探究・協働・創造」をする力を育てる教育は、中高6年間の中でますます重視されてくるはずで、こうした「思考力入試」や「プレゼンテーション入試」も、来春の入試に向けてさらに増加していくことが予想されます。

学校を見に行ける機会とオンラインの情報をともに生かす

 昨年の休校期間から現在までに、私立中高が蓄積してきた、柔軟なコロナ対策の経験とオンラインによる授業や学校活動のノウハウもまた、注目すべきポイントです。

 今春は、一部の私立中でオンライン入試が行われましたが、今後はその可能性や手法、ノウハウの研究が進み、さらに広がっていく可能性があります。

 また、こうした私立中高の中には、登校して仲間や先生と一緒に学べるからこそできる教育と、オンラインで家庭でも学べる教育それぞれの良さを研究、実証し、その両方を生かした新たな学びの手法に取り組むケースも登場してきました。

 海外ではブレンディッド・ラーニングと呼ばれるこうしたハイブリッドな教育は、今後、日本の教育においても、新たな教育と学びの手法として私立中高の中で確立されていくことが期待されます。

 今年3月までには全国の公立学校にもICT端末の配備が行われましたが、私立中高のオンラインと対面授業の両方を生かした教育と学びは、公立学校をリードするお手本となっていくことでしょう。

 そして、来春2022年入試に挑んでいく新6年生と保護者の皆さんにも、この「オンラインと対面での両方を生かした」受験準備や学校選択を、ぜひ意識して心がけていただきたいと思います。

 少なくとも今後、秋口までは、各私立中高の学校説明会や見学会、相談会など、すべての「学校を知る」ためのイベントは、この「オンラインと対面」の両方の形を併用して実施されることになるはずです。

 ですから、受験生と保護者の方には、オンラインで発信される各学校の情報に対し、アンテナを高くして予備知識を積極的に収集するとともに、人数制限などの中で実施される「学校を訪ねて、実際の雰囲気を知る」機会をしっかりとチェックし、積極的に参加していただくことをお勧めします。

 2年続きのコロナ禍での中学受験準備には、親子ともに大変な苦労や心配があることと思いますが、何より大切なのは、必要以上にストレスを () めたり、焦りを感じたりすることなく、できるだけ明るい、前向きな気持ちで入試に向かっていく、そんな家庭の雰囲気をつくっていただくことではないかと思います。

プロフィル
北 一成( きた・かずなり
 首都圏模試センター教育研究所長。1985年に首都圏の大手中学受験専門塾に入社。同塾の広報や進学情報誌の編集などに携わり、2013年8月に退職。翌月「日本Web情報出版」を設立し、同時に「日本Web学校情報センター」及び「JWSIC教育研究所」を開設。学校情報・入試情報を専門とし、取材等で約400校の中高一貫校をのべ3000回以上訪問。2000人以上の保護者から学校選びに関しての相談を受けてきた。2013年11月から現職。

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2186424 0 マナビレンジャー 合格への道 2021/07/08 05:02:00 2021/07/08 05:02:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210706-OYT8I50008-T.jpg?type=thumbnail

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