2022年関西圏の中学入試を振り返って…森永直樹<14>

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コロナで私学への関心高まり、中学受験率は上昇

 近畿圏の中学入試は、新型コロナウイルスの第6波、オミクロン株の影響を受け、面接の中止や保護者の入場規制、塾関係者の応援自粛要請が出る中で実施されました。

 統一入試開始日の1月15日、午前の受験者数は1万6892人で昨年より187人減少しました。近畿2府4県で小学6年の児童数が3825人減少していることが要因と見られます。

 中学受験率(統一入試開始日の午前の受験者数÷近畿2府4県の小6児童数)は9.74%(昨年は9.64%)となり、2年ぶりに上昇しました。

 昨年と同じ受験率であれば受験者数が400人近く減少するところですが、187人の減少にとどまったのは、コロナをきっかけに私学教育への関心が高まり、5年生の後半や6年生から準備に入った受験生が増加したためでしょう。地域別で見ると、小6児童数の減少率に比例して兵庫県の受験生の減少が大きく、昨年減少した大阪府はほぼ横ばいとなりました。

手堅い合格を求め安全志向の受験に

甲陽学院などの難関校では、志願者が減る「安全志向」が見られた(写真は甲陽学院正門)
甲陽学院などの難関校では、志願者が減る「安全志向」が見られた(写真は甲陽学院正門)

 今年の中学入試の一番のトピックは、これまでにない「安全志向」の受験傾向となったことです。

 統一入試開始日午前の志願者数で見ると、男子の難関校では、甲陽学院で66人減、大阪星光学院で22人減、女子の難関校では、神戸女学院で43人減、四天王寺で71人減となりました。逆に、男子校の六甲学院で27人増、洛星で40人増、女子校の甲南女子で24人増、大谷(大阪)で35人増、帝塚山学院で14人増となっており、初日午前から手堅く合格を決めていこうという安全志向が強まったことが見てとれます。

 全国最難関の灘でも志願者数は35人減少して652人となりましたが、首都圏からの志願者数は逆に、昨年より16人増加しています。減少分の多くが兵庫・大阪であったことから、これも安全志向の裏付けになりそうです。

 これまでにない安全志向になった要因は、無理をさせたくない保護者心理が影響していると思われます。2年続けてコロナ禍での生活を余儀なくされる状況下で、受験勉強への取り組ませ方が想定通りではなかったことから、より確実な選択へ向かったのではないでしょうか。この傾向が来年も続くかどうかが注目されます。

 もう一つコロナの影響と見られることとして、昨年に続き府県またぎの受験が減少したことが挙げられます。特に兵庫から大阪や奈良方面への受験が減少し、県内にとどまる傾向が強くなっています。昨年はコロナの感染リスクを考えた動きと解釈していましたが、コロナがきっかけとなり「(通学)時間」への考え方が変化しているのかもしれません。

落ち着きを見せる大学付属校人気

 近年右肩上がりだった大学付属校人気は、今年足踏み状態となりました。

 初日の午前の志願者数で見ると、人気の高い関関同立系の付属校は合計で122人減少し、一方で産近甲龍の付属校が56人増加していることから、大学付属校の受験でも安全志向だったことが分かります。

 減少したのは、同志社、同志社女子、立命館、関西大学第一で、同志社女子と立命館は昨年難化したことへの反動と思われます。

 増加したのは関西大学中等部、甲南、京都産業大学附属です。安全志向の影響という見方もできますが、3校とも半進学・半付属校という共通の特徴があり、大学までの進学を前提にしながらも希望する進路によっては他大学受験に切り替えられる環境が支持されたとも言えます。

 また、近年の大学付属校人気を 牽引(けんいん) してきた同志社香里は昨年比43人増と志願者数を伸ばしており、さらに難化しています。大学付属校の人気は、一時期より落ち着いてきたとはいうものの、依然高いことに変わりはありません。

2023年入試に向けての注目校

三田学園など共学の進学校への志望校変更が増えた(写真は三田学園中学本館)
三田学園など共学の進学校への志望校変更が増えた(写真は三田学園中学本館)

 昨年大幅に難化した須磨学園夙川は、志願者総数は減少したものの、合格者数を絞ったこともあって全日程で倍率が上がりました。結果としてさらに難化することになったのですが、今後はこの高いレベルで定着しそうです。

 こうした近年の難化傾向を受けて、同じ共学の進学校というカテゴリーへの志望校変更が増え、兵庫の三田学園や雲雀丘学園、滝川第二が注目されました。志望変更という視点からの選択であっても、各学校が持つ魅力が伝わった結果、大きく志願者数を増やしたと考えられます。

 新コースの設置で注目されていたのが滝川、東洋大姫路、常翔学園の3校です。総志願者数で滝川が86人、東洋大姫路が33人、常翔学園が142人とそろって増加する結果となりました。新コースへの期待がそのまま数字に表れています。いずれの新コースもこれからの時代の進学にフォーカスしており、近年伸ばしてきた大学進学実績と合わせて、「挑戦する姿勢」が支持されたと言えます。

 大きな変動があった年の翌年の入試は注意が必要です。同じ傾向が続くのか、またはその反動が出るのか、秋以降の合格判定テストでの志望動向を見ないと分かりません。

 これまでは難関校がそろって2年連続志願者数を減らすことはなかったので、少なくとも難関校については昨年以降の状況に戻ることを想定しておいたほうがいいでしょう。

 またオミクロン株の第6波が収まっても、まだある程度はコロナの影響を受けると思われるので、学校で実施されるオープンスクールなどのイベントも制限が設けられる可能性があります。実際に足を運んでこそ分かることもあるので、気になる学校のホームページはこまめにチェックしておきましょう。

プロフィル
森永 直樹( もりなが・なおき
 株式会社日能研関西 取締役。教室長、進学情報室室長、教室統括部長などを歴任。現在は教室と広報セクションを統括しながら、学校・教育情報を発信している。私学教育の魅力を伝える講演など中学受験イベントに多数出演。

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2786573 0 マナビレンジャー 合格への道 2022/02/24 11:00:00 2022/02/24 11:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/02/20220222-OYT8I50012-T.jpg?type=thumbnail

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