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    社会に出ることを意識して活動中の大学生、前向きに働く若手社員らを紹介します。

    新橋で居酒屋経営

    東京農業大4年  佐藤瞳さん 21

    • カウンターだけの店内で接客をする佐藤さん。「将来も食を通じて人を元気にしたい」(東京・新橋で)=奥西義和撮影
      カウンターだけの店内で接客をする佐藤さん。「将来も食を通じて人を元気にしたい」(東京・新橋で)=奥西義和撮影

    出資や採用も学生で

     「サラリーマンの聖地」と呼ばれる東京・新橋で、大学生が経営する「学生居酒屋 あるばか」の店長を務める。2010年にオープンした店を経営する学生は1年ごとにほぼ入れ替わる。所属する大学も様々だ。店名は「あるばかな学生たちが本気で経営する居酒屋」から付けたという。

     自身は、大学の先輩に誘われ、昨年夏から店に関わり、今年4月に9代目の店長になった。現在は6人の学生で店を切り盛りする。

     飲食店の経営は、「アルバイトのように効率よく稼げるわけではなく責任も大きい」と話す。参加学生は出資金を払い、注文に応じて酒を出したり料理したりするほか、新メンバーの採用、会計や店の賃貸契約まで、すべて自分たちでこなす。「皆、ここでしか得られない経験を求めて参加する。私は店長としてメンバーのモチベーションの把握にも気を使っています」

    社会との関わり学ぶ

     大学では農作物の流通などについて学んでおり、現在は就職活動中だ。就活と居酒屋経営の両立は大変だが、週に4回程度、店のカウンターに立つ。卒業後は食の分野で活躍したいと、地方で農産物の生産者と関わる仕事に興味を持っている。

     店の主な客層は40~50歳代のサラリーマンで、学生の自分たちは、客を通して社会を知り、客は学生と会話をする中で、自分が学生だった時の、夢を語る熱い気持ちを思い出して元気になってくれるという。

     「お客様に就職の相談をすると、自身の経験に基づいてアドバイスしてくれる。自分の企業選びの軸に気付くことができました」と笑顔を見せる。

     店長として、普段は近隣の飲食店が加盟する団体の会合にも顔を出す。「他のお店の方が心配して『何でも聞いてね』と声を掛けてくれる」のがうれしい。苦手だったお金の管理も初代の店長から世話になっている税理士などから教わるなどし、「社会」に少しずつなじんできたと感じている。(金来ひろみ)

    学食の一角でも

     学生が飲食店を経営する例は少なくない。大学の構内で食堂を経営するユニークな取り組みもある。千葉商科大は2011年から、食堂を経営したい学生らに、学食の一角を提供している。現在、在学生が丼物を出す店を、卒業生が中華料理店を経営する。9月にも3店目がオープンする予定だ。

     大学では、店舗経営も教育の一環とし、経営を希望する学生らに、事業計画書を提出させて、選考を行っている。在学生のテナント料は無料で、開業に必要な手続きやお金の管理に関する指導も行っている。

    飲食店の経営

     「自分のカフェやレストランを持ちたい」と希望する人は多い。東京商工リサーチの関雅史さんは、「飲食業は、新規で参入しやすい反面、競合店が多く、全ての店が長く続くわけではない」と指摘する。「あるばか」は、「若い人の感覚や目新しさが客を引きつける魅力になっているのではないか」と話していた。

    2018年06月26日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun