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    大学生の就職活動に関する最新のニュースや話題を紹介します。

    「採用ルール廃止」の影響は

     大学生の就職活動を巡り、経団連の中西宏明会長が日程などのルールを定めた採用指針を廃止する意向を表明したことで、今後予定される国や大学側との協議の行方が注目される。日本の雇用の在り方が大きく変わる可能性もあり、学生への影響は計り知れない。(横山航、恒川良輔)

    指針の形骸化が背景に

    • 6月1日の選考解禁日に損害保険会社の面接の順番を待つ学生たち(東京都渋谷区で)
      6月1日の選考解禁日に損害保険会社の面接の順番を待つ学生たち(東京都渋谷区で)

     「建前と現実が全く違い、何を信じていいのか分からなかった」。来春、メーカーへの就職を決めた東京の私立大4年の女子学生は、自身の就活をそう振り返る。

     経団連の指針やそれに基づく国の要請で、大学生の就活は会社説明会が3年生3月、面接などの選考が4年生6月に解禁と定められている。

     だが、この女子学生が3年の1月から参加したインターンシップ(就業体験)では、事実上の選考を行う企業が多かった。3、4月には面接が続き、大学の授業は休みがちに。

     5月末に第1志望のメーカーから内定を得たときは、人事担当に「口外しないで」と言われた。その後の他社の面接は断り、「ルールを守る会社が損をする」と感じたという。

     経団連会長の指針廃止表明は現行ルールの形骸化が背景にある。解禁を破っても罰則はなく、学生優位の「売り手市場」を背景に採用活動を早める企業が増え、就職情報会社ディスコの調査では6月1日時点の内定率は65.7%に上った。

    目安ないと日程前倒し加速?

     大学のキャリアセンターの担当者は「ルールは守られない前提で学生を指導している」と口をそろえるが、指針の廃止には反対の声が多い。

     立命館大キャリアセンターの松原修次長は「日程の目安がなくなると、学生は就活の開始や、やめ時がわからず混乱する」と指摘。法政大キャリアセンターの内田貴之課長も「前倒しがさらに進むのでは」と危惧する。指針が廃止される場合、対象は今の2年生からになりそうで、明治大2年の男子学生は「ルールが変更されれば先輩の就活が参考にならなくなる」と憤る。

     韓国の雇用政策に詳しいニッセイ基礎研究所の金明中キムミョンジュン准主任研究員は「韓国も日本と同じ新卒一括採用だが日程のルールはなく、学生の志望が大手に集中し中小企業に人材が回らない。日本でも同じ影響が心配される」と指摘。一方、キャリア教育が専門の児美川こみかわ孝一郎法政大教授は「早めの就活が有利とは限らない。大学生活で成長した経験が結局は就活成功の近道になる」と助言する。

    2018年09月18日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun