文字サイズ
    大学生の就職活動に関する最新のニュースや話題を紹介します。

    地方に「天職」 U・Iターン

     学生優位の「売り手市場」が続き、大手志向が強まる中、地方へのUターンやIターン就職を選択肢に入れる人も少なくない。都市部の一極集中の是正や人手不足の解消を促すため、国や自治体なども地方就職を後押ししている。地方で働く若手社員らに魅力を聞いた。

    (上田詔子)

    広大な敷地 幅広い職種

    • モニターの性能を検証する多田さん(石川県白山市のEIZOで)=細野登撮影
      モニターの性能を検証する多田さん(石川県白山市のEIZOで)=細野登撮影

     埼玉県出身の滝下翔太郎さん(24)は2017年、日本大(東京)を卒業後、北海道を拠点にコンビニ店「セイコーマート」を展開するセコマ(札幌市)にIターン就職した。元々、北海道とは縁がなかったが、大学3年の夏に1か月間、道内をバイクで巡ったときにセイコーマートに立ち寄り、セコマの存在を意識したという。

     就職活動では地元の金融機関など3社から内定を得たが、商品開発や原材料の生産、食品の製造、販売を一貫して担うセコマの幅の広さに「どこを切り取っても面白い」とひかれ入社を決めた。今はグループ会社で札幌市内の13店舗の経営や運営を指導する。「土日は山登りや観光で豊かな自然やおいしい食べ物を満喫している」と満足そうだ。

     石川県白山市の映像機器メーカー「EIZO」でエンジニアを務める多田昂介こうすけさん(25)も、入社2年目のIターン就職組だ。生まれも育ちも神奈川県。中学生の頃から玩具の分解や電子工作などが好きで、電気通信大大学院(東京)を修了後、「まずは技術者としてスキルアップを図りたい」とEIZOを志望した。

     同社は、医療用や航空管制用のモニターで世界トップクラスのシェア(占有率)を誇り、地方を拠点に高い技術力を生かしたものづくりを行うのが売りで、今春の新入社員のうちIターン就職者が半数以上を占めるという。多田さんは、「都市部と違い、広大な敷地に企画、開発、生産など全ての部門が集まりコミュニケーションがとりやすい」と話す。

    故郷で自然体になれる

     鈴木彩純あすみさん(24)は昨年、大阪大を卒業後、出身地にある三重県庁にUターン就職した。就活で大阪に残るか地元に戻るか悩んだが、愛着のある土地で働きたいと決めた。

     「都会での生活も楽しいけれど、生まれ育った土地は居心地がよく自然体で頑張れる」と言う。実家で両親や姉と4人で暮らし、通勤は車で約20分。職住接近でワーク・ライフ・バランスも実現している。

     将来は、「三重の魅力を伝え、企業誘致や移住促進に携わりたい」と意気込んでいる。

    魅力発見のフェア開催

    • 「U・Iターン魅力発見フェア」に参加した各地方の企業や学生ら(11月24日、東京都千代田区で)=林陽一撮影
      「U・Iターン魅力発見フェア」に参加した各地方の企業や学生ら(11月24日、東京都千代田区で)=林陽一撮影

     地方への就職を後押しするため、地元自治体と都市部の大学が協定を結び、就職情報の提供や、インターンシップ(就業体験)参加の交通費の補助などを行う動きが相次いでいる。政府は来年度、東京23区に5年以上住み、地方での起業や中小企業への就職をした人に最大300万円を補助する制度を始める方針だ。

     就職イベントも多く実施され、11月24日には「U・Iターン魅力発見フェア」(読売新聞東京本社主催)が東京都内で開かれた。

     フェアを運営した文化放送キャリアパートナーズ・就職情報研究所の平野恵子主任研究員は、「職住接近で自由な時間を確保しやすい地方では、時間の有効活用で生活の質の向上が実現できる。困ったときに地域の人たちに相談したり、助けを求めたりしやすく人とつながる安心感もある」と地方就職の利点を話す。

    2018年12月25日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun