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    観光客4割増振興に知恵、タクシーやバス無料運行…世界遺産登録1か月

    • 長崎港と崎津漁港を結ぶ航路を利用して崎津教会を見学する観光客ら
      長崎港と崎津漁港を結ぶ航路を利用して崎津教会を見学する観光客ら

     「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界文化遺産への登録から、30日で1か月を迎えた。登録後、構成資産の教会などを訪れた観光客は前年から約4割増加。地元の関係者は交通の利便性を高めたり、仮想現実(VR)を駆使し歴史上の価値を分かりやすく伝えたりして、さらなる観光振興につなげようと知恵を絞っている。

     長崎県によると、6月30日の登録後の7月1~14日、12構成資産の教会などの施設を訪れた観光客は計2万252人で、前年同期比で42%増えた。元々訪れる人が少なかった施設ほど伸び率が大きく、前年は110人だった「奈留島の江上集落」(五島市)の江上天主堂は約4倍の457人に急増した。

     ただ、多くの構成資産は離島や半島に位置し、観光客がマイカーで教会などを回ろうとしても、狭い生活道路の運転を強いられる場所が多い。さらに12の構成資産が広範囲にあるため、移動に時間がかかる点も課題となっている。

     「陸の孤島」と呼ばれる長崎市の外海地区は、出津集落と大野集落の二つの構成資産を抱える。それぞれの教会は車が行き交うことが難しい道路の先にあり、車が増えれば住民生活を乱す恐れがある。そこで市は、両教会近くの駐車場間などを結ぶシャトルタクシーやバスを導入し、21日から休日に無料運行している。28日に利用した男性は「教会の場所を探す必要がなかったので楽だった」と喜んでいた。

    ◆長崎―天草に船便

     12構成資産で唯一、熊本県にある「天草の崎津集落」。長崎市から熊本市経由の陸路で向かうと片道5時間以上かかる。五島産業汽船(新上五島町)は6日から11月25日までの金、土、日曜に、長崎港と天草市の崎津漁港を約1時間40分で結ぶ便を1日1往復、有料で運航。関東や関西からの団体客の予約も入っているという。

    ◆VR駆使し原城跡再現

     また、潜伏キリシタン関連遺産は禁教期の歴史が評価されており、現存する施設を見ただけでは魅力が伝わりにくい面がある。このため、南島原市は8月1日から、構成資産「原城跡」で往時の様子をVRを使ってよみがえらせる。

     城郭は潜伏が本格化するきっかけとなった「島原・天草一揆」の舞台で、市は築城時と一揆時の模様をコンピューターグラフィックス(CG)で再現。スマートフォンやタブレット端末でアプリを起動し、本丸正門前などでかざすと映像を見ることができる。担当者は「調査や時代考証を積み重ね、最新技術によって精密に仕上げた。驚いてもらえるはず」と自信をのぞかせる。

    2018年07月31日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    よみうりSPACEラボ