文字サイズ

    歴史・文化財

    振り仮名付き「豊後国志」、竹田市教委刊行「郷土知って」…岡藩18代当主が提案

    • 刊行された「訓読豊後国志」
      刊行された「訓読豊後国志」

     江戸時代に現在の大分県竹田市一帯を治めた岡藩が編さんした地誌「豊後国志」を現代の人に広く読んでもらおうと、竹田市教委は漢文で書かれた原文に振り仮名や注釈を付けた「訓読豊後国志」(思文閣出版)を刊行した。17日午後1時から市総合社会福祉センターで記念セミナーを開く。

     豊後国志は岡藩の儒医、唐橋君山(1736~1800年)が1798年(寛政10年)、編さんに着手。没後は豊後南画の始祖として知られる文人画家、田能村竹田(1777~1835年)らが引き継いでまとめ、1804年(文化元年)に江戸幕府へ献納したとされる。現存する全9巻は、「中川藩資料」の一部として市有形文化財に指定されている。

     読み下しをする訓読作業は、岡藩主中川家の18代当主にあたる名誉市民で、京都大名誉教授や京都国立博物館長を務めた中川久定さん(昨年6月に86歳で死去)が提案。教え子の松田清・京都大名誉教授が注釈、国立科学博物館の太田由佳・協力研究員が振り仮名や送り仮名などを担当し、6年の歳月をかけて1冊にまとめた。

     本では地域ごとに地名、川や道、神社仏閣、特産品などを細かく紹介。現在の竹田市一帯を表す「直入郡志」の章では、くじゅう連山の大船山について「かたち覆船ふくせんごとし。ゆえづく」と記載し、転覆した船のような形から山の名が付いたことなどを説明している。

     首藤勝次市長は「岡藩最高の知性が総力を挙げて作り上げた郷土の地誌。市民はもとより、全国の研究者や歴史愛好家にとって親しみやすい書物になればうれしい」と話していた。

     A5判712ページ、7000円(税別)。主要書店や市教委文化財課で購入できる。

     記念セミナーは「唐橋君山の遺業に学ぶ」をテーマに開催。松田さんが「『豊後国志』の自然描写」、太田さんが「豊後に出会う―『豊後国志』をみ終えて―」と題し、それぞれ講演する。解説を担当した県立高田高校の佐藤晃洋校長らも登壇する。入場無料。

     問い合わせは市教委文化財課(0974・63・4818)へ。

    2018年06月02日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    よみうりSPACEラボ