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    歴史・文化財

    「精煉方」跡からガラス製品、佐賀市教委が発掘経過公表

    • ガラス製品の一部
      ガラス製品の一部
    • るつぼの破片
      るつぼの破片
    • 精煉社の時代に使われていた窯の一部
      精煉社の時代に使われていた窯の一部
    • 精煉合資会社の工場礎石の一部
      精煉合資会社の工場礎石の一部

     佐賀藩の理化学研究所として、藩の近代化に貢献した「精煉方せいれんかた」の跡地(佐賀市多布施)を発掘調査している佐賀市教委は24日、今年度の調査経過を公表した。深さ約1メートルの地中から、明治時代に設立された「精煉合資会社」のガラス製品などが多数出土したという。担当者は「近代佐賀の歴史の一部分が明らかになった」と話している。

     市教委文化振興課によると、精煉方は1852年に創設され、蒸気機関の研究やガラス製造などを行っていた。明治維新後の71年に「精煉社」と改称、94年には技術や敷地を受け継ぐ形でガラスを大規模に製造する「精煉合資会社」が設立された。同社は1940年に廃業したという。

     今回の発掘調査は8月24日から始まり、広さ約100平方メートル、深さ約1メートルの範囲で調べた。精煉合資会社が製造したガラス製品の一部や、ガラスを熱して溶かすためのるつぼなどが出土。レンガ造りの排水溝や作業場、工場の礎石のほか、精煉社の時代に使われていた窯の一部も発見された。

     跡地を巡っては、市教委が2009年に調査し、遺構を確認。昨年、所有者から跡地約1万6000平方メートルのうち、6500平方メートルを市が買い取り、今年度から本格的な調査を始めた。今年度の調査は今月末まで続けられ、来年度はさらに面積を広げ、より深い地点を発掘調査する方針。

     文化振興課は「さらに下まで掘り進めることで、精煉社や精煉方に関連する遺物を発見できる」と期待している。精煉方などに関する未調査の文献についても、並行して調べていくという。

     発掘調査を指導する市重要産業遺跡調査指導委員会の副委員長で、佐賀大の田端正明名誉教授(分析化学)は「佐賀藩の高い技術を受け継ぐ会社が、明治の殖産興業を担うという次のステップを示した遺構と言える。その価値は極めて高い」と評価している。

                  ◇

     市教委は27日の午前9時と10時、11時からそれぞれ30分ずつ、発掘現場で現地説明会を開く。担当者が調査の経過を詳しく説明する。周辺には駐車場がないため、公共交通機関の利用を呼びかけている。問い合わせは文化振興課(0952・40・7368)へ。

    2018年10月25日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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