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    歴史・文化財

    国史跡・井寺古墳発見時の古文書、被災史料レスキューで判明…熊本

    • 井寺古墳について記された有馬家文書(熊本大で)
      井寺古墳について記された有馬家文書(熊本大で)

     熊本地震で被災した国史跡・井寺いでら古墳(熊本県嘉島町)が幕末に発見された当時の状況を記録した古文書が熊本市内で見つかった。熊本大の研究者らでつくる「熊本被災史料レスキューネットワーク」が12日、同大で発表した。明治時代に盗掘され、不明になっている副葬品や被葬者の情報が記されており、嘉島町教委は古墳の実態解明につながる貴重な資料としている。

     古文書は熊本市の男性が所有していたが、家屋が被災したため、同ネットワーク事務局長の三沢純・熊本大准教授(日本近代史)に寄贈を申し出て内容が判明した。地元の庄屋の有馬家の文書で、藩に発見時の様子や出土品などについて報告するための草稿や、出土品の取り扱いに関する藩の指示書が含まれていた。

     幕末の発見当時、墳丘が崩れて石室への扉が見つかった経緯、古墳各部の寸法のほか、槍先、やじり、鏡のようなもの、刀といった副葬品、それに「骸骨三人分」を確認したことなど具体的に記している。藩は元通りに埋め戻し、見物人が出入りしない方法を考えるよう指示していた。

     井寺古墳は、直線と弧線を組み合わせた文様や同心円文などが内部に描かれた5世紀末~6世紀頃の装飾古墳。熊本地震では墳丘に亀裂が生じ、石室も一部崩れた。現在、復旧に向けた調査が進んでいる。

     三沢准教授は「熊本地震で被災した古墳の新情報が、地震を契機に見つかった民間の史料で判明したことは意義深い」とし、嘉島町教委の橋口剛士技師は「盗掘で失われた重要な情報を補完する発見。整備する際に大きな根拠となる」と評価している。

     15日午後2時から県立美術館で有馬家文書に関する講演会が開かれる。無料。

    2018年12月13日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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