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    伝統・習俗

     

    「世界遺産島の力に」鹿児島の関係者ら登録に喜び

    • 登録が決まり、くす玉を割って喜ぶ十島村職員ら
      登録が決まり、くす玉を割って喜ぶ十島村職員ら

     8県10行事からなる「来訪神 仮面・仮装の神々」が国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されることが決まった29日、鹿児島県内でも関係者らが喜びに沸いた。

    ◆「悪石島のボゼ」「薩摩硫黄島のメンドン」「甑島のトシドン」

     「悪石島のボゼ」が姿を見せる十島村の肥後正司村長は「世界から『文化遺産』という冠をもらったことは、今後の村の力になる」と満足そうな表情。「薩摩硫黄島のメンドン」が現れる三島村の岩切平治副村長は「約400年にわたり伝統行事を継承してこられたのは、島民の努力のたまもの」と涙ぐんだ。

     「甑島こしきじまのトシドン」は2009年、単独で無形文化遺産に登録されている。薩摩川内市の岩切秀雄市長は「行事が今後も変わらずに継承していけるよう、市としても引き続き支援していく」との談話を出した。

    ◆笑顔絶えない厄払い、メンドン担い手増の契機に

    • 祭りの最後、厄を海に追い出すメンドンら(9月11日撮影)
      祭りの最後、厄を海に追い出すメンドンら(9月11日撮影)

     勇壮な太鼓踊りの最中、真っ赤な顔の仮面神が次々と走り出てくる。大きな渦巻き模様の耳、まゆのような白い目玉。みのをまとい、島民や見物客を片っ端から木の枝でたたいて回った。

     9月に三島村の硫黄島(約100人)を訪ね、「薩摩硫黄島のメンドン」が現れる「八朔はっさく太鼓踊り」を2日間、取材した。硫黄岳(704メートル)の白い噴煙と、鉄分で赤茶色に濁った海に、かつては硫黄や珪石けいせきの採掘で栄えた火山の島であることを実感する。

     初日の10日夕、太陽が山の端に隠れると、神社前の広場で10人ほどの男衆が太鼓踊りを始めた。境内から現れるメンドンも約10体。やはり島の男衆がふんするが、名前を呼んだり、反撃したりするのはご法度だ。

     「ザザッ」。カメラを構えていると、枝で背中をはたかれた。振り向くと、手作りのお面をかぶった子どものメンドンだ。子メンドンも約10体が出没し、人々をたたいて厄を払う。

     11日は雨となり、祭りは夕方から体育館で行われた。辺りが真っ暗になった頃、メンドンと踊り手が浜に出る。海に向かって太鼓を打ち鳴らし、2日間で払った厄を海に追い出した。

     どこか滑稽で、笑顔の絶えない島の祭りだったが、教員ら移住者や山村留学生にも加わってもらい、何とか成り立っているという。今回の登録を、観光客だけでなく、担い手も増やす契機としたい。

    2018年11月30日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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