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    昇格後の荒波に挑む 九州・山口・沖縄のJクラブ

    • 5季ぶりのJ1昇格を決めて喜ぶアビスパ福岡の選手たち(6日)
      5季ぶりのJ1昇格を決めて喜ぶアビスパ福岡の選手たち(6日)

     サッカー・Jリーグは、九州・山口・沖縄勢にとって激動の一年だった。J2のアビスパ福岡とJ3のレノファ山口が昇格を決めた一方で、J2の大分トリニータがJ1経験があるクラブとしては初めてJ3降格となった。昇格したクラブは、来季の収益増を見込み、どこまで戦力補強できるかも課題だ。

    ◆アビスパ営業強化で収益増

     「今のままではボコボコにされる」。5季ぶりにJ1へ復帰する福岡の井原正巳監督(48)は、J1で戦う厳しさを選手やコーチ時代に肌で知るだけに、危機感をあらわにする。

     経営難に伴ってチーム力が低下した福岡だったが、ようやくトンネルを抜けた。昨年9月、不動産管理賃貸会社「アパマンショップホールディングス」傘下のIT関連企業に筆頭株主が代わり、今年3月には、川森敬史社長(50)が就任。営業担当者を増やして体制を強化し、今季のスポンサーは昨季の5倍以上となる目標の1000社を超えた。

     地元企業の代表者らによる応援組織「アビスパ・グローバル・アソシエイツ」の会員も2万人を上回り、リーグ戦の平均入場者数は昨季の5062人から8692人に増加。伸び率ではJクラブでトップ(J参入1年目の山口を除く)だった。

    ◆上位とは依然格差

     その結果、川森社長は今年度の営業収益を前年度から5億円以上多い約15億円と予想。チーム人件費以外の運営経費は大きく変わらないため、人件費は前年度の4億1700万円から大幅に増える見込みだ。ただ、2014年度決算でJ1クラブの営業収益を見ると、平均で約33億円。最多は浦和レッズの約59億円で、サガン鳥栖は約19億円。人件費は平均約15億円で、浦和や柏レイソル、名古屋グランパスは20億円を超えており、福岡とは大きな差がある。

     現時点で福岡は、チームの戦力と、それを支える経営基盤もJ1で最下層。井原監督の「戦力の上積みが必要」という願いに応えるためには、一層の経営努力が欠かせない。川森社長は来年度の営業収益について、「いきなり20、30億に手が届くとは思わない。スポンサーから今年以上に理解をもらえるように動く」と力を込める。

    ◆レノファ補強の人件費悩み

     J3を制してJ2に昇格する山口も、上のステージで十分に戦える補強を目指す。上野展裕監督(50)は「チームの要となる縦の中心ラインを強化したい」と、補強ポイントにセンターバックやセンターフォワードを挙げる。

     今季の選手数は26人で、プロとアマチュアはほぼ半数。Jリーグの規約でプロ契約選手が3人いれば良かったJ3と比べ、J2はどのクラブもほぼプロ選手で固める。J2では、放映権料などの分配金約1億円が新たに入ることもあり、クラブは来年度の人件費を今年度の2倍にあたる約1億円まで増やし、新選手獲得などを図りたい考えだ。

     ただ、圧倒的な攻撃力で昇格を果たしたチームのベースを残すため、クラブ側は「アマチュア選手とのプロ契約を進める」という方針で、既存の選手との契約だけで大きな支出になる。そのため、J2昇格に伴う収入増でも、新戦力の補強に使える金額は、そう多くないとみられる。

    ◆J1九州ダービー期待

     来季の九州・山口・沖縄のJクラブは、鹿児島ユナイテッドが日本フットボールリーグ(JFL)からJ3に上がり、計9となる。

     2月27日に開幕するJ1では、鳥栖と福岡が戦い、2013年以来の「九州ダービー」が実現。山口が加わる2月28日開幕のJ2には、V・ファーレン長崎、ギラヴァンツ北九州、ロアッソ熊本。北九州は17年春にJ1規格の本拠地スタジアムが完成予定で、J1への挑戦権を初めて得る見込み。

     J3は3月13日に開幕を迎え、大分がJ2復帰を目指すが、ガンバ大阪などのU―23(23歳以下)も新規参入し、タフな戦いが求められる。

    ◆宮崎のクラブJFL狙う

     一方、Jクラブのない宮崎県。JFLのホンダロックは、Jリーグ入りを目標にしておらず、昨年3月発足の「J・FC MIYAZAKI」と約1年前に誕生した「テゲバジャーロ宮崎」がJFLより下の九州リーグに所属し、将来のJ参入を目指している。

     県サッカー協会の長倉春義事務局長(68)は「県内でキャンプを行うJクラブが多いのに、なぜチームがないのかとの声を数多く聞いてきた」と言う。MIYAZAKIの笛真人監督(42)は「少しずつ前進している。来季はJFL昇格のために結果にこだわりたい」と語る。

    2015年12月22日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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