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    幻の「ポポー」名産へ意欲、甘く濃厚スイーツ向き…延岡の生産者と料理人連携

    • ポポーを生産する甲斐佐一郎さん(左)と満理江さん夫妻
      ポポーを生産する甲斐佐一郎さん(左)と満理江さん夫妻
    • ポポーの果実
      ポポーの果実

     幻の果物と呼ばれる北米原産「ポポー」(バンレイシ科)を宮崎県延岡市の名産品にしようと、生産者と料理人が取り組んでいる。「幻」なだけあって、これまで存在を知らなかった。ポポーを使った料理の「ミニコース試食会」が開かれると聞き、市内の飲食店を訪ねてみた。

    • ポポーを使ったデザート盛り合わせ
      ポポーを使ったデザート盛り合わせ

     店は延岡市出北2にある「ステーキ&レストランあらすか」。9月11日、店内の一角に、薄い緑色でアケビのような長円形の果実が並べられていた。

     黄色っぽい果肉は、ねっとりとしていて、甘い香りが強い。そのまま食べてみると、バナナやマンゴーを思わせる濃厚な甘さが口の中に広がった。

     このポポーを生産しているのは、同市北方町でミカンや梨を手がける「マリちゃん農園」を経営する甲斐佐一郎さん(79)と妻の満理江さん(76)。約10年前、ミカン畑の跡地10アールに「珍しい果物を育てよう」とポポーを選び、苗木40本を植えた。

     台風で倒れるなどして現在は約30本が残っている。実を付けるまで8年かかり、2年前の夏から出荷を開始。今年は8月中旬から約1か月、約200~600グラムの果実計100キロ近くを収穫し、地元の道の駅などで販売した。

     「花は咲いても実はなかなか付かなかったが、大切に育て上げた」と甲斐さん。満理江さんは「今では出荷を待っている客もおり、うれしい」と笑顔を見せた。

              ◇

     「収穫期が短く、果実は冷蔵しても収穫から1週間ほどしかもたない。そのため、国内ではあまり流通していなかった」。同店のオーナーシェフの重黒木勉さん(54)=写真=が「幻」の理由を教えてくれた。

     試食会は昨年に続いて2回目。今年は80人が訪れた。ポポーを使ったドレッシングのサラダと冷製スープ、牛ほほ肉カレーなど様々な料理が並べられた。

     中でも、ポポーの甘味を生かしたチーズケーキや生キャラメルなどデザートが好評。「ポポーは『森のカスタード』『森のプリン』とも呼ばれる。糖度が高く、スイーツ系にはもってこい」。重黒木さんは自信をみせた。

     「延岡の名産づくりに」と、重黒木さんもポポーに着目していた。自宅に木を植え、今年は40個近くが実った。5年ほど前から、兼業農家や公務員ら仲間とともに市内で計300本を育てている。

     昨年夏、ポポーを先に育てていた甲斐さん夫妻を訪ね、果実を仕入れて試食会を始めた。重黒木さんは「市内で実がたくさん収穫できれば食品加工・流通販売まで展開する6次産業化を考えたい」。甲斐さんは「『延岡と言えばポポー』と言われるように頑張りたい」と意欲をみせた。

     生産者と料理人の連携が近い将来、「延岡名産」として実ることに期待したい。

    2018年10月08日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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