文字サイズ

    トレンド

    ガラスの砂浜、大村湾の水質改善

    • カラフルに輝くガラス片でできた砂浜
      カラフルに輝くガラス片でできた砂浜

     「宝石の国」「まさにインスタ映え」――。細かく砕いたガラスをまいた長崎県大村市の美しい砂浜が、インターネット上で話題を集めている。実はこれ、大村湾の水質改善に向けて、植物プランクトンを食べるアサリを育てるために敷かれた人工砂だ。事業を進める県は思わぬ反響に驚きながら、「海が浄化され、多くの人に親しんでもらえるよう取り組んでいきたい」としている。

     同市森園町の公園近くに位置し、大村湾に面した砂浜。透明や青、緑、茶色などの小さなガラスの粒に、太陽の光がキラキラと反射する。県内の一般家庭から出された空き瓶などを砕いたもので、平均1ミリ前後。角は取れていて、触っても切れたり刺さったりすることはない。

     大村湾の水質は悪化しており、1976~2008年の化学的酸素要求量(COD)は1リットル当たり3・4~2・1ミリ・グラムで、国の環境基準(2ミリ・グラム)を超えた状態が続いている。植物プランクトンの大量発生による赤潮や貧酸素が課題となっている。

     県環境保健研究センター(大村市)の粕谷智之専門研究員は「大村湾の状態を人間で例えると、栄養過多でメタボリックな状態」と説明する。改善策として着目したのが、植物プランクトンを餌とするアサリなどの二枚貝。アサリを増やせば、過剰な栄養を回収できる。

     センターの研究で、同市周辺の海域にはアサリの幼生が集まりやすく、1~2ミリ程度の人工砂を敷くと着底しやすいことが分かった。12年には、実験用プラントを大村湾につながる水路に設置。翌年には5ミリ前後のアサリが1平方メートル当たり263個採取された。

     この結果を受け、県は16年、約6500万円をかけて、約1ヘクタールの砂浜に約3000立方メートルのガラスを砕いた人工砂をまいた。その後、1平方メートル当たり約200個のアサリが確認された。

     県は今後も長期的に調査を続ける方針で、地域環境課の担当者は「いつかアサリが増えて水質が良くなる日まで、人工砂やアサリを取らずに見守ってほしい」と呼びかけている。

    2018年06月03日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    よみうりSPACEラボ