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    山で婚活移住に期待、南阿蘇村企画希望者が殺到

    • 「参加者の背中を押す役割を心がけている」と話す婚活コーディネーターの荒木さん
      「参加者の背中を押す役割を心がけている」と話す婚活コーディネーターの荒木さん

     地域の特色を生かした婚活イベントを開き、若い世代の移住につなげようという動きが広がっている。熊本県南阿蘇村で4年前に始まった「山コン」は大自然の中で秋の登山を楽しむ趣向が好評で、これまで7組が結婚や婚約に至り、移住を検討するカップルもいる。今年は初の春開催も検討。熊本地震で人口減が加速した村は「山コンをきっかけにした移住者が出てくれば、活気も戻ってくる」と期待する。

     南阿蘇村の人口は昨年末現在、1万614人。3村が合併した翌年の2006年3月末から約1600人減り、その6割以上は16年4月の熊本地震以降に減少した。山コンは、村などが15年から毎年、祝日の11月3日に開催。事務局を務める村産業観光課主幹の工藤真寿さん(45)は「将来的な移住を期待し、村外の人にも門戸を開いた」と狙いを語る。

     定員は男女各40人で、初回から希望者が殺到。倍率は2・7~6・1倍に上る。毎回10~19組のカップルが成立し、これまで計61組が交際を始めた。

     昨年11月の山コンでは、初心者向けの登山コースがある阿蘇山南側の「倶利伽羅くりから谷」を約1時間歩いた。男女1列で順番を入れ替えながら、異性全員と話す機会を設け、沢で男性が女性に手を差し伸べる場面も演出。この日も16組のカップルが成立した。

     人気を支えるのが、「婚活コーディネーター」として同行する熊本市在住のタレント、荒木直美さん(50)。「選ぶよりも選ばれることが大切」と心構えを説き、異性を引きつける笑顔の作り方などを伝授する。毎年10組以上のカップルが成立する理由について、「豊かな自然の中で心が解放されるのではないか」と分析する。

     今年は春開催も検討しており、工藤さんは「村の良さを知ってもらうことが第一歩。多くの人が参加できる機会を設けていきたい」と意気込んでいる。

    ◆「効果」全国の自治体で様々

     「婚活イベント」の効果には、全国の自治体が注目する。

     2010年の国勢調査で30歳代後半男性の未婚率が3割を超えた島根県出雲市は14年から、縁結びで知られる出雲大社を巡るツアーを企画。地元の男性と結婚して、女性が移住したケースも生まれた。市縁結び定住課は「市の魅力発信とともに、今後も続けたい」と話す。

     滋賀県彦根市は周辺自治体と連携し、17年度から伝統工芸の体験や名所の夜景を楽しんでもらう企画を始めた。鹿児島県曽於そお市では廃校を活用して“給食”を一緒に食べる。8回目となった昨年12月16日は8組のカップルが誕生した。

     一方、岩手県奥州市は8年間続けてきたイベントへの補助金を14年度で廃止した。市は「結婚や定住の報告が任意だったため、効果をはかれなかった」として見直しを決めたという。

    2019年01月09日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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