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    西郷29歳書簡に繊細さ、藩士宛て丁寧な対応…福井で初公開

    • 西郷隆盛が福井藩士に送った書簡。最後に「西郷拝」と書かれている
      西郷隆盛が福井藩士に送った書簡。最後に「西郷拝」と書かれている

     29歳の西郷隆盛(1828~77年)が福井藩士に送った書簡が、福井県立歴史博物館(福井市)で開催中の特別展で初公開されている。これ以前に書かれた書簡は数少なく、研究者は「相手に心遣いする西郷の青年期の繊細な一面がうかがえる」としている。

     書簡は縦16センチ、横47センチ。西郷が薩摩藩主・島津斉彬なりあきらの特命を受け、対外的な機密交渉を担当していた頃の安政4年(1857年)うるう5月3日に書かれた。前日に薩摩で会った福井藩士・村田氏寿うじひさ(1821~99年)に宛てた。

     初対面でうち解けた話ができたと喜びつつも、「却而卒爾之至与奉存候、何卒御用捨可被下候」(かえって卒爾そつじの至りです。何とぞご容赦ください)とし、失言があったかもしれないことについて許しを求める言葉もつづっている。

     村田は福井藩主・松平春嶽の親書を渡そうと斉彬に面会を求めて薩摩を訪れていたため、書簡は近くその希望がかなえられそうだと伝えている。

     一方、西郷は同じ日に斉彬の側近にも書簡を送り、「村田をこれ以上待たせては斉彬の失態になるため、面会できるようにしてほしい」と依頼していることが他の文献などで分かっている。その数日後、面会が実現したとされる。

     書簡は別の福井藩士の子孫が所有し、歴史作家の桐野作人さくじんさん(64)が2010年にその存在を雑誌で発表。このほど、福井県立歴史博物館が複数の専門家に鑑定を依頼し、西郷のものと確認された。

     桐野さんは「書簡からは西郷の丁寧な対応が見てとれる。藩主同士の交流もあったことから、村田に十分なもてなしを行ったのではないだろうか」とみている。

     書簡が公開される特別展「幕末維新の激動と福井」は、11月4日まで。

    2018年10月04日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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