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「フランスのリモート教育」~ロックダウン後のパリノート(1)

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 ロックダウンは解除されたが、フランスの中高生の多くはまだ学校に戻ることが出来ずにいる。

 うちの息子は私立なので、夏休み明けまで休校が続くことになった。けれども、毎日授業は行われている。今日も朝の8時からテストがあり、その後、11時半までは通常通りのオンライン授業が行われる。午後も昼食後夕方まで授業が続く。学校はないが、先生たちが子供部屋までやって来るデリバリースクールといった印象である。

辻仁成のパリノート

 パリ在住の作家・ミュージシャン辻仁成さんが、新型コロナウイルスで都市封鎖が解除された直後のパリでの子育てや、暮らしの様子を伝えます。

 辻 仁成(Tsuji Hitonari)

 1959年、東京生まれ、パリ在住。作家。89年「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞。97年「海峡の光」で芥川賞、99年「白仏」のフランス語翻訳版「Le Bouddha blanc」で仏フェミナ賞・外国小説賞を日本人として初めて受賞。長男が小学5年生の頃から、シングルファーザーとしてパリで子育てを行う。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Webマガジン「Design Stories」主宰。

 フランスではもともと親と子供と学校とを結ぶネット環境が整備されていた。成績表などもこのネットで届けられる。フランス政府は早くから授業にパソコンの導入を進めてきた。裕福な家庭ばかりではないので公立の小学校などでは全校生徒にタブレットが付与されている。このネット環境を利用して、休校措置がとられた3月中旬から子供たちと先生は授業を続けてきた。

 ロックダウン当初は先生たちも慣れないシステムに四苦八苦されていた。フランスの子供たちが一気にネットを利用するせいで、回線がダウンし授業が中断したこともたびたびあった。けれども、ネット先進国だけあり、あっという間に、オンライン体制が整うことになる。

 YouTubeで育ってきた子供たちにこのオンライン授業のウケはいい。面白いのは体育の授業で、一日置きくらいにジャージに着替えた息子がリビングルームにマットを敷いて、筋トレやダンスなどをやっている。携帯の中にジャージ姿の先生が出現し、やはり自宅のリビングルームで身体を動かしながら指導している。

 YouTubeは一方通行だが、このオンラインシステムだと双方向でやり取りが可能となる。どういう仕組みになっているのかわからないけれど、生徒たちの声も飛び交い、孤独感はない。むしろ、校庭はないけど、子供たちは楽しそうにやっている。新型コロナのせいで大人たちは暗くなり、経済も停滞気味だが、ネット環境充実のおかげで子供たちには明るい連帯意識が芽生えてもいる。彼らがふさぎ込めば親であるぼくらも辛くなるところだが、むしろ、オンラインスクールのおかげで子供たちは楽しそうだ。

 早くからネット環境の整備に注力をしてきたフランス教育現場のちょっとした成果かもしれない。先生たちも意外に楽しそうで、学校では評判の良くなかった先生がネットで開眼し、ユーチューバーみたいに人気を集めたりしている。ロックダウン直後にうちの息子の学校の先生が作ったミュージックビデオには愛があふれていた。新しい時代は教育現場からすでに始まっている。

「辻仁成のパリノート」一覧はこちら

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1230098 0 ライフ 2020/05/20 16:00:39 2020/06/03 11:11:53 2020/06/03 11:11:53 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/05/paris5.jpg?type=thumbnail

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