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保育園 入園選考で在宅ワーカーの不利解消へ動き…「働きながら世話は大変」コロナ禍で認識広がり

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 新型コロナウイルスで在宅ワークが広がり、認可保育施設の入園選考の基準となる点数を変える自治体が増えてきた。自宅で働く自営業者らは「子どもの世話もできる」という理由で、会社員より点数が低かったが、引き上げて同点にすることで入園しやすくしている。(遠藤富美子)

 「子どもの世話をしながら働くなんて無理」――。神奈川県の自宅で仕事をするフリーライターの女性(38)は話す。4年前に長女(当時1歳)を認可保育園に預けようとしたが、地元自治体の選考基準では、自宅で仕事をする自営業者らの点数は、出勤して自宅外で働く会社員らより大幅に低いと判明。周りから「保活は1点を争うものなので入園は厳しい」と言われ、申し込みを見送った。

 世話を始めると、仕事中でも散歩に連れていかないといけなかったり、仕事が忙しい時は投稿サイトの動画ばかり見せたり。やっと2020年に認定こども園に入れることができたが、「心身ともに大変だった」と振り返った。

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 認可保育施設の入園申込者が多いと、自治体は保護者の就労時間などを点数化し、点数が高い世帯から優先的に入園させる。自宅で働く自営業者らについては「仕事をしながら子どもの世話もできる」と判断して、会社員らより点数を低くしている自治体が多かった。このため、国は17年、自治体に対して、働く場所によって一律に点数に差をつけないように通知した。

 新型コロナの感染拡大で、在宅ワークをしながら子どもを世話することになった会社員から「大変だ」という声が上がり、自宅で働きながら子どもの世話をするのは難しいという認識が一気に社会に広がった。

 日本労働組合総連合会(連合)の20年のアンケートでも、小学生以下の子どもと同居する親約240人のうち80・9%が「子どもが家にいる時のテレワークが難しかった」と回答。その理由を複数回答で尋ねると、「身の回りの世話が必要」と「遊び相手にならないといけない」がいずれも57・6%だった。

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 読売新聞は2~3月、政令市や東京23区など計106自治体に、4月からの保育施設の利用申込者数などのアンケートを行い、95自治体から有効回答を得た。差を設けていないのは54自治体だった。

 東京都三鷹市や熊本市など6自治体は、4月の入園選考から、自宅で働く自営業者らの点数を会社員らと同じ点数に引き上げたり、同点の場合は自宅外で働く人を優先させることをやめたりと、差をなくすことで、自宅で働く人が以前よりも入園しやすくした、と回答した。

 東京都千代田区の従来の基準では、自宅外で「週5日以上、1日8時間以上」働く人は最も高くて10点。自宅で働く人は最高でも9点どまりだったが、今年4月入園からは10点に引き上げて点差をなくした。担当者は「家で仕事をする場合でも、子どもの世話をしやすいわけではないとわかったため」と話している。

 「会社員の在宅ワークが増えるなど、働き方の実態把握が難しくなった」として、差をなくしたのは東京都目黒区。働く場所で差をつける意味がなくなったと判断した。

 29自治体は「差がある」と回答した。うち、横浜市は差をなくすことを含めて検討中。東京都足立区も差について検討する方針など、点差をなくす傾向は強まりそうだ。

 自営業者らで作る一般社団法人「プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」(東京)の平田麻莉代表理事は、「男女とも働きやすい社会のためには保育園を利用できることが不可欠だ。働く場所や働き方によって利用しやすさに差をつけないでほしい」と訴えている。

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1949501 1 ライフ 2021/03/31 05:00:00 2021/03/31 05:00:00 2021/03/31 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210330-OYT8I50095-T.jpg?type=thumbnail

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