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[安心の設計]発達障害の特性 IT業界で輝く

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 IT(情報技術)分野で、発達障害を抱える人の活躍の場が広がりつつある。他人とのコミュニケーションが苦手といった困難があっても、専門性の高い仕事に向いているケースも多いためだ。能力を発揮するためには、周囲の理解と、得意なことを伸ばすチャンスを与えられることが重要だ。(村上藍)

繰り返し点検、長時間集中 人とのやり取り苦手だけど…

仲間とともに、生き生きと仕事をする及川さん(左、提供写真)
仲間とともに、生き生きと仕事をする及川さん(左、提供写真)
「ITを生かした仕事をしたい」と、ニューロダイブで学ぶ男性(提供写真)
「ITを生かした仕事をしたい」と、ニューロダイブで学ぶ男性(提供写真)

 「今の仕事は天職。できることとやりたいことが一致していて、褒められるとやる気にもつながります」。IT大手の特例子会社で、ゲームやITソフトの品質テストなどを担う「デジタルハーツプラス」で働く仙台市の及川諒さん(26)は、笑顔でこう話す。

 及川さんは、発達障害の一つで、自閉スペクトラム症(ASD)の診断を受けている。人とのコミュニケーションが得意ではなく、特に電話やメールでのやり取りは苦手だ。上司らとの会話では、ゆっくり、繰り返し話を聞いてもらうことで、安心して働ける。

 一方、継続して物事に取り組むことは得意だ。職場ではゲームなどを同僚と繰り返し点検して欠陥を探す。長時間集中できる特性を発揮し、不具合を多く見つける。及川さんは「今の仕事をずっと続けたい。ITに関われる職場があって良かった」と満足げだ。

 デジタルハーツプラスでは、雇用する約30人のほとんどが精神障害や発達障害を抱える。徹底的に突き詰めたり、こだわったりする障害の特性を生かし、重要な戦力となっている。ただ、工程の管理が苦手で、真面目で働き過ぎることもあるため、その点は上司が注意を払う。

 また「項目に沿って点検をすることが得意」「自由に操作して点検することが得意」などと、発達障害の種類によって得意分野が異なる。苦手な仕事も担当するが、それぞれに合わせた仕事を割り当てるよう意識している。

 畑田康二郎社長(42)は「一人一人が違うことは当たり前なので、誰もが活躍できる職場を作っていきたい」と話す。

人材育成も

 能力の高い発達障害の人らを、人手不足が深刻なIT人材として育て、就職につなげる施設もある。

 パーソルチャレンジが運営するIT特化型就労移行支援事業所「Neuro Dive(ニューロダイブ)」では、発達障害を抱える人らが最長2年間、機械学習やデータ解析などの先端ITを学ぶ。

 自らの障害と向き合い、仕事をする際の知識の習得や訓練もする。就職時は企業で1か月ほどの就業実習を行い、実務面を判断した上で受け入れ態勢を整えてもらう。

 ニューロダイブを利用する千葉市の男性(28)は国立大に進んだが、ほかの学生との議論ができず、ASDだと分かった。ITの知識を身に付け、クリエイティブな仕事をしたいと、通い始めた。

 男性は障害の特性で言語能力は高いものの、議論中に議題が分からなくなることがある。特性の強みは、ほかの人が作ったプログラムをよく読み取れ、集中して作業できることだ。「身に付けた技術を生かして、特性に合った職場を探したい」と意気込む。

 プラント大手の日揮ホールディングスの業務改善をITで支援する「日揮パラレルテクノロジーズ」は、発達障害のあるIT人材を採用した実績がある。成川潤社長(33)は「得意な業務であれば、才能を生かせる人がいるという可能性を感じた。多様な職域で専門的に採用する企業が増えるといい」と話す。

◆発達障害 =生まれつきの脳の機能障害が原因とされる。自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などがある。人によって症状や程度が異なり、複数のタイプを併発することもある。

診断 職場に伝えることに抵抗感

 厚生労働省の2017年の患者調査を基にした推計では、発達障害を抱える人は約23万人。14年から2割ほど増えるなど、発達障害の認知度が高まったことで増加傾向にあるとされる。

 発達障害への理解や支援があると働きやすいが、診断を受けない人や診断結果を伝えない人も多い。野村総合研究所の調査では一般雇用で就職した人の4割が職場の誰にも発達障害を伝えておらず、半数が伝えることに抵抗感があった。

 厚労省は、ハローワークに発達障害者専門の相談員を配置し、就職や職場定着を継続的に支える体制を敷く。今年度からは、発達障害の傾向のある学生への支援も始めた。野村総合研究所の高田篤史主任コンサルタントは「発達障害の特性は、専門性のある仕事の強みになることがある。少子高齢化が進む中、上司が潜在能力のある人を生かすマネジメント力を持つことが必要だ」と指摘する。

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