「人間に思いつかない美しさ」チョウの羽の形や模様、色紙で再現すると子供たち大喜び

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 大きな羽を広げて休むアゲハチョウや、細長い触角を伸ばすスズムシ。「脚や触角に角度をつけてあげるだけで、生き生きとしてくるでしょう」。大津市の自然写真家、今森光彦さん(67)は目を細める。紙の昆虫作りは、小学生時代からの楽しみだ。「なぜ、これほど虫に魅了されるのかうまく説明できない。たぶん、虫好きの子供たちも同じことを言うんじゃないかな」(紙WAZA編集長 木田滋夫)

「いつまでも見飽きない」直径5ミリの顔…懐かしい黄色いハサミが生み出す魔法の人形

昔も今も昆虫少年

 

子供のころ特に好きだったチョウ
子供のころ特に好きだったチョウ

 20年ほど前の冬、親子でクリスマスの飾り付けをするとき、色紙を切り抜いてチョウを作った。3人の幼い子供たちは、手品でも見るように「すごい、すごい」と大喜びだ。虫の切り紙は少年時代に熱中した遊びで、すっかり遠ざかっていたが、手が覚えていた。

 小学生の頃、今森さんの遊び場は田畑や雑木林だった。そんな里山に生きる昆虫の中で、特に魅せられたのがチョウだ。「種類によって、羽の形も飛び方も違う。色の組み合わせや模様の美しさは、とても人間には思いつきません」

 その魅力を家族や友達に知ってもらおうと始めたのが切り紙だ。チョウを捕まえてはじっくり観察し、チラシに下絵を描いてハサミで切り抜く。「誰かにあげて『上手だね』と言ってもらえるのがうれしくて、毎日のように作ったね」。国内のチョウを網羅した図鑑を買ってもらい、片っ端から切り紙で再現するほど熱を上げたが、やがて青年になり、カメラを覚えると、自然の魅力を伝える手段は写真に移った。

切り紙の絵本を出版

アトリエで切り紙を作る今森光彦さん
アトリエで切り紙を作る今森光彦さん

 再び虫の切り紙を作るようになったのは、あのクリスマスがきっかけだ。「虫の写真には見向きもしなかった子供たちが喜ぶのを見て、楽しさを思い出したんです」。ある時、打ち合わせで自宅を訪れた編集者が机に置かれた作品に気づいた。「これ、面白いですね。絵本にしませんか」

 思いがけないきっかけで虫の切り紙の絵本を出版したところ、評判が良く、工芸作家としても活動を開始。動植物を題材にした精巧な作品を制作し、展覧会で発表するほか、子供たちを集めて里山で遊ばせたり、切り紙を教えたりする「昆虫教室」も始めた。

 虫の切り紙はハサミと紙、鉛筆があればできる。まず、画用紙ほどの厚さの紙を用意し、半分に折る。次に、開いた時に左右対称になるように虫を描く。下絵を切り取って開き、触角や脚に角度をつければ完成だ。

下絵を切り抜いたあとの紙も、額に収めれば美しい作品になる
下絵を切り抜いたあとの紙も、額に収めれば美しい作品になる

 今森さんは何も見ずに下絵を描くが、自信がなければ図鑑を見ながら描くと良い。作品を部屋に置けば季節感のある飾りになり、台紙に貼れば絵はがきになる。「虫が苦手という人も、虫の切り紙は楽しんでくれます。虫の美しさを感じられるからでしょうか」

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