LGBTQ・ADHD、「あなたのままで」…薬師実芳さんの就活支援

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精神・発達障害がある性的少数者の就職を支援するNPO法人代表 薬師 実芳さん 32

やくし・みか 1989年生まれ。早稲田大大学院修士課程修了。キャリアコンサルタントの国家資格を持つ。ReBitでは、4000人超のLGBTQらのキャリアを支援。学校や企業での授業や研修を約1300回実施した。共著に「LGBTってなんだろう?」など。
やくし・みか 1989年生まれ。早稲田大大学院修士課程修了。キャリアコンサルタントの国家資格を持つ。ReBitでは、4000人超のLGBTQらのキャリアを支援。学校や企業での授業や研修を約1300回実施した。共著に「LGBTってなんだろう?」など。

 精神障害や発達障害があるLGBTQ(性的少数者)らの就職を支援する就労移行支援事業所「ダイバーシティキャリアセンター」を昨年末、東京都渋谷区に開設しました。性的少数者に対する無理解から福祉サービスの利用に不安を抱えたり、ハラスメントを受けたりした人たちが、安心して支援を受けられるサービスを目指しています。

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 事業所では、講座や訓練で対話やビジネスのスキルを身につけ、就活から就職後の環境調整まで、多様な性に理解のある職員が伴走支援します。利用者からは「初めて呼ばれたい名前で呼ばれ、着たい服を着たいと言えた」「内定をもらえて、生きていてよかったと思えた」といった声も寄せられています。

 私は出生時の性が女性で、性自認が男性のトランスジェンダーで、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の特性も持つ「複合的マイノリティー」です。

 幼い頃は多様な性について正しい情報を得る機会がなく、高校時代には列車に飛び込もうとするほど思い詰めました。救われたのは、トランスジェンダーであることを初めて打ち明けた友人が、そのままでいいと受け入れてくれたからです。

 「子どもは産めるのか」と就職活動で聞かれ、就職先でも先輩から「性別はどちらなの?」と笑いのネタにされることもありました。

 誤字脱字がないようにメールや書類を作成することも苦手でした。細かいことに注意を払うことが苦手なADHDの特性だったのですが、「やる気がないからミスをする」「頑張らないと、今後、性的少数者は採用できない」と言われたことも重なって、自律神経失調症になって退職しました。

 こうした経験が、活動の原点にあります。

 事業所を運営するNPO法人「ReBit(リビット)」は、大学在学中の2009年につくった学生団体が前身です。団体名には「何度でも(Re)」「少しずつ(Bit)」社会が前進してほしいという願いを込めています。これまでに、多様な性について正しい情報を伝える学校や企業での研修、性的少数者のキャリア支援などに取り組んできました。

 性的少数者は、周囲の無理解や偏見から、うつ病などメンタルヘルスを悪化させやすいという調査もあります。活動を通じて伝えたいのは、「あなたはあなたのままで大丈夫」ということ。性的少数者と障害者福祉の懸け橋となり、全ての人が福祉サービスを安心して利用できるモデルを全国に発信していきたいです。(聞き手・田中文香)

 

  就労移行支援事業所  障害がある就労希望者に対し、ビジネスマナーや就労に必要な訓練といった求職に関する支援をする。就職後も、職場で働き続けられるように相談に応じる。障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの一つで、全国に約3000か所ある。

〈記事は紙面掲載の「わたしのビタミン」から〉

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