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    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    復活のシビック、完成度の高い操縦安定性がひかる(Vol.533)

    • 標準のハッチバック車でも、よりスポーツ仕様のタイプRを思わせるほど迫力のある外観
      標準のハッチバック車でも、よりスポーツ仕様のタイプRを思わせるほど迫力のある外観

     ホンダのシビックが、再び日本国内でも発売されることになった。シビックは、1972年に誕生し、以来、同社を象徴する小型車として歴史を積み上げてきた。だが、国内の4ドアセダン市場が縮小しているとして、9代目は国内販売されることはなかった(英国で生産されたタイプRのみ限定販売されたが)。

     今回試乗したのは、10代目となる4ドアセダンと4ドアハッチバックである。もはや小型車とはいえず、大柄な、全長4.52(ハッチバック)~4.65(セダン)メートル、ことに全幅は1.8メートルに及ぶ立派なサイズだ。

    • 試乗車には、メーカーオプションのレザーシートが装備されていた
      試乗車には、メーカーオプションのレザーシートが装備されていた
    • ハッチバックの荷室を外から見られないように隠すトノカバーは、横から覆いを引っ張り出す(一般的には、後席後ろから手前へ覆いを引き出す)独特の方式が採用されている
      ハッチバックの荷室を外から見られないように隠すトノカバーは、横から覆いを引っ張り出す(一般的には、後席後ろから手前へ覆いを引き出す)独特の方式が採用されている

    • 排気量1500ccの直噴ターボエンジンの出力は、182馬力(ハッチバック車。セダンは173馬力)。試乗車のトランスミッションは、マニュアルモード付きCVT
      排気量1500ccの直噴ターボエンジンの出力は、182馬力(ハッチバック車。セダンは173馬力)。試乗車のトランスミッションは、マニュアルモード付きCVT

     搭載されるエンジンは、排気量1500ccのターボチャージャー付きである。これに無段変速機(CVT)が組み合わされる。

     新開発されたプラットフォーム(車台)を土台とする車体は、駐車場の敷地内で動かしただけでもがっしりとした骨格の頑丈さを伝えてきて、頼りがいのあるクルマと思わせた。いい走りをしそうだという予感も覚えさせる。

     実際に運転をして、まず感じるのはしっかりとした手応えで、アクセルやブレーキ、ハンドルの操作に対して的確に応答し、走る。乗り心地はやや硬めだが、4ドアセダンはタイヤがそれほど扁平(へんぺい)でないため、ゆったりとした雰囲気を生み出している。ハッチバックは、タイヤが扁平で俊敏な乗り味を作っているが、サスペンションがうまく上下動し、乗り心地を悪化させるようなことはない。

    • フロントウィンドーの支柱(ピラー)は、前型に比べ細く仕上げたとのことだが、右斜め前方がやや見にくかった
      フロントウィンドーの支柱(ピラー)は、前型に比べ細く仕上げたとのことだが、右斜め前方がやや見にくかった
    • 4ドアセダンは、まるでクーペのような外観デザインとなっている。これで、荷室はトランク方式で客室とは隔離されている
      4ドアセダンは、まるでクーペのような外観デザインとなっている。これで、荷室はトランク方式で客室とは隔離されている

    • 後席は、足元や頭上ともにゆとりが確保されている
      後席は、足元や頭上ともにゆとりが確保されている

     このところのホンダ車は、俊敏さを出したいあまり、ハンドル操作に対して敏感すぎる傾向があり、かえって真っすぐ走るときにも落ち着かない仕上がりになっている。だが、新型シビックは、落ち着いて真っすぐ走るという基本がしっかり作り込まれている。そのうえで、ハンドル操作に合わせて的確に曲がっていく出来栄えだ。ホンダの操縦安定性の作り込みが、新型シビックから変わってきたと思わせる。高速域で安定して走らせる正統な操縦安定性を身に付けつつあるようだ。

     一方、排気量を1500ccと小さく抑えながら、ターボチャージャーによって出力を補うダウンサイジングターボエンジンは、先にミニバンのステップワゴンで採用されたものを、新型シビック用にアレンジしているとのことだ。ステップワゴンで試乗した時に比べ、アクセルペダルの踏みはじめにやや物足りなさを覚えた。ミニバンより軽いセダン、ハッチバックという違いにより、高回転で伸びやかな加速感をもたらすため、低回転でのトルクがやや不足しているようだ。ターボエンジンとはいえ、トランスミッションにCVTを使っているためか、出足で回転数を上げすぎない制御がされているのかもしれない。

    • 中央に2本出しの排気管など、後ろ姿もスポーティーさを強調したハッチバック車
      中央に2本出しの排気管など、後ろ姿もスポーティーさを強調したハッチバック車

     6速マニュアルトランスミッションの車種の設定もハッチバックにはある。ただし今回は、その車種の試乗はできなかった。

     歴史的にホンダの中核をなしてきたシビックが、完成度の高い操縦安定性と乗り心地を両立してきたことに好感が持てた。今後開発されるホンダ車が、この新型シビックを基に作り込まれていくことに期待したい。それほど、走りの成長を感じさせた新型シビックであった。

    2017年12月19日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
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