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    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    たくましさと格好よさのSUV 三菱自エクリプス クロス(Vol. 542)

    • 後ろ姿はクーペのようなデザインだが、室内の後席も頭上に十分なゆとりが確保されている
      後ろ姿はクーペのようなデザインだが、室内の後席も頭上に十分なゆとりが確保されている

     「エクリプス クロス」は、三菱自動車のスポーツ用多目的車(SUV)である。同社のSUVでは、「RVR」と「アウトランダー」の中間に位置する大きさで、クーペスタイルと融合した新型コンパクトSUVだ。2017年から欧州で発売が開始され、その後、豪州やニュージーランド、アジア、北米で順次販売されたあと、いよいよ日本市場への導入となった。

     アウトランダーをベースにしているので、それなりに大きなクルマかと事前に思っていた。実際、車体の幅はアウトランダーと5ミリしか違わない。だが、全長は約30センチ短く、かつ車体後部のデザインにクーペのような流れるスタイルを採用しているため、実車を見ると身近で手ごろなクルマだと感じた。

     三菱自の広報によれば、「とにかく格好が良い、スタイル優先で商品企画が始まっている」とのこと。それでいながら、クーペのように見えるデザインも、見せ方の工夫が盛り込まれ、実際には天井がそれほど低くなっていない。このため、後席頭上にも十分なゆとりがあって、居住性は前後席ともによい。スタイル優先とはいえ、格好だけのコンパクトSUVではない。

     運転してみると、アウトランダーより車体が小柄である分、走りは軽快だ。車両重量も1.5トン前後とそれほど重くないので、身軽さはその軽さゆえということもあるだろう。かつ、オーバーハング(前後のタイヤにはさまれた中央部分を除いた車体の両先端部分)もアウトランダーに比べて短いので、ハンドルを切ったときの素直な応答につながっている。

    • 三菱初のダウンサイジングガソリンターボエンジンの排気量は1500cc。小さくても、元気な加速をもたらす
      三菱初のダウンサイジングガソリンターボエンジンの排気量は1500cc。小さくても、元気な加速をもたらす
    • 注文装備の本革シートにはオレンジ色のステッチが施され、カジュアルな雰囲気をもたらしている
      注文装備の本革シートにはオレンジ色のステッチが施され、カジュアルな雰囲気をもたらしている

     新型エンジンは、排気量1500ccの直列4気筒で、ターボチャージャーで過給し、出力を上げている。排気量を小型にし、ターボで動力性能を確保するダウンサイジングエンジンというタイプで、三菱自としては初採用となる。アクセルペダルの踏み込みはじめに、やや唐突な加速の強さを当初感じたが、慣れればそれほどの違和感はなく、車体の身軽さとともに軽快な運転感覚を楽しむことができた。それでも、その出足の加速が気になるなら、ECOモードを選ぶと、出だしが穏やかになる。

     近年人気を高めているコンパクトSUVは、遠出だけでなく、日常的な移動の足としての利便性も期待される車種である。エクリプス クロスは、そうした運転に対しても、操縦安定性や乗り心地に優れ、同乗者にも快適なクルマに仕上がっていた。走行中の乗り心地が実によく、家族や友人と出掛ける際にも喜ばれるのではないかと思う。

    • 今回の試乗で印象的なのが、後席の乗り心地だった。座席の体の支えもよく、快適な移動を実現する
      今回の試乗で印象的なのが、後席の乗り心地だった。座席の体の支えもよく、快適な移動を実現する
    • アウトランダーに比べ高さの余裕は若干減るが、十分と思える荷室容量があり、床下に小物入れもある
      アウトランダーに比べ高さの余裕は若干減るが、十分と思える荷室容量があり、床下に小物入れもある

     同時にまた、三菱自を代表する四輪駆動車(4WD)のパジェロで鍛えられた悪路走破性についても、このクルマは同じような能力を備えているとの説明だ。急坂での登坂性能も、アウトランダー同様に満たしているという。

    • 視界がよく、操作もしやすい運転席
      視界がよく、操作もしやすい運転席
    • 試乗車のG Plus Packageには、タッチパッドコントローラーを標準装備するなど、コネクティビティーを充実させたこともエクリプス クロスの特徴
      試乗車のG Plus Packageには、タッチパッドコントローラーを標準装備するなど、コネクティビティーを充実させたこともエクリプス クロスの特徴

    • 試乗をしたのは最上級グレードの4WDで、想像したより運転のしやすさを実感した
      試乗をしたのは最上級グレードの4WDで、想像したより運転のしやすさを実感した

     世界有数の過酷なアドベンチャーラリーであるパリ-ダカール・ラリーに出場し、2002年と03年に優勝した増岡浩は、三菱自のクルマについて「気候変動が起こっているいま、万一の時にも自分のクルマで家に帰れるのが三菱車」だと語ったことがある。新登場のエクリプス クロスは、そんなたくましさと、クーペのような格好よさを備え、乗って快適なコンパクトSUVであった。

    2018年05月08日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
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