ガソリン車、でもEV時代を予感させるクルマ ベンツS450(Vol. 544)

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ガソリンエンジン車として、これまで経験したことのないEVのような加速を体感させたS450
ガソリンエンジン車として、これまで経験したことのないEVのような加速を体感させたS450

 メルセデス・ベンツのSクラスに、新開発エンジン搭載車「S450」が追加された。これまでSクラスには、排気量3000ccのV型6気筒ガソリンターボエンジン搭載車「S400」があった。今回、これと同じ排気量3000ccながら、直列6気筒でターボチャージャーと電動スーパーチャージャーの二つの過給器を装備する新型ガソリンエンジンを搭載したのがS450である。

 さらに、ISG(モーター機能付き発電機)も装備し、これによりガソリンエンジンとしての出力に加えて、モーター駆動も追加される。その結果、4気筒に近い燃費性能と、8気筒に迫る動力性能を両立させている。将来的には、メルセデス・ベンツはV6エンジンを廃止する予定だという。

全長が長い直列6気筒でありながら、手前側のクルマ前端とエンジン間に十分な衝撃吸収空間を設け、衝突安全性能も万全だ
全長が長い直列6気筒でありながら、手前側のクルマ前端とエンジン間に十分な衝撃吸収空間を設け、衝突安全性能も万全だ

 試乗では、まず直列6気筒エンジンならではの振動の少ない滑らかな加速が予想された。かねてより、直列6気筒エンジンはシルキーシックスなどと称賛され、どの自動車メーカーにおいても加速の滑らかさが高級車や高性能車としてふさわしく、同じドイツのBMWや、イギリスのジャガー、あるいは日本の自動車メーカーも採用してきた。

 そのうえ、ISGと電動スーパーチャージャーも装備するため、発進から力強い加速をもたらす。従来の直列6気筒エンジン以上の魅力となっている。

運転支援機能のスイッチがハンドルのスポーク部に設定されるようになり、使い勝手が向上した
運転支援機能のスイッチがハンドルのスポーク部に設定されるようになり、使い勝手が向上した
メルセデス・ベンツの特徴的な座席調節スイッチは、視覚的にどれを動かせば何を調整できるかがわかる形状をしている
メルセデス・ベンツの特徴的な座席調節スイッチは、視覚的にどれを動かせば何を調整できるかがわかる形状をしている

 アイドリングストップの状態からのエンジン再始動は、ISGによって行われる。ISGは、エンジンとトランスミッションの間に組み込まれており、一般的なエンジン始動用のスターターモーターと異なり、キュルキュルという騒音もなくエンジンは始動する。アイドリングストップの静粛な状態からエンジンが始動しても、エンジン回転計を見ていなければ、いつエンジンが始動したか気づかないほどだ。

 走行はすべての速度域で直列6気筒エンジンの動力を使う。その間、モーター走行はないが、発進の時からISGが補助として働くため、モーター駆動力が発進の力強さをもたらす。さらに、エンジン回転数が低いうちは電動スーパーチャージャーも連動して機能するため、車両重量が2トンを超えるにもかかわらず、その重さをまったく意識させずに速度を速めていく。そこからアクセルペダルをいっそう深く踏み込んでいけば、ターボチャージャーの威力が追加される。そして、瞬く間に制限速度に到達するのである。

大柄な車体寸法のSクラスでありながら、昔から小回りがきいて運転しやすいことに感嘆させられる
大柄な車体寸法のSクラスでありながら、昔から小回りがきいて運転しやすいことに感嘆させられる
ドイツの高級車らしく、最高速度が時速260キロメートルまで刻まれた速度計
ドイツの高級車らしく、最高速度が時速260キロメートルまで刻まれた速度計

 国内高速道路の時速100キロメートルという制限速度(速度指定がある場合を除く)は、速度無制限区間のあるドイツ・アウトバーンを思えば序の口で、新型エンジンの能力を持て余すほどだ。

 この加速時に、ことに印象深いのは、発進から制限速度まで速めていく間、一般的にエンジンが回転の上昇とともに力を(みなぎ)らせていくのに比べ、常に一定の力を発揮し続けるモーターの特性に似ていたことだ。

たっぷりとした寸法で体を支え、運転に集中することのできる座席
たっぷりとした寸法で体を支え、運転に集中することのできる座席
正しい姿勢で体を支えるため、疲れの少ない後席
正しい姿勢で体を支えるため、疲れの少ない後席

SUVやステーションワゴンでなくても、たくさん荷物を積み込めそうな荷室
SUVやステーションワゴンでなくても、たくさん荷物を積み込めそうな荷室

 ハイブリッド車と違い、基本的にはエンジンで走行するクルマでありながら、電気自動車(EV)のような加速と静粛性を感じさせるS450は、本格的なEV時代の到来を予感させるクルマかもしれない。このクルマを運転していたら、次の選択肢がEVとなっても違和感は覚えないだろう。

 エンジンかモーターかの二者択一ではなく、モーターの時代を前に、いま考え得る最高の動力機関として開発されたエンジンである。「最善か無か」を経営の哲学とするメルセデス・ベンツにおいて、いまの時代に最善なパワーユニットということになるのであろう。その時代の最善を追求し続けるメルセデス・ベンツに脱帽である。

24385 0 インプレッション 2018/06/05 15:00:00 2019/01/16 10:09:08 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180531-OYT8I50042-T.jpg?type=thumbnail

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