文字サイズ
    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    狭い室内が生むクルマとの一体感 GM「カマロ コンバーチブル」(Vol. 546)

    • 車体剛性がしっかりとしており、幌を開けても快適に走ることができる
      車体剛性がしっかりとしており、幌を開けても快適に走ることができる

     米ゼネラル・モーターズ(GM)の「シボレー・カマロ」は、米フォード・モーターの「マスタング」と並んで、日本でも有名なスポーティーな車種だ。そのコンバーチブル(オープンカー)に試乗した。

     最近のアメリカ車は、開発時に自国以外の道路やサーキットなどで走行試験を行う。そのため、かつてのアメリカ車の印象とは違い、確かな操縦安定性を備えるようになっている。このカマロも、運転を始めるとドイツ車に近い手ごたえを感じた。

     たとえば、車体剛性が高いため、その強靭(きょうじん)さによってサスペンションもよく動き、それがタイヤの接地感覚の良さにつながり、走りが安定している。同時にまた、サスペンションがよく動くということは、やや硬めの乗り心地でありながら、突き上げるような衝撃がなく、想像以上に乗り心地がしなやかだ。


    • 幌を閉めた状態。スポーティーカーらしく、かなり車高が低く見える
      幌を閉めた状態。スポーティーカーらしく、かなり車高が低く見える
    • 開けた幌はほぼ完全に折りたたまれて収納されるので、後方視界は悪化しない
      開けた幌はほぼ完全に折りたたまれて収納されるので、後方視界は悪化しない

     そうした車体剛性の高さは、今回のようなコンバーチブルで(ほろ)を開けて走った時に、より実感することができる。車体剛性が低いオープンカータイプは、路面の影響で車体が揺れるとフロントウィンドーが左右へゆさゆさ揺れ動くことがあるが、カマロのコンバーチブルはそうした気配さえない。

     また、フロントウィンドーの高さは低いが、サイドウィンドーを開けて走っても、室内へ不快な風を巻き込むことなく、快適に風を感じながら運転することができた。かなり仕立てのよいオープンカーだ。

     幌を閉めると、室内はそれほど広くない。逆に、やや狭い室内の雰囲気によって、クルマとの一体感を覚えさせる。それが、運転の集中につながり、反応のよい操縦性を楽しむことができる。

     幌を閉じた時の運転への集中、幌を開けたときの走行風の心地よさによりリラックスした運転というように、一台で2通りの走りを味わえる。

    • スポーティーな車種として、運転者中心にデザインされた運転席周り
      スポーティーな車種として、運転者中心にデザインされた運転席周り
    • 排気量2000ccのガソリンターボエンジンの出力は275馬力。8速ATが組み合わされる
      排気量2000ccのガソリンターボエンジンの出力は275馬力。8速ATが組み合わされる

     エンジンは、排気量2000ccのガソリンターボで、最高出力は275馬力である。 ほかに、カマロSSという高性能車種があり、こちらは排気量6200ccのV型8気筒ガソリンエンジンを搭載する。アメリカ車と言えば、大排気量のV8エンジンの印象がなお強い。カマロSSは、猛烈さを覚えさせる乗り味に違いない。とはいえ、コンバーチブルのエンジンも300馬力近い性能を備えており、なおかつ、車体は剛性を高めながら軽量化も進められたので、クルマとして馬力と重量の調和は悪くない。猛然と駆けだす、という加速ではないけれど、速いと感じさせる十分な加速性能を備えている。

    • 後席は広くはないが、4人乗りは可能だ
      後席は広くはないが、4人乗りは可能だ
    • 荷室は大容量ではないが、短い旅程度の荷物は入りそう
      荷室は大容量ではないが、短い旅程度の荷物は入りそう

     アメリカ車の楽しさの一つに、広大なアメリカ大陸に張り巡らされた道幅の広いフリーウェーを走っているような想像を膨らませながら運転することがある。

     たとえば、首都圏の湾岸線ではフリーウェーを、本州四国連絡橋など大きな橋ではサンフランシスコのゴールデン・ゲート・ブリッジを思い浮かべながら運転すると、アメリカ車を選んだ喜びをいっそう実感することができるだろう。

     輸入車には、単に移動する機能や性能だけでなく、そのクルマが生まれた国の風土や文化的な側面を疑似体験する楽しみがある。カマロ・コンバーチブルも、そうした思いにふける喜びをもたらしてくれる一台だ。

    2018年07月03日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
    大手町モールのおすすめ
    帆布鞄