文字サイズ
    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    新プラットフォーム採用で、走りが進化 スバル「フォレスター」(Vol. 547)

    • コース内での試乗だったが、フォレスターの進化を新旧比較で実感できた
      コース内での試乗だったが、フォレスターの進化を新旧比較で実感できた

     スバルのスポーツ用多目的車(SUV)「フォレスター」は、同社にとって世界で最も売れているクルマである。今回のフルモデルチェンジで5世代目となった。ワゴン車「インプレッサ」から導入されているスバル・グローバル・プラットフォームを採用することにより、運転者の意思に忠実な操縦安定性や、快適な乗り心地、またクラストップの水準となる安全性を実現している。また、これまでフォレスターにはなかった、モーターを併用するハイブリッドユニット「e‐BOXER(イー・ボクサー)」搭載車「Advance」が追加された。

     今回の試乗は、一般公道ではなく、コース内のみという設定であった。したがって、公道での印象はまた違った点があるかもしれない。とはいえ、新旧車種の乗り比べをすることができ、改良された新型フォレスターの良さをはっきりつかむことができた。

    • ドライバーモニタリングシステムが採用された(Advanceのみに標準装備)。ドライバーが眠気を催したり、よそ見などをしたりしていると、運転席にあるカメラが認識し、警報音や警告表示を出してくれる。
      ドライバーモニタリングシステムが採用された(Advanceのみに標準装備)。ドライバーが眠気を催したり、よそ見などをしたりしていると、運転席にあるカメラが認識し、警報音や警告表示を出してくれる。
    • 前方の視界が良く、かつ操作しやすい運転席
      前方の視界が良く、かつ操作しやすい運転席

     新型車は、洗練された走行感覚が何より印象的だ。比較的路面状況の良いコースではあるものの、旧型車は、タイヤがゴロゴロ、ゴツゴツしたような接地面の硬さが車体にも伝わり、乗り心地が粗い印象だ。以前、モデルチェンジしたばかりの旧型車試乗時には、もう1世代前の車に比べ、乗り心地がかなり改善されたと感じた覚えがあった。しかし、新型車は、タイヤが路面をしっかりとらえているという感触を伝えながら、乗り心地も良く、上級車の趣がある。室内の静粛性の向上も、上級だと思わせる効果につながっているのだろう。

    • モニターに車両側面の状況や、周辺の障害物との距離を示す表示が出るが、画面がやや小さい
      モニターに車両側面の状況や、周辺の障害物との距離を示す表示が出るが、画面がやや小さい
    • 荷室のリアゲートは開口幅が大きくなり、ゴルフバッグを真横に積めるようになった
      荷室のリアゲートは開口幅が大きくなり、ゴルフバッグを真横に積めるようになった

    • 悪路を走る際にタイヤの滑りなどを抑制するX‐MODE(エックス・モード)の操作がわかりやすくなった
      悪路を走る際にタイヤの滑りなどを抑制するX‐MODE(エックス・モード)の操作がわかりやすくなった

     カーブで車体が傾いた際にも、それをあまり意識させない安定性がある。旧型車は、ハンドル操作をするたびに車体が左右へ傾くのを意識させられる。車体が傾くことによって目線が動くと、運転操作に力が入ったり、気持ちが不安になったりしがちだが、新型車はそうした面での安心感も増している。

     もちろん、実際にカーブではある程度、車体は傾くものだが、傾くときの動きが自然なため、人にはあまり車体が傾いていないと感じるのだろう。逆に、全く車体が傾かなければ違和感を覚えるはずだ。

     感覚として自然に加速し、滑らかにカーブを曲がる、そうした運転ができることはクルマとの一体感を覚えさせるため、安心して走れるクルマといえる。新型フォレスターは、SUVらしく車高がやや高い姿をしているが、それによるふらつきなど不安を覚えさせない仕上がりだった。

     エンジンは、排気量2500ccの水平対向4気筒ガソリンと、2000ccでモーター駆動を加えたe-BOXER搭載の2車種を試乗した。いずれも四輪駆動である。

    • オートマチックなので2ペダルだが、左端に左足を置くフットレストが装備されている
      オートマチックなので2ペダルだが、左端に左足を置くフットレストが装備されている

     2500ccのガソリンエンジンは排気量にゆとりがあり、最高出力が184馬力もあるので十分な加速をもたらす。ただ、最大トルクを出すエンジン回転数が毎分4400回転と比較的高く、そのせいか、2500回転あたりでやや力が抜けるような印象があった。

     e‐BOXER搭載車は、モーターは主に加速時に()かす仕組みで、走行モードをスポーツ(S)にしてアクセルペダルを強めに踏み込むと、グンッとモーターが速力を増すのを感じられる。JC08モード燃費値で、2500ccエンジンがリッターあたり14.6キロメートルであるのに対し、e‐BOXERは18.6キロメートルの燃費性能を達成している。

     ただ、モーター走行からエンジン走行へ切り替わるところで、アクセルペダルの踏み込みを増やして加減しなければならないなど、ハイブリッドシステムとしての熟成に余地を残している。

    • フォレスターで初めてとなるハイブリッド車(e‐BOXER搭載)が加わった
      フォレスターで初めてとなるハイブリッド車(e‐BOXER搭載)が加わった
    • 後席はゆとりがあり、滑らかな走りを乗員全員で実感できる
      後席はゆとりがあり、滑らかな走りを乗員全員で実感できる

     スバル・グローバル・プラットフォームなどによる走行安定性や乗り心地の向上に加え、安全装備のアイサイトや、歩行者保護エアバッグ、新装備のドライバーモニタリングシステムなど安全先進技術を含め、スバルの真摯(しんし)なクルマ作りに期待する一方、電動化に対する技術的熟成が遅れているのが残念だ。時代は、電動化すればいいのではなく、電動車をいかに洗練させ、魅力ある商品にできるかの勝負に入ってきているのである。

    2018年07月17日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
    大手町モールのおすすめ
    帆布鞄