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    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    優れた走行性能としなやかな乗り心地 トヨタ「クラウン」(Vol. 549)

    • 新型クラウンは、走りの完成度が高く、柔らかな乗り心地も継承され、よい印象を残した
      新型クラウンは、走りの完成度が高く、柔らかな乗り心地も継承され、よい印象を残した

     トヨタ自動車の「クラウン」は、1955年に初代が誕生し、この新型で15世代目となる。新型で強く感じたのは、クルマそのものの進化だった。

     クラウンは、日本国内専用車だが、海外の高級車水準を超えるべく、ドイツのニュルブルクリンクなどでの走行試験を行って開発されている。その結果、ヨーロッパ車にも通じるような高い操縦安定性と乗り心地を両立させる懐の深さを獲得した。

     乗り心地は、伝統的なクラウンらしいしなやかな柔らかさを失っていない。欧州の上級4ドアセダンは、全体的にややゴツゴツとした硬めの乗り心地を伝えてくる。それに対し、新型クラウンは、柔らかさといっても、ふわふわと不安定になるのではなく、しっかりタイヤが路面を捉えている安心感があり、走りの限界性能の高さをうかがわせる。

    • 先方の視界が良く、またカーナビゲーションもより見やすい位置に配置された運転席
      先方の視界が良く、またカーナビゲーションもより見やすい位置に配置された運転席
    • 後席は、落ち着きのある居住性が得られる
      後席は、落ち着きのある居住性が得られる

     日本専用車だからといって、日本の道路状況だけに照準を合わせるのではなく、世界の状況を知った上で、日本に適した仕上げがなされている。それが、新型クラウンといえる。ここまで完成度が高まり独自性も備えると、輸入車をあえて選ぶ理由が薄れてくる。

     また、新型クラウンは、従来の車種区分(マジェスタ、ロイヤル、アスリート)を廃止し、代わりに動力源や四輪駆動などで選ぶグレード分けを採用した。

    • ちょうどよい動力性能を発生する排気量2500ccエンジンとモーターによるハイブリッド
      ちょうどよい動力性能を発生する排気量2500ccエンジンとモーターによるハイブリッド
    • 排気量2000ccのガソリンターボエンジン
      排気量2000ccのガソリンターボエンジン

     動力源は、排気量の異なる2つのハイブリッドと、1つのガソリンターボエンジンの計3種類から選べる。排気量3500ccのV型6気筒エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドは、もっとも高性能な車種となり、従来のマジェスタに相当する乗り味を得られるだろう。2500ccの直列4気筒エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドは、もっとも標準的な動力源になる。そして、2000ccの直列4気筒ガソリンターボエンジンは、エンジンでの走りを楽しみたい人に向けた選択肢となる。

     十分に満足を得られると思うのは、2500ccエンジンのハイブリッド車だ。性能は過不足なく、モーター走行時の静粛性は高い。市街地を時速40~50キロで流すように走っているときの心地よさは、クラウンに乗る喜びを満たしてくれる。

    • 後方の様子を映し出すことのできるルームミラーの機能(デジタルミラーモード)も設定された。従来通り、鏡で後方を見ることもできる
      後方の様子を映し出すことのできるルームミラーの機能(デジタルミラーモード)も設定された。従来通り、鏡で後方を見ることもできる

     昨今、「コネクティッド」の言葉を耳にする機会が増えているのではないか。新型クラウンは、新型カローラとともにトヨタの「コネクティッドカー」(つながる車)本格導入の先駆けでもある。走行状態をトヨタの通信センターに絶えず送信し、エンジンなどの使用状況を伝える。スマートフォン向け通話アプリのLINEと連携し、目的地の登録やガソリン残量の確認もできる。

    • 荷室は十分に広く、ゴルフバッグ(9.5インチ)は4セット載せることができる
      荷室は十分に広く、ゴルフバッグ(9.5インチ)は4セット載せることができる
    • 屋根が後ろまで長くのび、クーペのようにも見える横の姿
      屋根が後ろまで長くのび、クーペのようにも見える横の姿

     トヨタ創業者の豊田喜一郎は「日本人の頭と腕で世界に誇れる車を作る」との思いから、国産にこだわったと伝えられる。この新型クラウンの開発チーフエンジニアは、創業者の思いを受け継ぎ、もう一度世界を驚かせたいとの思いで開発したと話す。新型クラウンは、全体的な仕上がりが大幅に向上し、歴代クラウンを乗り継いできた人も、初めてクラウンに乗る人も、その完成度に驚くのではないか。いいクルマに乗った。そんな印象の残る新型クラウンである。

    2018年08月14日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
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