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    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    悪路走破性が進化、日常にも使えるクルマ スズキ「ジムニー」(Vol. 550)

    • 試乗したのは、XCという最上級車種の5速マニュアルシフト車。冒険心を起こさせる軽自動車だ
      試乗したのは、XCという最上級車種の5速マニュアルシフト車。冒険心を起こさせる軽自動車だ

     スズキの「ジムニー」が、20年ぶりにフルモデルチェンジをして4世代目となった。ジムニーは、軽自動車の本格的な四輪駆動車として、1970年の誕生時から高い評価を得てきた。

     新型ジムニーも、悪路走破性を第一の性能目標とし、フレームを持つ車体構造を継続している。フレームは、クルマ重量が増えるデメリットがあるものの、より頑丈な構造になる。また、サスペンションも固定軸式を継承し、悪路での路面と床との隙間を確実に確保できるようにしている。

     運転して、まず感じたのは、舗装道路でハンドルを切る際、一般的な乗用車やスポーツ用多目的車(SUV)に比べ、車体の傾きが大きくなり、多少不安になるかもしれないということだ。ただし、悪路においては、サスペンションが滑らかに動いて車体の均衡を保つ必要があるから、この程度は仕方がないかもしれない。

    • このような悪路でも、平然と走り切った
      このような悪路でも、平然と走り切った
    • 悪路でもしっかり体を支える運転席
      悪路でもしっかり体を支える運転席

    • 5速マニュアルシフトの手前に、四輪駆動の切り替えシフトレバーがある
      5速マニュアルシフトの手前に、四輪駆動の切り替えシフトレバーがある

     そのクルマの用途や目的に合った運転をすればいいだけのことであり、速度を出し過ぎず、またハンドル操作を穏やかに行えば、舗装路でも快適に走る安定性は確保されている。

     このクルマの持ち味は、悪路で大いに発揮される。従来通り、後輪駆動と四輪駆動を切り替えるパートタイム式と呼ばれる機構を採用し、悪路を走る際には4Lと名付けられた低速四輪走行を選んで走る。この4Lは、ぬかるんだ道や急勾配などの悪路で、着実にクルマを前進させる大きな力を発揮することができる。

    • 悪路走行も考慮して、低い回転から力を出せるエンジン
      悪路走行も考慮して、低い回転から力を出せるエンジン

     悪路で試乗したのは、5速マニュアルシフト車であった。1速で発進し、すぐ2速に入れて、慎重にアクセルペダルを踏んでいくと、未舗装のデコボコ道を着実に進んでいく。途中、車体が大きく傾いたり、タイヤが一輪だけ浮き上がってしまったりするような場面でも、問題なく安全に前進できた。路面や周囲の状況を確かめながら一歩ずつ歩を進めるといった運転が、こうした本格的四輪駆動車におけるコツだ。

     上り坂で一時停止し、そこから発進する際には、ヒルホールドコントロールといってブレーキペダルから足を離してもしばらく停止している電子制御装置を使う。クラッチ操作をしながらタイヤが回転し始めるまで、クルマが後方へ下がってしまう心配がない。急勾配の下り坂では、ヒルディセントコントロールといって、タイヤが滑らないように安全な速度に抑えながら下りていく電子制御装置を備えているので、あとはハンドルで進路を定めるだけで、ここも安心して運転を続けることができた。

    • 高い着座位置からの前方の見晴らしはよい
      高い着座位置からの前方の見晴らしはよい

     試乗した悪路は、輸入車を含め他の四輪駆動車やSUVでも走行経験のある場所であり、軽自動車という手ごろな価格でありながら、その何倍もの価格の四輪駆動車と同様に走破できる性能に感心させられた。

     舗装路での運転においても、軽自動車でここまで着座位置の高い車種はまれであり、遠くを見通しやすく、市街地での日常の運転でも扱いやすいのではないかと思う。

     室内は、簡素なデザインで余計な装飾がないため十分な広さがあり、客室も荷室も実用性が高いと感じる。

    • 後席はそれほど広くはないが、ちゃんと着座姿勢がとれる
      後席はそれほど広くはないが、ちゃんと着座姿勢がとれる
    • 荷室は、後席の背もたれを前へ倒して床面積を広げられる
      荷室は、後席の背もたれを前へ倒して床面積を広げられる

     悪路走破性を第一としたジムニーとはいえ、高速での移動が多いという人でなければ、日常的に便利な軽自動車といえそうだ。車体の色も、ツートンカラーなど選択の幅があり、クルマ選びも楽しめるかもしれない。

    2018年08月28日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
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